■ [大事なこと]芸人
人を引きつけなければならない職業に芸人と教師があります。一見似ていますが、違います。芸人は一発勝負です。教師は最低でも1年の勝負です。
芸人は芸人の出番を見ても笑いません。その芸人のテクニックを冷静に判断します。「あ、集団の圧力を使ったな」、「あの人をいじくって笑いをとったな」、「あのくすぐりは、○○さんのまねだな」とね。目の肥えた客でも同じです。私は落語の大名人の話を何回も聞きますが、百回聞いて百一回聞きたいと思えるのは、大名人といえども5、6ぐらいです。
これは子どもといえども同じです。教師の話芸を冷静に見ている子は必ずいます。
さて毎日の授業で話芸で勝負する教師がいても、1ヶ月で見破る子どもいます。3ヶ月になれば4割程度は見破るのでは無いでしょうか?その時です。「私の話芸で子どもは縦横無尽に動かせる」と思い込む教師と、「子どもを何とか楽しませたい」と思う教師に分かれます。前者は芸人の技の低いレベルで評価され、不可とされます(可となるならば芸人になるべきです)。後者は楽しませたいという願いを持っている教師を評価します。少なくともクラスの2割はそうなります。
だから、私は一回勝負の講演会しか話芸は使いません。講義でも使わないようにしています。使いすぎれば、鼎の軽重を問われるからです。1ヶ月過ぎた後の子どもの評価は「人」なのです。これが芸人との違いです。