■ [大事なこと]多様性
よくある方法論レベルの『学び合い』批判に、「教育は多様だ、色々な方法がある。『学び合い』だけではダメだ」という批判があります。
こまったな~っと思います。
『学び合い』は多様性を前提としています。それも、子ども一人一人、その時間、その時間で違うと考えています。ところが多くの方法では、世の中に存在しない「子ども」というものを想定します。だから、この単元ではこれこれが分かりやすいと言う人がいます。でも、それを聞くたびに、子どもは多様だよ、全員ではないよね、と言いたくなります。
多様性の想定レベルが全く異なっているのです。でも、分からないだろうな~、困ったな~、と思います。
一人一人の多様性に対応する教育はサドベリー・スクールのような実験的な学習はあります。しかし、一般的な学校で日常的にそれを実現している教育を『学び合い』以外に知りません。(あ、怒られるかな・・・)
■ [大事なこと]未来予想
今、教育の世界でこれから起こるであろうことを書いた本を執筆中です。かなりショッキングな内容です。
それを読んだ学生から、「この予想は当たりますか?」と聞かれました。
私:未来予想だから絶対に当たるとは言えない。しかし、本の中で書いた未来の日本の状況、子ども・保護者の変化はほぼ100%合っていることは認めるよね?
学生:はい。
私:じゃあ、その状況に対応する学校や教師の働き方、私が書いたもの以外に対応可能だと思う?
学生:無理だと思います。
私:だよね。それに本で書いたように、私が書いたことが出来る外的条件、例えば法整備は既に進んでいる。私には、どこかの省庁の奥の院で計画を立てている人がいそうに思えてならない。
学生:西川先生はどうやって未来を予想するのですか?
私:三十年前に読んだアルビン・トフラーの未来予測が、私の知る限り一番当たっている。そして、考え方がものすごくシンプル。私は彼のモデルに従って考えている。それにこれからの変化はクリステンセンの破壊的イノベーションが起こると思っている。でも、そう予想している私自身が怖いんだよ。
この原稿を西川ゼミ以外の学生さんに読ませています。西川ゼミだと私の思考方法に染まっているからです。他ゼミの学生さんの反応は、すんなり読めました、とのことです。私は「そんなことないでしょ。納得できないところ、分からないところはない?」と聞くのですが、学生さん達の反応は「色々なことが既に言われているので、西川先生の本のように整理すると、そうなるんだよな~と思えるのです」とのことです。
が、そう言っている彼らの顔には恐怖がない。どこかで遠い世界の話と思っているのかなとも思います。それとも、私と違って、私が書いた本の状況にも対応できる世代なのかもしれません。
追伸 来年、何が起こるかは分かりません。しかし、10年後はかなり予想できます。そして、若い学生が退職する40年、50年先の未来は、ほぼ正確に予想できると思っています。遠くの予想の方が、細かな要因に錯乱されず、重要な要因だけで予想できるからです。正直、早く生まれて良かったと思っている私がいます。アクティブ・ラーニング程度のことでおたおたしている場合ではありません。
追伸2 これから起こることを考えれば、『学び合い』を授業方法レベルで理解することによる誤解や非難に接すると、「おいおい、そんなことじゃないでしょ。教育村の外のことを知ろうよ」と言いたくなる。