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2011-07-17

[]妄想 22:26 妄想 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 妄想 - 西川純のメモ 妄想 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 初めて研究の世界に入ったのは22歳の大学院に入ってから。それから30年がたとうとしています。今、ふと思いました。私はコンピュータと統計分析という鉱脈を見つけました。何が分かったか、それを数学的に証明することは当時の教育研究でも大事であろうな、ということは分かっていました。ところが、当時の教育研究では本当に稚拙な状態でした。ところが、私には大型コンピュータと統計分析という武器を身につけました。だから、本当に簡単に論文が書けました。

 次の大鉱脈は認知心理学でした。その当時は教育史や比較教育、そして教材開発が全盛の理科教育学でした。そこに認知心理学で若い十人弱の研究者が殴り込みをかけました。本当に大変でした。が、大変だったと言うことは、ある意味、楽なのです。パラダイムの中で勝てるのは本当に賢い奴らです。でも、パラダイム変換をしているときは、凡夫でも仕事が出来ます。本当に論文が書けました。当時の同級生(研究者)からは、どの学会誌を見てもおまえ(私)の論文が載っている、と言われました。当時の業績は、多くの学会から賞を与えてくれました。

 でも、満たされなかった。教師としての私は納得できなかった。で、生み出したのが『学び合い』です。これも大鉱脈です。教師一人だけでやるべきだというパラダイムを、一人よりは「まし」というごくごく単純な根拠をベースとしているのですから、大当たりです。そして、多くの教育研究者には夢のまた夢の環境が整いました。

 全ての子ども、教師にICレコーダーを装着し、多くのビデオで記録することが出来るのです。それも、長期にわたった教育実践を提案できるのです。そ、れ、も、学校レベル、いや学校群レベルのことを。これで素晴らしい論文が凡夫にかけないわけ無い。そして、日本全国レベルのネットワークを構築できるのです。笑っちゃいます。明治以来の教育学研究の中で、この機会を享受できた研究者は何人いるのでしょうか?それが凡夫である私が享受できることの、まか不思議さを感じます。

 で、本日思いました。もし、私が30年後に生まれ、西川ゼミに所属し、研究生活の初期に『学び合い』に出会ったとしたら・・・と思いました。30年前の私と同じように教師となり、で、縁あって研究者の世界に生きるような「はめ」になったとしたら、と思いました。

 おそらく、教科内容の検討の研究があるでしょう。つまり、本当に学ぶべきは何かを本気になって検討し、不必要なものは削減されるのです。さらに、学校という組織の再検討があるでしょう。学校は保護者や地域を包含し、マネージメントする組織に脱皮すべきです。また、十八まで学び、それから社会や専門教育に進むということの是非が問われます。つまり、小学生が仕事に就き、研究をして、その中で自分の適性を見出し、そこで必要なことを学ぶのです。

 ここまでは私でも想定できます。が、その先が見出せません。その先は何だろう、と思いました。が、それはどうでも良いことでしょう。私にとっても他の人にとても。だって、その先がリアルな課題となる時代には、私は完全に引退しているし、へたすると鬼籍に入っています。きっと、私が次々に鉱脈を見出したように、次の世代が鉱脈を見出すのでしょう。

 もし、私が長命を授かったら、それを知ることが出来るかもしれません。『学び合い』が定着していたならば、その成果は実践の場に還元されているはずです。その場には、だれでも参加できます。くそジジーの私も。そうしたら、現状の成果は何か、それに至った経緯を、会に参加している若い人に教えてもらえたら嬉しいです。きっと優しい若い人がいるに違いない。

 という妄想を描きました。あはははは。とても楽しい映像です。

[]会の開き方 10:12 会の開き方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 会の開き方 - 西川純のメモ 会の開き方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』の会の開き方を、私のHPに公開している手引き書の最後に付録に付けました。