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2008-03-01

[]ヤマハ 22:44 ヤマハ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ヤマハ - 西川純のメモ ヤマハ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日は息子のヤマハ音楽教室の発表会です。幼児科の発表を聞くと、「昨年はああだったな~」と思いました。昨年は、周りの子どもが静かに壇上に登場するのに、息子だけはスキップして登場していました。今年は静かに登場しました。成長を感じます。

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 以下は、私以外には興味のない内容です。1年後か、2年後の私への備忘録です。

 初期型コンピュータが開発された当初、その計算能力に驚いた研究者が、「コンピュータによって科学の問題は全て解決されるだろう」とつぶやいたそうです。当時の大型コンピュータの能力は、現在のパソコン以下です。有名な事実に基づく笑い話です。

 ある同志のブログ(残念ながら『学び合い』グループ内だけの公開ブログです)に「正直なところ今の『学び合い』の広がるスピード、明らかにしていき課題の変化に対応し切れていません。これまでのスピードや広がり、深さに対して違うレベルで対応しないと後追いになってしまいます。でも、一番疑問で困っているのは、『学び合い』が広がり、進んでいく目標は何なのかをつかみきれていないことだと思います。」とありました。後段の目標は何かですが、これは日本を変えること、世界を変えることです。前段のスピードの点は私もビックリしています。少なからずは私自身が仕掛けたものですが、その成長スピードが幾何級数的なのにはビックリします。しかし、私自身が困惑しているのは別のところなんです。

 私は実態調査研究から学術の世界に入り、認知研究に入りました、その結果として『学び合い』研究にいたりました。そして現在、この方向での学術研究は終わったと感じるのです。不遜ながら、『学び合い』によって今の学校教育の全ての問題を解決出来ると思っています。学術研究者でありながら、こんなことを真面目に信じている自分にビックリしています。かっては未解決の問題がありました。例えば、「班構成は自由班が良いか?規制班が良いか?」、「学び合うことを子どもに求めるべきか?」、「教師に『学び合い』を伝えるにはどうしたらいいか?」等々の問題がありました。が、現在、そのようなものが無いのです。教育に関するあらゆる問題に対して、明確な解決策が語れる段階に達したと思います。今後も研究は行いますが、ほぼ結果は予想でき、まず、外れるとは思えません。

 私は日本の教育を変えたいという志を持っています。そのために私が出来ることは学術研究であるので、それを職としておりました。そして、その研究を行うに最高の場として上越教育大学に在職しております。しかし、日本を変えるということに関して学術で出来ることよりも、教育運動で出来ることの方が大きいように感じてしょうがありません。

 日本を変えるためには、より多くの教師が「『学び合い』がもっともらしい」と思ってもらわなければなりません。我々は、多くの教師が学び合わせることに苦労していると考え、学び合わせる手だてを研究し、「学び合う教室」、「学び合いの仕組みと不思議」をまとめました。学び合うことのすばらしさを知ってもらうために、「静かに!を言わない授業」、「座りなさい!を言わない授業」、「忙しい!を誰も言わない授業」をまとめました。さらに、学力保証を求める教師が多いことから「勉強しなさい!を言わない授業」をまとめました。教科学習における具体例が必要であると言われるので「学び合う国語」をまとめました。特別支援の子どもがいるから無理だと言われるので、『学び合い』の特別支援の本をまとめました(近日、発行です)。でも、それで分かったのは、学術データをいくら積み上げても、説得されない人は多いということです。結局、「隣の人もやっている」という「学び合いの仕組みと不思議」で紹介していることが大事だと分かりました。私がやるべきことは学術ではなく、「洗脳旅行」を企画し、動画配信をし、ライブを企画すること、そして、それらを組織化することのように思えてしょうがないのです。でも、私はその方面は得手ではない。それ故、手詰まりなんです。

 ただし、学術で残されたテーマがあります。ただし、それは研究しても実際に日本を変えることは出来ないと分かっているテーマです。それは教育内容を大幅に変えるという研究です。さわりだけを言えば、現在の小中高の12年間で学ぶ内容を小学校の6年間で終わらせるのです。これは『学び合い』と内容精選で可能です。そして、中学校の3年間、高校の3年間は大学で行っている最先端の研究をさせるのです。中学校と高校の違いは、学び合う集団構成です。中学校は義務教育なのですから、地域のクラスメートで学び合うのです。例えば、「刑法の改正」とか、「来月の日銀の政策金利は何パーセント?」とか、芥川賞に応募するとか、発展途上国に学校を設立するとか・・・です。高校では、それらに関して適正のある生徒が広い範囲から集まり、ネットを通じて全世界を関わりながら解決するのです。つまり、非常にレベルの高い大学というわけです。私には、この妄想がリアルに思い浮かべます。これを実現するために、内容精選と順序性を明らかにする理論を完成するというのが残された学術テーマです。もちろん、現在の内容精選や順序性の考え方とは根本的に考え方が違います。『学び合い』の考え方に基づくものです。

 しかし、いくら脳天気な私でもそれが実現するとは思えないのです。現状の『学び合い』は学習内容をとやかく言いません。求められるものを達成することを実現するだけです。だから抵抗が相対的に少ない。だったら、そちらに力を注ぐべきなのかもしれません。しかし、それでは学術ではなく運動になってしまう。どうしよう