■ [大事なこと]美学

私の引き際の理想の姿を書きます。
最終講義はありません。断ります。
卒業式に卒業・修了生のゼミ生と飲むでしょう。私の会ではなく、ゼミ生と私の会。「お互いに次のステージに進むね」とゼミ生に言います。
おそらく、かなり飲むでしょう。でも、1次会で帰ります。家では家内が待っています。そこで軽く晩酌をして寝ます。おそらく、イビキが大きいかもしれません。次の日から頭の中には仕事のことは何もありません。家内の指示の下、家事をしているでしょう。
私は高校教師の時代、一度退職をしました。その結果、分かりました。自分にスポットライトが当たる引き際は、自分がいなくなったときに問題が起こります。私がどうでも良くなる状態にソフトランディングしたい。
おそらく、関わる人はそれを許さないでしょう。私は指導教員の小林学先生に言ったように、そして戸北先生に言ったように。「退職の会は、先生のための会ではなく、先生の節目を祝いたい人のために会なのです」と。でも、私はつっぱって断りたい。
私の美学です。
私の関わる人にこの願いを何度かに分けて伝えます。
■ [大事なこと]組織

教え子に教えることです。
「単発での仕事はお金で選びなさい。誠意はお金も表れる。お金にも現れないなら誠意はない。中長期の仕事ならば人で選びなさい。一緒に仕事をすれば様々なところにそれは現れる。」と言います。その一部は「7つのルール」に書きましたが、多くはゼミ所属した人に口伝で伝えます。
私は教育同人社と長いつきあいをしています。一度、組織的につきあうことのお申し出をいただきましたが、特定の会社とつきあうことにためらいがあり、お断りしました。その後のことです。
『学び合い』の会にブースを出していただく企業が何社かありました。会での講演中は参加者はそちらに行きます。従ってブースは閑散としています。私は何度も全国規模の学会の大会事務局長をやったので、そんなときのブースを見ています。大抵は、いっしょにブースを出した業者同士で雑談をしています。ところが教育同人社の若い社員は講演会に参加し聞いているのです。そしてメモを取っているのです。「これは違う」と思いました。そこで本格的におつきあいを始めました。
社長みずから上越に来て授業参観をしました。明るい方です。
先生方の飲み会に参加し、ビールをついでいる企業の営業の方はおられます。ところが、『学び合い』の会で発表者の一人として参加する企業の方は教育同人社の方ぐらいではないでしょうか?
営利企業なのですから、営利は必要です。しかし、営利を目的としていない方々だと思っています。
ドラッカーは「企業とは何かを問われると、たいていの企業人が利益を得るための組織と答える。たいていの経済学者もそう答える。この答えは間違いであるだけでない。的外れである」と述べています。
「利益とは、企業存続の条件である。利益とは、未来の費用、事業を続けるための費用である。」なのです。利益を目的としている企業と、手段としている企業(利益を目的としている人、手段としている人)は比較的簡単に見分けることは出来るものです。