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2019-10-09

[]いりません 21:30 いりません - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - いりません - 西川純のメモ いりません - 西川純のメモ のブックマークコメント

 文部科学省の働き方改革を見ていると思い出すのは桂米朝さんです。桂米朝の落語に中に、「銭使いが細かくて、丁稚使いが荒い。銭は使えば無くなるが、丁稚は使っても無くならないから」というような丁稚の愚痴がよく出ます。

 荻生田文部科学大臣の就任にあたっての記者会見で、先生方の誇りである4%の手当を守りたいという発言がありました。お気持ちはその通りなのだと思います。私も若い頃(30年以上前)は、「田中角栄首相が中心となって教師の地位向上のために4%の手当をつけた」と先輩教師から教えられ、それを信じていました。

 しかし、署名による結果は(https://www.bengo4.com/c_5/c_1224/c_1652/n_10218/?fbclid=IwAR3JBfqzp_ou78CSUkk-8VC79CU9CeoSAoSmmCABP8oMnE3r41S32-AhRO4)、「そんな誇りはいりません」と教師は求めているのです。そもそも「誇り」が4%になったのは給特法の成立した時点での教師の平均残業時間が根拠です。だから、現在の誇りだったら2割、3割は必要です。

 もちろん、大臣は変形労働時間制によって長時間労働になってはいけないと何度も言っています。しかし、それを導入するかしないかは教育委員会の判断であり、その他の労務管理も教育委員会の判断であると下駄を預けています。つまり、長時間労働になってはいけないとおっしゃっていますが、そうならないようにする責任はとられないのです(もちろん、最終的な法案に、それが盛り込まれていたならば、誤りを喜んで認めます)。

 ということで、文部科学省が何をしようとも、現場は信じていないということです。

追伸 不思議なことがあります。一連の流れに、組合の発言がほとんど聞こえないのが不思議です。

[]ふきこぼし 18:26 ふきこぼし - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ふきこぼし - 西川純のメモ ふきこぼし - 西川純のメモ のブックマークコメント

 還暦の私が初めてコンピュータに接したのは、高校2年です。生徒会の会計だった私はヒューレットパッカードの計算機でプログラミングして会計計算をしました。今と違って、直接四則演算できるわけではありません。アセンブラ的でした。つまり、Aレジスターに数値を入れて、Bレジスターに数値を入れて、両者の和をCレジスターに入れる、のような時代でした。

 学部に入学してフォートランを学び、統計パッケージを学びました。高校時代の計算に比べて圧倒的に楽です。でも、今と違って穿孔機を使ってカードに穴を開けていました。エラーが起こるとパリティチェックをしました。

 大学院ではチップを半田ごてで繋げてコンピュータを作りました。機械語で1+1を入力し2という結果を出したとき嬉しかった。やがてパソコンが一般的になりましたが、プログラミングはカセットテープを使っていました。

 今から考えて馬鹿馬鹿しい。そんな時代でした。このような時代、プログラミングを学びたいと思っても、それを学べるのはごく僅かな子どもだけです。

 振り返って今の時代はどうでしょうか?極めて安価にコンピュータを持てます。高級言語の書籍は揃っています。いや、ワープロや表計算のマクロだったら、実用書レベルで手に入ります。

 こんな時代、将来の日本のプログラミングを背負っていくような子どもは、自分で道を切り開くように思います。そのきっかけがない子どもであったとしても、ちょっとしたきっかけでのめり込むでしょう。私レベルでもそうでしたから。でも、授業でちんたらちんたら教え込まれたら、それもプログラミングのエキスパートでない素人の教師が「はい、エンターを押して下さい」なんていう号令で授業が進められたとしたら地獄です。

 全ての子どもに、一律の教育を課せば、落ちこぼれだけではなくふきこぼしも起こします。

[]これからの日本 10:31 これからの日本 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - これからの日本 - 西川純のメモ これからの日本 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日はプログラミング教育、小学校英語の必修化に関して否定的なメモを書きました。それに対して、「英語とITスキルの底上げこそ、未来を作る教育だと考えています。この先、ITが衰退する方へ歴史は進んでいくでしょうか?それはあり得ませんよね?であれば、子供達には未来を生きる為の教育を施すべきではないですか?また、英語に関していえば、この先、日本が単独で経済を回していくことが可能だとお思いになられますか?それも無理ですよね。私達の社会は、よりグローバルに、国境を越えて進歩していきます。これは変えられない歴史の流れだと思います。その時代にあって、共通言語である英語を身につけさせないということは、あまりに時代錯誤だと思いますが。」というご意見を賜りました。至極、まっとうなご意見だと思います。そして、私のメモを見た方にも同様なご意見の方も少なくない、いや、多いと思います。

