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2004-09-01

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 私の学部の授業で、レポートとして「なぜ、理科は難しいと言われるか?」という本を読ませて、それに関する課題を課しました。ゼミ生のYkiちゃんがやっと提出しました。ウルウルしたので可視化します。

 『なぜ、理科は難しいと言われるのか?』のレポートなので本の内容に沿って書こうと思ったのですが、なかなか進まないので最近感じたことを書きます。

 最近、ゼミ室を利用することが多いです。夏休み中の課題をするために通い始めたのがきっかけですが、1日の半分をゼミ室で過ごしているうちに、少しづつ西川研究室がどういうものなのかがわかってきました。それと同時に、今まで先生がおっしゃっていたことは本当だったんだなぁと思うことが多くなりました。こんなことを書くと、今まで何を学んできたんだといわれるかもしれませんが、最近1週間で、本に書いてあることの多くを実感しました。

 私は後期から卒論の調査を始めようと思っていたのですが、どのように依頼をすればいいのかわからないことがいくつかありました。周りの友達に聞いても、私と同じような立場の人ばかりなので、具体的な方法を知っている人はいませんでした。そこで、意を決して院生さんに聞いたところ、院生さんは私に調査依頼をする過程を詳しく教えてくださった上に、実際に使った依頼書のコピーまで貸してくださいました。そのおかげで、私は実習先の校長先生と実習担当の先生に対して、自分のやりたいことをきちんと伝えることができ、また、調査方法で悩んでいる時にも適切な助言をしてくださいました。その結果、私の問題の主要な部分は解決しました。もしあの時院生さんに聞かなかったら、きっと私は先生に「どうすればいいでしょうか?」と聞いていたと思います。そして、いつものように「どうして僕に聞くの?院生さんにきけばいいじゃない。」と言われていたと思います。

 振り返ってみると、それまで私はゼミ室に行ったことが数えるほどしかなく、院生せんとちゃんと話したこともほとんどありませんでした。院生さんに聞くときに「意を決して」と書きましたが、急にゼミ室に行って調査依頼の方法を聞くなんて、あつかましいというか、ずうずうしいような気がしていたので、かなり緊張していました。でも、前述したとおり、それは私の杞憂でしかありませんでした。先生の本を読んで学習の3階層については理解しているつもりでしたが、その本当の意味は理解していなかったと思います。院生さんに調査依頼の方法を聞いてから、自分の身近にあったエンドユーザー(私)、ゲートキーパー(院生さん)、ブレイン(先生)の関係を実感しました。そして、それがわかったとき、鳥肌が立ちました。先生はよく「涙が出るほど感動した」と表現していますが、それに近いものなんじゃないかなと思います。そしてそれと同時に、本を読んでその3階層については理解したつもりでいたけれど、私には「先生=答えを教えてくれる人」という意識が深く根付いていたんだなと思いました。

 以前は「敷居が高い」と思っていたゼミ室ですが、今回のことを通して、その敷居を高くしていたのは私自身だったということに気づきました。でも、本当は今でもゼミ室に入るときは緊張します。ゼミにいる人のほとんどが私より年上ですし、院生さんのなかに学部生が私1人だけというときもあるので、毎回ドアに貼ってある表を確認して、心の準備をしてから部屋に入ります。でも、誰がいても、私のことを笑顔で迎えてくれます。お茶やご飯に誘ってくれたりもします。お茶を飲みながら話すことは、世間話から教育問題までさまざまで、なかには私にはわからない内容の話もあったりします。でも、そんなときは私の様子を察知して詳しく説明し直してくださいます。私もそれがわかってきたので、わからないことを聞くのに抵抗を感じることが少なくなってきました。ちょっとはゼミの先輩方との距離が縮まったのかなぁと嬉しく思っています。

 結局、本の内容の1部分しか関係のない話だったのですが、3階層のことがわかって本当に感動したので、書きました。提出が遅くなって、すいませんでした。

追伸 私からの返信は以下の通りです。

 一言加えると、エンドユーザー、ゲートキーパー、ブレインは固定していないと考えるのが我々の考え方です。エンドユーザーは院生さんだったり、私だったりします。また、ブレインはYkiちゃんである場合もあります。それがゴチャゴチャするから学び合える集団は、どのメンバーとってもためになるし、いごごちが良い集団なんです。しかし、上記は方法に関してです。目標の設定においては、教師が常に責任を負わねばなりません。もちろん学習者が目標を設定する場面はあると思いますが、その場合は、学習者の設定する目標を定める根拠となる上位の目標を設定しなければなりません。そのことも心にとめてね。