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教科書の使用義務

 『学び合い』では教師が教科書を読み上げ、そこにある問題を解かせて進める授業と違った進め方をする場合があります。そうすると教科書を使わなくていいのか?という疑問が起こります。本日、それについての質問があったので私の理解を書きます。ただし、厳密では司法の判断によることであるので、以下で書くことは私の解釈であることを述べます。

教科書に関しては様々な法律がありますが、その殆どは検定制度や無償提供に関するものです。その使用方法を書いているのは、教科書の発行に関する臨時措置法第2条「この法律において「教科書」とは、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及びこれらに準ずる学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。」です。この「主たる教材として、教授の用に供せられる」をどのように理解すべきかということに依存します。ここでの「主たる」の定義がない以上、教師や学校長の判断に委ねられていると解釈すべきです。

 学校教育法第34条には「小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。」と書かれています。さらに同④には「教科用図書及び第二項に規定する教材以外の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。」とあります。従って、「主たる」とは、「使用しない」ということが許されない唯一の図書を意味すると解釈しています。

 そもそも、もし、それ以外の解釈ならば「主たる」を計る操作的定義を法の条文によって組み立てなければならないのですが、そもそもそんなものないのですから。

 教科書を使うか、使わないかより大事なのは、学習指導要領に定められたものを学習者が学ぶことです。私は学力的に最底辺で、中学校の内申書が純粋無垢のオール1の子を多く含む高校で物理を教えました。検定を通った教科書を使って授業するのなんてどだい無理です。だから、学習指導要領に書かれていることを子どもに合わせて解釈し、子どもに合わせたプリントを作成し、子どもに合わせた速度で授業しました。不思議なことに、子ども達は何故か教科書を持ってきて、机の上に置いていました。

これは多かれ少なかれ教師がやっていたことだと思います。

 『学び合い』の実践者も、学習指導要領で定められたことを学習者が学ぶに最善であるという授業を組み立てています。だから、法に合致していると解釈しています。

追伸 灘校の伝説の国語教師である橋本武教諭は教科書を使わず「銀の匙」だけを教材であることを公開しています。厳密な意味で言えば、未履修問題が起こってもおかしくない。日本の枢要を担っている人の中には高校卒業を取り消される可能性さえあります。が、そんなこと口の端にも上りませんでしたよね。ようは橋本教諭が学習指導要領に定められているものを教えたと周りが認識しているからだと思います。

追伸2 だからといって、一般の教師が「私は教科書を全然使いません」と大ぴらにすることは大人として賢明ではないと思います。そんなことしたら面倒くさいことが起こります。それなりの理論武装はすべきですね。