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最高傑作

 自然科学と社会科学は違います。自然科学は「正しさ」によって決まります。たとえ、そのことを本当に理解できる人が片手ほどであったとしても、正しいと認められれば評価されます。一方、社会科学はそれによって社会がどう変わったかで評価されます。つまり、分かってもらえる人、共感してもらえる人の多さによって評価されます。

 私は多数の本を書きましたが、それはその時点でのイノベーター・アーリーアダプターが理解できるレベルです。イノベーターだけが分かるレベルだと商業的には成り立たなくなります。また、マジョリティが直ぐに分かる程度のことを私が書く必要性を感じません。だから、中心はイノベーター・アダプターで、マジョリティにも意味があるというのが本を書く際の設計です。というか、そうでないと出版社は受けてくれませんから。世に出ません。

 私は『学び合い』に関しての本を多く書きましたが、最近は『学び合い』に触れていない本を中心に書いています。それは私の中にある「次の教育」を理解するには必要な本だからです。

 私の中には「次の次の教育」があります。しかし、それは商業的にはなりたたないと思っていたのです。なぜなら多くの『学び合い』実践者からも理解できないと思ったのです。だからそれは世に出すことなく死ぬかもなと思っていました。それは現在の西川研究室での教育です。ところが有能な編集者からオファーが来たのです。正直、ビックリしました。そこで書き始めるとするすると書けます。1週間ほどで書き上げました。それから長い推敲期間を経て脱稿し、本日、ゲラが来ました。読み返してみて、良い本だと思います。外国の笑い話に『ある作家に「あなたの最高傑作は何ですか?」と質問したのです。その作家は「次回作」と言いました。』。いい話です。今の私はその気分です。

 もしかしたら単著としては最後の本になるかもしれません(宮崎駿にならないために断言はしません)。少なくとも、1条校の受け皿にならんとする非1条校が淘汰され、真の個別最適化した教育が求められるようになるまでは書けないでしょう。私は5年から10年とみています。その頃になれば、本を書く気力も無くなっているかもしれません。

 いずれにせよ。心地良い。

追伸 困ったことに私の中には「次の次の次」があります。それはSFとしか見られないと思いますし、今の西川ゼミのゼミ生でもせせら笑われるでしょう。困ったことです。