お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

誠意

 ある方の怒りの投稿がありました(https://note.com/amane_sawatari/n/n09315277b39e?fbclid=IwAR3heJki86XcGE4CNj3XrhkCMBkCCqsiSy3Bx3VP0rsVvfwGwPy8EEJH2X8)。理不尽な講演依頼者とのやりとりです。

 私にも昔はよくありました。

 一番、頭にくるのは学ぶ気持ちが無い場合です。あるときの事です。前日の歓迎の飲み会の時から違和感を持ちました。ようは学ぶ気が無いのです。しかし、子ども相手の講演会と、飛び込み授業です。子どもには罪はありません。全力を尽くしました。そして、「講演料はいりません」とニコニコしながら言って、さっさとその学校を後にしました。不浄なお金はもらいたくないからです。

 このようなことを避ける方法は簡単です。正当な対価を要求し、それが出せない場合はお断りすれば良いのです。昔は社会的貢献だと思い、ボランディア精神で講演を受けていました。「県の規定により、これ以上は出せないのです」とか、「予算は無いですが熱意はあります」という言葉をよく聞きます。でも、熱意は予算に表れます。

 確かに私の講演会の基準は、平均的な大学教師より高いです。しかし、決して法外では無いと思います。それに費やす実費、拘束時間に相当する遺失利益、また、私の大学教師としての年収を勤務時間で割ったお金に見合っていると思います(http://goo.gl/mkZf6O)。

 確かに私の基準は多くの行政機関の基準の外側にあります。しかし、同じレベルの行政機関でも、それを用意するところがあります。いや、それより小さいレベルの小中学校が数十万円を用意しているのです。ようは、どうしても私に来て欲しいと思うところは、頭と手を使います。

 今の基準になってから、嫌な気持ちになることは皆無になりました。私から学ぼうとする人たちがそこに待っていてくれます。講演方法に関してお願いすると、一生懸命に対応してくれます。

 しかし、昨年、唯一の例外が生じました。

 あるところから講演依頼がありました。私は必要とする金額を提示し、お受けしました。ところが、私とのやりとりがちぐはぐなのです。特に嫌なのはレスポンスが遅いのです。私と仕事を一緒にしたことがある方だと分かると思いますが、レスポンスが超早いのです。出版社から雑誌記事の執筆依頼が来ると、その日のうちに執筆承諾の返事ではなく、その記事を書いて送ります。これは年間連載の記事であってもです。大抵の編集者はビックリします。何故、私は仕事が早いかと言えば、忙しいからです。与えられた仕事を「明日」に伸ばしたら、後から来る仕事に押しつぶされるからです。もちろん、私以外の人が、私と同じだけ早いことを期待していません。しかし、異常に遅いと、私の平常の仕事の流れを乱してしまいます。あまりにも酷かったので、苦情を申しました。そうしたら、対応者の上司が謝罪の返信を送ってきました。私は謝罪を受け入れ、流しました。

 コロナの感染が拡大しました。勤務する大学も感染拡大地に行くことを控えることを求めたのです。そのため、上司の方にこのままでは講演は中止にしてもらいたい。ただし、Zoomならば講演出来ますと連絡したのです。ところが、講演会場はインターネットが繋がらないと言うのです。そして「先生の講演を楽しみにしている先生も多いので是非お願いします」との返信です。私は講演会場の事務室にはインターネットが通じているはずです。そこからケーブルで繋ぎ、ルーターで電波を飛ばせば繋がりますと申したのですが、「出来ない」の一点張りです。ようは、ケーブル・ルーターの分からず、分かる人に相談することを嫌がったのだと思います。結局、お断りしました。講演予告が出たのに、キャンセルとなりました。

 なんでこんなことが起こったのか、理由は簡単です。その地域は新幹線を使えば、日帰りでいけるので、最低限の予算で私を呼べるのです。今後、もう一度、同じようなことが起こったら、近距離地域の講演会のルールも手直しが必要かも知れません。

 いずれにせよ、誠意は予算に表れる、という法則は単純で普遍的です。そのことを理解しているので、講演会をお断りすることに微塵も罪悪感を持ちません。

追伸 私の同僚の某氏には二十年弱前から、私の講演会ルールを参考にすべきだと言っています。しかし、未だに徹底していません。おそらく病気にならないと分からないのかも知れません。
私もかつては年間、70日間、講演のために出張していました。10日間連続のツアーをしたこともあります。そして1日に3カ所で講演したこともあります。結果、不整脈になってしまいました。反省して、現在のルールが生まれました。そして、誠意は予算に表れることを学びました。