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2006-04-08

[]万能の処方箋 13:08 万能の処方箋 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 万能の処方箋 - 西川純のメモ 万能の処方箋 - 西川純のメモ のブックマークコメント


 ある方よりメールを頂きました。内容は「万能の処方箋は無いはず」というものです。

 我々は、子どもたちが主体的になること、その具体的な姿として「学び合い」を提案しています。そして、それは、小学校でも中学校でも高校でも、国語でも社会でも数学でも、有効だと主張します。学力は向上し、人間関係は良くなり、教師は気が楽になると主張します。普通の教師だったら、「バカな!」と思うでしょうね。その方も同じような思いだと思います。その方から、教育の状況は様々で「万能の処方箋は無いはず」と書かれてあります。それを読みながら、「ありがちな誤解だよな~」と思いました。

 「万能の処方箋は無い」と言っている方ですが、でも、「小学校国語の万能の処方箋」、「高校理科の○○の万能の処方箋」・・・・があると思っているのではないでしょうか?十歩さがっても、「50%以上の児童について、小学校国語の万能の処方箋」、「50%以上の生徒について、高校理科の○○の万能の処方箋」があると思っているように感じます。でも、そんなことってあるでしょうか?私は理科が得意でした。そのため、試験前に同級生から理科に関して教えて欲しいと頼まれました。同級生が納得するには大変です。○○という説明をして、それに対して○○という疑問がぶつけられ、それに対して○○という補足の説明をしへ・・、という連綿があって分かってもらいました。さらに言えば、それでも分かってもらえませんでした。それなのに、教師が○○と説明するなり、発問すると、クラスの50%以上が分かるなんてリアリティありません。このことは、認知研究をやった我々が、学術的にも保証できます。ところが、多くの教師は「50%以上の児童について、小学校国語の万能の処方箋」、「50%以上の生徒について、高校理科の○○の万能の処方箋」のような良き指導法を求めています。馬鹿馬鹿しいと思います。はっきり言います。そんなのありません。実際は、学年、教科、単元どころではなく、その日、その子ごとに最善の指導はあるんです。

 我々の研究の出発点は、「最善の指導法は何か?」ではありません。そんなのあるわけありません。我々の研究の出発点は、「最善の指導法を考えられるのは誰か?」です。それは「当人」なんです。そして、「当人が自分自身に対する最善の指導法を考えられ、実現するにはどうしたらいいか?」ということなんです。我々は、日本人口1億がおり、それがそれぞれの状況という無数の最善の指導法を知りたいと思いません。そんなの数限りなくあります。でも、人が自分の最善を目指し、実現する状況は同じだと思っています。それは、ホモサピエンスという、群れる生物言語という手段を持つ生物に由来します

 でも、旧来の囚われに縛られる限り、以上のことは禅問答のように思われるかもしれません。でも、これが分かれば、全ての状況において、学力は向上し、人間関係は良くなり、教師は気が楽になります。それは実績で、保証します。