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2018-05-13

[]えんがちょ 21:36 えんがちょ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - えんがちょ - 西川純のメモ えんがちょ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 世間を広くすれば、一定数、えんがちょのひとと出会います。つまり不誠実な人です。これに対する対応策は、忘れることです。それが一番。そして、要求水準を維持することです。誠意は形に現れます。

[] ノーブレス・オブリージ 09:39  ノーブレス・オブリージ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク -  ノーブレス・オブリージ - 西川純のメモ  ノーブレス・オブリージ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『西川ゼミに所属するということは、あるアドバンテージを得る可能性を得るということです。でも、そのアドバンテージは与えられるものではなく、自ら勝ち取るものです。もちろん、一人ではなく「みんなで」です。』と書きました。

 新ゼミ生も読んでいると思うので、詳しく書きます。

 教職大学院の実習、それも西川ゼミでやっている年間を通した実習を経験すれば、教室の中には地獄の苦しみの中にいる子どもがいることを分かります。その子が『学び合い』の時間に救われることを見ます。

 アダムが智恵の実を食べたように、見えるようになってしまう。これは救われた状態を見ないと分かりません。そうでないと、「あの子は仕方がない」、「あの子は一人がいいんだ」と合理化するからです。そう思っていた「あの子があんなことも出来る」、「あの子はあんなに楽しげに人と関わっている」ことを見てしまえば合理化できません。そして、救いきれない現状を知るのです。

 そうしたとき、私の暑苦しい「日本を変えろ」という言葉の意味が分かってきます。

 私はゼミ生に様々な機会を与えます。例えば、お客様接待です。

 西川ゼミには様々な方々が『学び合い』を学びに来ます。ゼミ生はその人達を参観先に誘導し、説明をします。懇親会の準備をして、一緒に呑みます。(それ故、西川ゼミは月1で呑み会があります)大変です。でも、私は次のように語ります。

 

『君ら地獄の苦しみの中にいる子どもがいることを知っている。もし、一人の教師が『学び合い』を始めれば、その子は1年間救われる。その子は1年間しか経験しないかも知れない。でも多感な子ども時代、たった1年でも「一人も見捨てない」集団の中にいる経験がどれほど貴いだろう。また、その子以外も、苦しんでいる同級生を見捨てている集団にいることがどれほど恐ろしいことだろう。子ども達の生きる大人社会は厳しい社会だ。その社会の中で何十年も生きていかなければならない。そのような子どもが小学校だったら年間30人、その先生が30年間教えたならば900人の子どもを救うことが出来る。もしその先生が中学校や高校だったら、その5倍の人数の子どもを救うことが出来る。もし、その先生方が周りの5人の先生に伝えたならば、その5人の先生一人一人が5人の先生に伝えたならば、どれほどの子どもを救うことが出来るだろう。君たちは、一人の普通の学生に過ぎない。しかし、おそらく一生涯出会うことがないであろう子ども達、それも地方都市一つの人数の子ども達を救うことが出来る』

 

 まあ、ウザいと思うのが普通です。でも、このことはゼミ決めの面談の際に必ず言うことです。この言葉に何かを感じた人が西川ゼミを選んだのです。

 西川ゼミの目標は「自分の心に響き、多くの人の心に響く教育研究を通して、自らを高め、一人も見捨てない教育・社会を実現する」(https://bit.ly/2k5Slzr)です。

 私はゼミ生に、この目標に応える機会を与えます。

 全国の『学び合い』の会やその他で発表する機会を与えます(ま、ゼミ生が自ら開拓しますが)。

 研究をまとめることを希望する学生には、自らの追求課題を学術論文にまとめることが出来ます。(私は日本で最も多くの学術論文を書いた教科教育学者で、研究方法論の本を書いている人です。)

 求めるならば、書籍を出す機会を与えます。幸い、私の本は売れているので、それが可能です。今年度も出しました。

 西川研究室には飛び込み授業のオファーが来ます。また、校内研修の講師のオファーが来ます。それをゼミに所属して1年も満たない学生にやらせるのです。若い学生が先生方の前で堂々と説明している動画を見ると笑ってしまいます。

 このようなことを通して、日本中の実践者と繋がることが出来ます。今の段階で『学び合い』を実践している人は、かなり意識とアンテナと志が高い人達です。その人達とネットワークを組むことが出来ます。西川ゼミを卒業・修了すれば、普通の学校で、日々の実践をすることになります。でも、卒業した後もネットワークは残ります。これが腐りそうになる自分の志を維持発展させるための安全装置なのです。家庭生活と矛盾無く、誇り高く教職を全うする道です。

