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2007-04-24

[]あと、もう少し!ガンバ21:55 あと、もう少し!ガンバ! - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - あと、もう少し!ガンバ! - 西川純のメモ あと、もう少し!ガンバ! - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』にトライしている方より以下のメールをいただきました。

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西川先生こんばんは ○○です。

みんな「○○」を覚えよう。~というめあてを立てて活動させました。(覚えるくらいに音読すれば相当理解も深まるだろうと考えていました。)

1時間で2ペ-ジは大丈夫だろうと思いそう指示しました。はじめ!の合図で勢いよく音読の声が教室に響き渡りました。この調子でいくと2ペ-ジは軽いなとみていました。ところが、なかなか達成できません。結局2時間あまりかけて達成できたのは、34名中20名でした。(励みにと黒板に名簿を貼ってチェックさせました。それが、競争心を煽り返ってプレシャ-となり意欲をなくした子もかなりいたのでしょうか)なぜ、思い通りいかなかったのか分かりません。その時たまたま先生の奥義書に、ある方の音読の実践が紹介されていました。その方のめあてを参考にして

~やっている自分達も聞いている友達も楽しいと思える音読をしよう。~

というめあてで、「2日後に発表会をします。」と言って取り組ませました。子供達は楽しんで生き生きと取り組み始めました。他のグル-プの練習がうるさくて嫌だからとロ-カや図書室で練習するグル-プもいます。先生「図書室の先生に褒められたよ」と言って喜んで戻ってくるグル-プ。給食の準備時間に練習するグル-プ。と意欲的に取り組んでいます。こちらがどんなに一生懸命関わってもこうはいきません。学び合いの威力はとにかく凄いの一言です。

これまでは、管理職が「めあてを週案にしっかり書きなさい」と口うるさく言うから、仕方なく指導書から多くの時間をかけて丸写ししていました。(多くの先生方がそうしています。だから「何でこんな無駄なことに時間をかけさせるのだ!」と裏でぼやいています。)ところが今回の件でめあては、なぜ立てるのかが分かった気がします。(めあて1つで子供の活動はまるっきり違うのです。)それからもう1つ思ったことは、~みんな「○○」を覚えよう。~というめあては、めあてではなくこちら(教師)からの方法の強制になっていたのかなと言うことです。子供達が学び合わなかった大きな原因の1つなのでしょうか。

とても気になっていた例のNくんですが、相変わらず姿勢も悪くうつぶしていることが多いのですが、授業中少しふざけたりは、するものの以前は友達からの関わりだけでしたが自分から進んで学習に関わるようになってきました。掃除給食当番も進んでやっています。特に、表情が明るくなり、休み時間によく話しかけるようになってきた事がうれしいです。ほとんど目立たなくなってきています。(他の子の方が気になるくらいです。)

先生の奥義書は、もの凄い本です。とても参考になります。

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私の返信は以下の通りです。

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あと、もう少しで、最初の山は越えそうですね。めあては大事です。でも、小技になってはいけません。大事なのは、子ども達の能力を本気で信じてください。そして、学校教育は何のためにあるかをちゃんと語り、○○さんがそれを本気で信じてください。その次元で考えると、何故前者が駄目で、後者が良かったかが分かります。

大事なのは二つです。

教師が本当に願っている結果を伝えることで、どのようにするかという方法を目標と取り違えてはいけません。ここで本気で信じているか、否かが問われます。子どもを信じていないと、お節介に方法に介入します。

そして、どんな課題であっても「一人の例外なく、全員が達成する」ということを求めることです。妥協してはいけません。ここで本気で信じているか、否かが問われます。信じていないと、それが子どもに伝わります。そして、勉強の得意な子が自己中心的な戦略をし始めます。

もう少しですよ。遠慮せず、どんどんメールしてください。

追伸です

相手を意識出来る目標は「魔法」を起こします。

「だれだれのために」という目標は、それが成り立ったか、成り立っていないかを判断する基準を持てます。

それゆえ、目標イメージすることがたやすくなります。

そして、「己のため」の目標より、一段高い、動機付けを可能とします。

一方、競争は絶対にさせません。

競争は『学び合い』と相容れないものです。

2004年7月8日メモをご参照下さい。

[]反『学び合い21:32 反『学び合い』 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 反『学び合い』 - 西川純のメモ 反『学び合い』 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日大学院の授業です。そこには、『学び合い』の対極の授業をしています。話術と教材研究の力で、ねじ伏せるように、1時間15分間、語り続ける授業です。授業と言うより、「It's a show-time!」です。

 漫才師の最高の修行の場は、ストリップ小屋だそうです。というのは、面白くなければ、ぼろくそにされるからです。私の教師修行は、定時制高校でした。そこでも同じです。面白くなければ、分からなければ、そして、人間として認められなければ、座っていただけません。そこで鍛えた話術と教材研究の力を、静かに聞いてくれる大学院生にぶつけるのですから・・・。

 語りながら、「俺って、うまい授業やっているな」という自己陶酔、同時に、「それって危険な考えだな」、そして『学び合い』に反するな、とも理解しています。でも、せめて年間15回程度は、かって磨いた己の技量を使いたいと思います。

 だめだな~・・・

[]沈没船 21:32 沈没船 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 沈没船 - 西川純のメモ 沈没船 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が若かったとき、私の職場大学ではなく、大学の中の一つのコースにすぎませんでした。大学の二百弱の先生の中で、私が関わるのは10%程度の人たちです。大学の動きは、そのコースの偉い先生からの間接的情報だけでした。その集団のみんなが、「そうだ」と思っていることに疑問を持っていませんでした。恐ろしいことだと思います。

 今、どんな教員養成系大学も、実情は沈没船です。あまりにもゆっくりと沈んでいるので、客室の中にいるかぎりは気づきません。もちろん、「沈んでいるぞ~」と叫ぶ人はいますが、「そんなバカな~」と「みんな」が言っているので無視します。「そんなバカな~」と言っている人のよって立つ根拠はありません。「I hope」が「It must be」と思いこんでいるにすぎません。

 自戒のため、メモります。

 大学教員が繋がるべきは、事務の方々です。それらの方々の知恵情報は実に貴重です。客室の客が気づかなくても、操舵室で働いている人は、沈没の情報をいち早く得ています。一人でも多くの教員がそれに気づき、救命胴衣をつけて欲しいと思います。

 独立法人化、教職大学院、免許プログラム、設置基準の大綱化・・・、布石は打たれています。