 そこで、改めて説明いたします。長文です。

 

 製品、サービスが普及する過程に関してロジャーズの理論があります。以降、様々な改良を加えられましたが、大凡同じです。

 初期購入者はイノベーター・アリーアダプターです。それがアーリーマジョリティ・レイトマジョリティに広がると一気に市場を独占します。ただ、前者と後者には大きな違いがあります。前者はそれを使うことに苦労は厭いませんが、後者はそれを嫌います。それ故、市場が後者の段階に移行すると、前者に公開し前者がいじくれた部分を隠します。そして、後者にはそれを意識できなくなうようにするのです。これがコモディティ化の一つの側面です。

 私の例で言うと、昔はコンピュータを使いこなすには、機械語、アセンブラ、I/OOSを使いこなさなければなりませんでした。コンピュータを操作して起こる様々な問題を、エンドユーザーが解決しなければなりません。私にとっては楽しみでしたが、一般人には手を出せるものではありません。それがウインドウズの時代になると状況が一気に変わります。ユーザーは機械語、アセンブラ、I/OOSを意識しなくても操作できるようになりました。ところが一般ユーザーに機械語、アセンブラ、I/OOSを意識させないために、裏でもの凄いソフトを構築したのです。結果として、中途半端な専門家である私には太刀打ち出来なくなりました。私の指導教官の小林先生が、「2サイクルの車は修理でけど、4サイクルになったら出来なくなった」とおっしゃっていましたが、同じようなものです。

 何を言いたいかと言えば、現在のITで飯を食っている人の技術は、プログラミング教育の延長上にはないということです。

 文法体系が全く異なるアジア・アフリカにも英語が公用語もしくは準公用語になっている国があります。そのような国には特徴があります。

 第一に、部族語が多岐に分かれ、祖語が公用語になりえない国。

 第二に、学術語に関して母国語が対応せず、高等教育は英語でやらざるをえない。(日本は福沢諭吉他の先人のおかげで、それを乗り越えています)。

 第三は、国内市場が未成熟もしくは小さいため、GDPの中で海外取引が大きい。

 さて、振り返って日本を考えると、第一、第二は当たりませんし、今後も変わりません。第三に関しては、GDPの中に国内市場が占める割合は85%以上です。

 英語教育を推進する方々が思い描く日本の未来はどれほどのものでしょうか?85%から30%に低下する将来を考えているのでしょうか?でも、そうだったら、日本は滅亡するでしょう。そもそもそのような状態になったら小学校英語を必修化しなくても日本人は英語を喋るようになります。例えば発展途上国の物売りの少年は英語を喋ります。

 もちろん、相対的に海外との取引は多くなるでしょう。そして、会社の公用語が英語になる会社も増えるでしょう。しかし、どれほどの割合だと思いますか?それに今後のAIの発達を考えるとき、英語を必要とする人の中で、本人が流暢に話す必要性があるでしょうか?

 私はITや英語の必要性は増大することは認めています。問題は国民全体に強いる必要性があるか?ということです。

 そもそも裾野を広げるといって、インドの10分の1に追いつけると思いますか?どうやっても無理ですよ。母数が大きいのですから。

 じゃあ、どうしたらいいか?

 ポイントはITや英語ではなく、それにプラスアルファするものなのです。それが世界に先駆けて突入する深刻な少子高齢化社会、脱工業化社会における顧客が求めているものは何かというニーズです。そのニーズに応えること、即ち、新たな顧客の創造こそがイノベーションなのです。

 今までにないニーズがどこにあるか分かりません。日本人は多様なアプローチをして、その中で見つけるしかないのです。ところが、国民全員にITや英語を強いれば、そのような尖ったものを見いだす時間がなくなります。なんとなれば時間は有限なのです。あるものに時間を費やせば、他のものに費やすものが減じられます。

 これが私ヴィジョンです。

 多くの人の持っているヴィジョンと私のヴィジョンとの溝を埋めたくて新刊書(https://amzn.to/2VqeLOU)を書いたのです。

[]狐 05:51 狐 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 狐 - 西川純のメモ 狐 - 西川純のメモ のブックマークコメント

窓から外を見たら狐がいた。狸、ウサギ、キジは見たことがあるけれど、生狐は初めて。早起きは三文の得。