 以上が西川ゼミの「ノーブレス・オブリージ」です。

[]普通の授業能力 09:39 普通の授業能力 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 普通の授業能力 - 西川純のメモ 普通の授業能力 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ゼミ決めの面談の際、「『学び合い』を学びたいですが、普通の授業の力も欲しい」と言われます。イノベーターではなく、アーリーアダプターの人だと分かります。

 私は次のように話します。

 

『『学び合い』は一斉指導の授業名人の技を抽出したものだ。ただ、純粋に純化すると見た目が変わっているだけ。講義で見せた『学び合い』の授業の様子で、一つ一つの技の解説をしたよね。あれを知れば、『学び合い』は何もしていないのではなく、考えられた一つ一つのテクニックの積み上げによって構成されていることが分かる。あれって一斉指導に直ぐ使えるのは分かるでしょ?

 『学び合い』が分からない人は『学び合い』の根幹は何かを知らないから。だからだから、『学び合い』をちょこっと見た目を変えれば、『学び合い』に見えないよ。そして、とてもいい主体的・対話的で深い学びになってします。

 君たちは採用されたら毎日毎日新作の授業案をつくらなければならない。それも、後から後から授業以外の仕事をこなしながらだ。それを教材研究で対応できる?無理だよね。この2年間で教材研究をして準備したとする。それで何ヶ月分がつくれる?あははは。直ぐに種が尽きてしまう。第一、子どもを見ずに準備しても無駄だよね。子どもに合わせなければならない。つまりね、子どもを見ながら、その日、その日の授業案をつくらなければならない。まあ、1時間分の授業案を30分ぐらいでつくれるようにならなければならないんだよ。かつて講演者が急に来られなくなって、講演の代わりを頼まれたことがある。その時は、30分で1時間の講演のプレゼンを用意した。そんな能力が必要になるんだ。その方法はね「新任一年目を生き残るサバイバル術、教えます」という本の最初の54頁に書いたことをやれば出来る。』

 

 でも、これは入門者用の説明です。西川ゼミの文化に染まり、『学び合い』を理解出来るようになると、変わります。

 教育実習生並みの授業だったら中学生でも出来るのです(これは学術研究で明らかにしています)。驚くことはありません。中学生でも7,8年間、毎日5,6時間の一斉指導を受けているのです。各教科のパターンは知っています。例えば国語だったら「本読み→新出漢字の確認→段落分け→段落の要約・・」、算数・数学だったら「前回の学習の確認→教科書の左側の例題を教師が解く→教科書左側下の問題を解かせる→指名された子どもが黒板に解法を書く→教師が解説する→教科書右側の問題を解かせる→答え合わせ→まとめ」というような形式です。その形式に則れば、授業らしきものは出来るのです。大学教育を受けた学生だったら出来ないわけありません。

 でも、それが上手くいく若手教員もいれば、上手くいかない若手教員もいます。

 両者の違いは語る内容ではなく、語り方なのです。声の出し方、表情のつくりかた、適切な分量等々の、どの単元でも一貫したことです。だから、「新任一年目を生き残るサバイバル術、教えます」という本の最初の54頁に書き切れるのです。これぐらいコンパクトにならないと怒濤の新任一年目の人が利用できるわけありません。

 でも、その先があります。その54頁までに書いたことは賞味期限最大3ヶ月です。それ以降は55頁以降に書いたことが必要なのです。さらに、1年目以降は「何故か仕事の出来る教師の7つのルール」に書いたことが必要なのです。それらには一般の人が分かりやすくなるようにノウハウ的に書いています。しかし、本当はその先があります。

 子どもはどのような教師に従うでしょうか?もっと正確に言えば、クラスをリードする2割の子どもはどのような教師に従うでしょうか?これは職員室に置き換えられるのです。つまり、職員集団のオピニオンリーダーの人達は、どんな校長に従うでしょうか?という問に置き換えられるのです。

 それはヴィジョンなのです。それが「ノーブレス・オブリージ」であり、それを共有するネットワークなのです。

 今、多くの教師が思っている教師の職能は、つまらなくても、分からなくても聞いてくれる子どもの前では有効でした。何故なら、その善し悪しを決めているのは教師だからです。教師の中でのお約束の中で完結していたのです。ところが、つまらければ、分からなければ子どもは従わなくなっています。そして、AI、ネット教材が発達すれば、顕著になります。そうなれば、「これこれが教師の職能である」という教師のお約束が成り立たなくなります。評価者は教師ではなく、子ども・保護者になるのですから。

 というヴィジョンを持っている西川のゼミは異質な考えでゼミ生を育てています。