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呑の遍歴

 私は酒を飲むのは大好きですが、不特定多数と呑むのは大嫌いです。

 酒を飲み始めたのは中学生の時に、職人の父の晩酌の盗み酒です。私がかなり強いことが分かったので、ちょこちょこ晩酌に付き合いました。でも、酒に酔うことはなかったと思います。

 高校になると、同級生と飲みました(びっくりされました?)高校1年ぐらいから、文化祭の打ち上げで飲み会があり、行きつけの店には「○○高校○○様」でボトルキープできました(びっくりされました?)。同級生と飲みに行く範囲が広がり、高校生の時代には板橋本町、池袋、銀座に飲みに行きました。驚くなかれ、職人の父は「恥をかくな」と言って万札をくれました。

 高校2年の校外模試で英語の偏差値27にビックリして1日13時間受験勉強をした結果、筑波大学に合格しました。でも、その時も寝る前に酒は飲んでいましたし、月に1度は池袋か銀座に遊びに行きました。

 大学に入学して、幸せでした。もともと自由でしたが、自由が爆発しました。毎週、棟やフロアーや同級生との飲み会がありました。今の学生さんはビックリするかも知れませんが、昔は18歳になれば飲酒OKの暗黙のルールがありました。だから、大学1年の担任の仕事の一つに、自宅に学生を呼び、酒の飲み方を教えるということがありました。

 でも、学部1年生の後半から変わりました。不特定多数と呑むのは嫌になりました。自分と呑んでいるとき、「相手は楽しんでないな~」という反応に敏感になったのです。それ以降、自室で一人で飲むか、誰か一人と呑むかにシフトしました。これは今でも続いています。

 我が儘が効くようになると、学生さんとの飲み会も、出張中の飲み会も1次会で失礼して、コンビニでボトルを買って自室でゆっくりと呑むのが好きです。こんなオッサンと呑むのが楽しいというのは不自然です。幸い、西川ゼミも私を大枚のお金で呼ぶ学校の人たちも健全です。

 ということで、わたしの呑は一人が基本でした。が、今は違います。今日も、家内と晩酌しました。昔に比べれば5分の1の量で酔えます。家内とはたわいもない話で笑います。私の願いは、今日と同じ一日を死ぬ日まで続けばいいなということです。

 おのろけは罪でも恥でもありません。一つの生き方モデルを伝えるものです。ようは見たい人は見て、見たくない人は見なければ良ければいいのです。