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2014-05-03

[]利害 18:44 利害 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 利害 - 西川純のメモ 利害 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 大学に行って仕事をしようとしたら若いOBがいました。ただちに相談に乗ってあげました。その相談とは、「早く結果を出したいと焦っている」とのことでした。そこで以下のように語りました。

 早く結果を出したいと思ったり、結果を出せない子どもにイライラしていたとしたら、それは自分のために結果を出したいと思っていることを意味します。もし、子どもために結果を出したいと思っていたら、中長期で物事を見ることが出来ます。そして、良い兆候をちゃんと見て取れるし、イライラしない。だから、自分のためにイライラしていることを自覚することが大事です。

 自分のためにイライラしていることを自覚したら、次にやるべきなのは、最悪のことを予想すること。どんなに失敗しても、結果を出せなくても殺されることはありません。そして、あなたがすがりつけば解雇されることもありません。そして教師の場合であれば、1年のサイクルで動いているので、今の状況は1年で脱することが出来ます。ということで、最悪を覚悟すれば、気が楽になります。

 その上で、最悪よりも「まし」になる手を考えます。

 多くの人が自分のためにイライラするとき、直ぐに完全解決出来る方法を考えます。そして、それがなかなか思いつかないので、さらにイライラします。でも、もともと直ぐに完全解決する方法なんて世の中に無いのですから、無理です。その方向でイライラしても解決出来ません。しかし、最悪よりも「まし」になる手は、色々とあります。それを多様にやり続けるのが最善の手なのです。

 とOBに教えました。そして、このことは「『学び合い』ステップアップ」と「なぜか仕事の出来る教師の7つのルール」に書いていると言いました。ふぉふぉふぉ

[]教職大学院 08:29 教職大学院 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教職大学院 - 西川純のメモ 教職大学院 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は彼女のため、彼氏のためにゼミを欠席することを認めていますし、奨励もしています。何故ならば一生の伴侶になるかもしれない人を大事にすることは、卒業研究や修士研究よりも優先すべきです。

 ましてや、家庭持ちの人が伴侶や子どもをゼミより優先することは当然だと思っています。

 という私が上越教育大学の教職大学院の制度設計をしました。だから、家庭持ちの人が幸せに学べるシステムは完備しています。私は「○○だから駄目」と思っている人に言います。誤解です。

 例えば、夫婦共稼ぎで地元から離れることが出来ない方。大丈夫です。最低限、4月~8月上旬は上越にいる必要がありますが、それ以降の1年と8ヶ月は地元にいることが出来ます。事実、今、九州から我がゼミに所属している方もいます。1年は大学院、1年は現任校で仕事をしながら大学院とは違ってじっくりと学べます。その1年と8ヶ月は定期的に上越に来て、アドバイスを受けることが出来ます。ちなみに昨年度、三度も九州入りしたいのはその院生を派遣してくれた学校へのサポートが主目的です。

 奥様が専業主婦、また、産休・育休中の方の場合、上越は子育てにはベストですよ。大学には世帯棟が整備されています。直ぐにママ友が出来上がります。今日は○○のランチの会、明日は○○の会というような感じです。おそらく奥様にとってはパラダイス状態です。私のゼミ生から言われたのですが、上越に行くことを最初は渋っていた奥様が2年後に世帯棟を出るとき、「今度はいつ大学院に行けるの?」と言ったそうです。

 長年、子どもが出来なかった夫婦が上越で子どもが出来た方もすくなくないですよ。教師は忙しい、体力的にも精神的にも忙しい。ところが上越で余裕が出来たために出来たのです。これまた、私のゼミでもそうでしたよ。そして、学部ゼミ生が子育てのサポートに入っていました。そのお返しに、卒論作成の手伝いを現職院生がしていました。ウインウインの関係ですね。

 また、婚活をする院生もいます。三十代後半の女性教師が我がゼミに所属しました。修士1年の時に婚活をがんばり、修士1年の終わりに結婚にゴールインです。そして、修士2年の最後に妊娠したことを私に報告しました。ちなみにその子の名前の中に「純」が入っています。

