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2004-01-27

[]政治の季節 17:18 政治の季節 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 政治の季節 - 西川純のメモ 政治の季節 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 物事は起こって、直ぐに現れるものではありません。それが表に出るだいぶ前から、一部の人たちは、その可能性を吟味しているものです。そして、それが表に出た後でさえ、それで終わりではありません。表に出た後も、その事の影響は広範囲に広がり続けます。どれほどの影響を及ぼすかをざっと予想するだけでも数ヶ月(時には数年)もかかります。それ故に、表に出る前に一部の人たちが時間をかけ可能性を吟味し、対策が成り立つまで表に出さないんです。それ故、それが表に出た後には一部の人が常に先手を打ち続け、その他の人は常に後手に回ってしまいます。

 日本の大学にとって、100年に一度の大改革が今年の4月1日に行われます。国立大学が独立行政法人に変わります。私も国家公務員でなくなります。大学の全ての規則を変更しなければなりません。ところが、大学の中は極めて静かです。しかし、みんなが息をひそめているというのではありません。多くの人が、大したことはないさ、とたかをくくっています。もちろん、大改革が行われる可能性を予期している人もいます。しかし、無意識に自分がよって立っている根本の部分は無前提に変更がないと考えています。しかし、私はそうは思いません。私自身が無前提に変わらないと思っていることさえも、もろくも崩れさるかもしれません。

 4月1日以降に、大きな変化が起こるでしょう。そして、起こった後でさえ、そこに見えるのはほんの一部に過ぎません。4月1日以降に現れた現象の影響は、その数ヶ月前から周りの人を巻き込み始めているはずです。そして、その影響は数ヶ月、または、数年の内に、現在、「上越教育大学とは関係ない」と思っている人の人生を変えるかもしれません。ましてや、上越教育大学に職を持っている私にとっては大きな影響があるでしょう。大学にとって100年に一度の激変期です。おそらく、これから1年(もしくは数年)は私にとっての最も重大な政治の季節になるかもしれません。後手を打たずに、先手になるように知恵を働かせなければなりません。

[]ちょっと怒って 17:18 ちょっと怒って - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ちょっと怒って - 西川純のメモ ちょっと怒って - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は人とつきあうのが好きではありません。正確には、人とつきあうのは好きなんですが、それ以上に人に裏切られるのが大嫌いなんです。それ故、つきあいを広げるより、裏切られることのない限られた人とつきあいたいと願っています。それが社会生活における私の基本戦略です。

 例えば、学会の懇親会がそうです。私が若い頃、「学会は懇親会に参加するために行くんだ。懇親会に参加するために学会で発表するんだ」と教えられていました。そして、それに納得していました。懇親会というのは、学会発表の後、全国から集まる研究者と知り合う機会として、大きな会場に数百人の参加者が集まり、酒を飲みながら話し合う会です。その機能は、「お見合いパーティ」と全く同じです。しかし、10年以上たつとあることに気づきます。しらふで楽しく話せる人と酒を飲むと楽しいが、酒を飲むと楽しく話せる人と、必ずしもしらふで楽しいわけではないということに気づきます。懇親会で活躍している人が、それを離れて人望を集めるわけではありません。そういうことに気づきました。それ故、私は学会の懇親会に参加しません。その代わり、普段話している院生さん達と学会で飲んでいます。学外の人と飲みますが、それは、普段のメール等でつきあえる人と、連絡しあって二人だけで飲める機会を設けます。私のボスのT先生も、私と同じようなことに十分気づいています。しかし、懇親会に参加されます。理由は、私と違って、酒の席で楽しく飲めれば、しらふな時は別だということは十分に分かって割り切って楽しめます。また、私と違って、しらふで楽しく語れる人の数が多いという特質があります。

 もう一つ、私の業者選定の基準があります。それは納期を守れるか、ということです。「これこれまでにやってくださいね」と軽く頼みます。それに対して「はい」と言ったら、絶対に守る業者を大事にします。そのような業者に次も仕事を頼みます。そのような連続の中で、約束を守り続ける業者を最も大事にします。もちろん、守れない場合は生じます。しかし、信頼できる業者は、その期限が切れる以前に、「すみませんでした」と最初に謝り、遅れる理由、現状の説明、改善策を言ってくれます。このようなことが言えるのは、「約束を守らなければ」という気持ちがあるからです。これが守れる業者であれば、値段の多少は問題になりません。まもれない業者は「約束を守れなければ」という気持ちがないんです。まあ、口先だけでごまかせると思っているんでしょうね。

 納期、値段、仕事の質は、それぞれ誠意、駆け引き、能力に対応します。私が重視するのは、第一に誠意であり、第二に能力です。誠意や仕事の質を値段で代用しようとする業者は二流にしか過ぎません。値段は誠意がある業者であるならば、それほどのバカな値段設定をするわけがありません。差があっても、最大でも20%以下です。私には色々な仕事があります。値段の駆け引きをする時間はありません。それ故、その人が納期を守れるか、つまり誠意があるかの1点を重視します。それさえ守れる業者であれば、「お任せ」です。この戦略で仕事のつきあいをして、間違いがありません。納期の守れない業者は、どんなごたくをいっても浅薄なものです。それに値段や仕事の質が落ちる前兆に、納期が守れないという現象が現れます。

 3年前まで、西川研究室に所属したいという学生さんに、最初に結ぶ「ただ一つ」の契約は以下のようなものです。(学部OBの方、そうでしたよね)

 『自分がやると約束した期限は必ず守って。でも、世の中何が起こるか分からないから、守れないことあるよね。その場合は、約束した期限の前に、「出来ませんでした」と言ってね。そうしたら、「じゃあ、いつ出来るの?」と聞くから。』

 最近は言いません。理由は、守れる学生さんは守れるし、守れない学生さんは守れないからです。結局、契約の問題ではなく、私との約束を「守りたい」と思うような人間関係を結べるか否かですから。

追伸 学外者の期限を守れないたわけた理由を、もっともらしく承り、「その通りですね」と言わざるを得ない自分に怒ってメモりました。裏切られるような人とつきあいたくない、と再度、強く感じました。