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フェルミ推定

 怒りを文章に書き終わって、何故なんだろうと考えました。ふと気づきました。多くの人は実験物理学のトレーニングを受けていないからだ、ということです。

 私が学部で学び取った最大のものは、進化的な発想とフェルミ推定です。

 フェルミ推定とは、手近にある常識的なデータをもとにして大凡のイメージを獲得するものです。オーダーエスティメイトとか第0近似に近いです。私の専門は生物物理学だったので、指導教官の石坂先生や小林先生から、この考え方を仕込まれました。

 私の思考過程は以下の通りです。

 最初に、「すべての教員が採用後10年程度の間に、特別支援学級の担任などの経験を2年以上積むことは不可能」と思いました。次に、何故、不可能なのだろうと考えました。全ての教員が10年間で2年以上の特別支援学級を経験するとしたら、全クラスを5等分(10年を2年で割ります)して、その一つが特別支援学級でなければならないことが分かります。となると特別支援学級の数が2割なければならない。さらに人事上の事情を勘案すれば、3割、4割が特別支援学級でなければ動かないでしょう。しかし、今まで係わった学校では、そんな数にはなりません。

 会議の委員の方々の思考過程は、本来は議事要旨でフォローすべきですが、公開されていないので、推定です。

 おそらく、全ての教員が特別支援教育を担える能力があった方がいいよね、という極常識的な判断。あったほうがいいということに反対することは困難ですから。

 それは急務だね、じゃあ、どれぐらい?きりがいいから10年としましょう。

 どれぐらいの経験が必要、1年は短いよね、せめて2年は必要という考え。

 つまり、極めて常識的な判断を積み上げたのだと思います。

 委員の方々が、そうすべきだ、その方向でという判断をするのは「あり」だと思っています。善意の意見としてまとまったのだと思います。ただ、そこで文部官僚が実現性があるかを計算しなかったのが分かりません。