 私は家庭を大事にします。だから、学生さんにも家庭を大事にして学んで欲しい。だから、上越教育大学の教職大学院では、それを実現出来るカリキュラムや制度を作りました。ご安心ください。

 男性の方に申します。

 みなさん、伴侶が「この人と一生生活しよう」と決めるか否かを、いつ判断するかご存じですか?それは伴侶が一番苦しいときなのです。女性が一番大変なときはいつか、それは子育ての時期です。大抵の教師は、その時期、自分も忙しい。そのため伴侶に多くを押しつけています。もちろん、最近の男性は以前に比べて協力的です。でも、やはり伴侶にお願いしている部分は少なくありません。あなたの老後におしめを替えてくれるのは伴侶であることを自覚してください。この世でゴマをするべき相手は、伴侶です。大学院だったら、それが可能ですよ。それに、子どもと接する時間は宝です。徹底的に接するべきです。

 ちなみに、多くの人がどん引きするかもしれませんが、息子が生まれてから幼稚園に行くまでの私の日常は、9時に家を出て、9時15分に大学、11時45分に大学を出て12時に家に戻ります。2時に家を出て2時15分に大学、4時45分に家を出て5時に帰る、という生活です。その中で、息子の風呂入れや、添い寝など私の出来ることをしました。

 もちろん、上記の生活でも従前の論文生産、授業、学生指導に支障が無いように、インターネットや休日出勤も併用しました。ま、そんなことも大学院ならば出来ます。

なお、今更、難しい研究は嫌だ、という方もご安心ください。本学のスタッフは、実践と学術の両面が出来る人で固めております。バリバリの研究をしたい方はそのように指導しますし、実践で頑張りたいという方にはそのように指導します。教職大学院は修士論文は課されていませんが、学習の成果のまとめは課されています。でも、それをどのような形式でやるかは、多様性が担保されています。そして、修士論文と違って協働作成が可能なのです。ということでご安心を。

 大学院派遣の知らせが流れていない、という方へ。教頭や校長に聞いて下さい。そこで止まっている場合が少なくないですから。

[]謎 07:08 謎 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 謎 - 西川純のメモ 謎 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』の授業では、課題の答えを最初に教え、みんなが納得する説明を考えることを課題にすることはよくやることです。また、教卓に教師用指導書を置いて答えを公開することはよくやることです。

 そうすると、「答えを最初に教えると子どもは発見の喜びを得られない」という人がいます。困ったことです。

 教育の世界では「子ども」、「子どもたち」という言葉が安易に使われすぎています。「子ども」とは誰なのでしょうか?「子ども」という子どもは誰もいません。一人一人が違います。クラスの2、3割の子どもは学習済みです。そして2割ぐらいは最後まで分かりません。そして中間層の多くは、授業途中に小出しに出されるヒントでほぼ「答えを教えて」いることによって分かります。それに理科の場合は、次のページに答えが書いてありますから。

 つまり現状の授業で発見の喜びを味わっている子どもは多くは無いのです。

 じゃあどうするか?そりゃ答えを見いだすのでは無く、みんなが納得する説明という全員が未知な課題を解決するのです。その方が発見の喜びを得られる子ども数は圧倒的に増えます。そして、一人も見捨てないということを文化とすることによって全員が発見の喜びを得ます。もちろん、その子どもの能力によって様々なレベルになるでしょう。

 成績の不得意な子どもは、「その問題を解くためにどうしたらいいか?」ということを発見します。それより成績上位層は、『その「様」な問題を解くためにはどうしたらいいか?』ということを発見します。そして、成績の最上位層は、教師の視点で問題を見ることが出来ます。

 考えてみてください。刑事コロンボは最初に犯人を教えます。では、刑事コロンボはつまらないでしょうか?そんなことはない。刑事コロンボの謎解きは、犯人は誰かではなく、犯人の追い詰め方を楽しんでいるのです。

 受験勉強で自宅で勉強しているとき、どうしても解き方が分からない場合は答えを見ますよね。そして、「あ~、な~るほど」と納得しますよね。つまり答えから解き方を逆算します。あれって「発見の喜び」ではないのでしょうか?

 こんな、当たり前のことが、どうして分からないのか、それが私にとっての謎です。