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そ~らね

 2016年に「学歴の経済学」(https://amzn.to/2vYLORq)を出しました。そこには現在多くの人が持っている「中卒より高卒、高卒より大卒。同じ高校、大学ならば偏差値の高い方がいい」という学歴モデルは崩壊していることを書きました。そして、下手な大学に行くより、しっかりした職業高校の方が有利であること、従って、中途半端な普通科高校に行くより、それよりも偏差値の低い職業高校に進学する方が有利であることを述べました。

 当時は職業高校の人気は低迷していましたから、私の書いていることは荒唐無稽のようでした。多くの人にはせせら笑われたかもしれません。

 しかし、他人事の教師と違って、子ども・保護者、そして高校進学を自分の仕事と思っている中学校の教師にとっては我が事なのです。真面目に考え、情報を収集して判断します。

 昨年度、静岡のある方より、中学校の校長会で今の高校は信じられないという発言があったことを聞きました。具体的には、高校、特に中堅普通科が行なっている国公立進学数稼ぎの件です。ようは、入れそうな国公立を無理やり受験させて進学実績を稼ぐという実態です。結果として地元を考えていた家庭からすると、想定外であり、その後も地元に就職で戻ってこないという事態になるケースが多いのです。地域密着型の中学校にとってはゆゆしき事態です。だから、中学校校長会では、高校任せではなく我々が責任を持たねばならない、という発言が生まれたのだと思います。

 今年はもう一歩進みました。静岡県立高校の志願状況(https://www.at-s.com/sp/news/article/education/739053.html?fbclid=IwAR3aOqSq7IaaDB_WDbLFGU9wpmQMZV1SdT5i6_pbie0E4L9VfxVXbm7xx2g)をご覧下さい。

 静岡、清水東以外の普通科の下降は留まるところを知りません。一方で、専門学科の復権は著しい状況です。また、探究学習を前面に押し出した学校に人気が集中しています。

 私は心の中で「そ~らね」と思います。私の書いていることは「予言」ではありません。脱工業化社会のコードを理解していれば、事実と単純な論理によって導かれる論理的な結論ですから。

 ただ、私が意外に思っているのは、そのスピードです。公教育という日本最大の組織が急激に変化していることです。巨大な組織は変化が緩慢です。しかし、すぐに理由が分かります。巨大な組織は変わっていません。変わっているのは、我が事としてアンテナを高くしている子ども・保護者の一人一人なのです。これだったらどんどん進む。ママ友、子ども達のコミュニティの中で、「中途半端な普通科に行き、就職出来ない大卒になるより、しっかりした職業科に進学する方がいい」という新たな学歴モデルが広まるでしょう。それも倍々ゲームで。そうなると、受け皿となる高校の定員を変化させるスピードが追いつかない。そうなると・・・

 既に、2018年に書いた「教師がブラック残業から賢く身を守る方法」(https://amzn.to/2vWHm5X)に書いたこと、いや、今年度に書いた「個別最適化の教育」(https://amzn.to/2uqLtqu)ことが、ハッキリと事実として顕在化しています。私は「そ~ら」と思っていますが、脱工業化社会のコードが分からないと、それは見えないかもしれません。しかし、遅くとも再来年にはハッキリと見えるでしょうね。

 私のすべきことは、それを少しでも早めることです。ターゲットは巨大組織ではなく、生き残りたいと願う個人です。

 心ある先生方に申します。組織は期待しないで下さい。組織は今までの延長長の持続的イノベーションしか出来ないのです。しかし、個人である皆さんには出来ることがある。それは正しい情報を子ども、保護者に伝えて下さい。具体的には私の本に書いていることを伝えて下さい。中途半端な普通科にお勤めの方に申します。非ジョブ型の大学より、しっかりとした就職支援の出来る専門学校を推薦して下さい。目の前の子どもと保護者を救って下さい。みんなでやれば、大きなことが出来ます。

 心ある教育行政の方に申します。おそらく、私の言っていることを理解出来る方はおられるはずです。しかし、今の組織では改革は出来ないことをジリジリしているのでしょう。しかし、出来ることがあります。組織が改善から改革に舵を切る段階は必ず来ます。だって、小学校の担任が見つからない、いや、中高の家庭科の教科担任が見つからない常態になっていますよね。もう一歩進んだら、指導主事総動員しても無理ですよね。定員の未充足が急速に進んでいます。そうなったら議会で追及されるでしょう。だから、改革は必然です。こんなときにも皆さんに出来ることがあります。それはソフトランディングさせることです。方法は制度の中に改革が出来る抜け道を忍ばせて下さい。なによりも、脱工業化社会における教育の姿をイメージできる後輩を育てて下さい。