■ [大事なこと]ICT
新年度の前半にICTの本を出します。かなり普通のICTの本とは違います。簡単に言えば真逆な本かもしれません。
何度か書きましたが、私が学生の時にトフラーの第三の波を読みました。おそらく、多くの人が私の本を読んだときと同じに、「理屈は分かるけど、でもね~」でした。しかし、その後の社会の変化は彼の予言にきわめて近いと思います。
彼によれば旧時代の特徴は、「規格化」「専門化」「同時化」「集中化」「極大化」「中央集権化」です。現代の学校は、まさにそうです。
それに対して、新時代の特徴は、上記とは真逆の「個性化」、「総合化」、「非同時化」、「分散化」、「適正規模化」、「地方分権化」です。そして本来ICTは上記を実現するための技術です。
例えば、インターネット利用を全員が同時に、一定の利用方法を指定するなんてあり得ますか?ありえません。ところが旧時代の枠組みで考えると、新時代の技術を旧時代の利用方法で使おうとします。例えば、電子黒板は旧時代のツールです。それにどんな技術を付加しても新時代にはなりません。新時代になるためには、一人一人がタブレットで書き込むのです。そして、それをみんなが同時に見るのでは無く、一人一人が自由に書き込み、必要に応じて、必要な人がそれを見るのです。そんなことはどんなに技術を付与した黒板であっても出来るわけありません。
一斉にタブレットにソフトをダウンロードしてパンクした事例がありましたね。あれもインターネットを旧時代的に利用した事例です。新時代では、「非同時化」なのです。
残念ながらICTの技術だけに目を向けているばかりで、そのような技術を必要とした社会を理解していないのです。
ということなので、多くのICT本と真逆なことを書いています。
もう一つ、今までのICT本との違いがあります。それは、子どもの一生の幸せを考えているのです。今のICTの学校利用では、とにかく自分の管理下では問題を起こさせない、という小役人的発想が闊歩しています。しかし、子どもは大人になります。ところが、その大人の時代になるまで無菌室で育てられ、いきなり雑菌だらけの社会にうち捨てられるのです。私は、それは無責任だと考えています。
近日発売、乞うご期待。
■ [大事なこと]次、次の次
情報配信サービスは色々あります。「教育配信基盤機構」(http://edupa.org/?p=4904)があります。視聴しましたが、実に格調高いものです。良い授業です。高校数学教師の中で、これを超える授業をどれだけの人が出来るでしょうか?
でも、これはおそらく過渡的なもの過ぎないと思います。おそらく、この授業がフィットする子どもはいるでしょう。でも、ごく一部です。
多くの人が誤解しているのは、万人にとって良い授業があると考えているのです。その授業を聞くと、成績上位者も中位斜も下位者も等しく「なるほど~」と納得する授業があると思っているのです。しかし、そんなものあるわけありません。一人一人が違ったニーズがあるのです。ではどうするか?それはゴチャゴチャと多様に教材を作るのです。
色々な人がブログを書くように、教材をアップするのです。それほど難しいことではありません。ネット動画をあげている人はいっぱいありますから。最初は教師や元教師がアップするかもしれません。そのうち大学生がアップすることになるかもしれません。子どもたちの中で分かりやすい授業をアップする人が人気ブロガーのように扱われるかもしれません。そして、教員養成系学部の学生さんの場合、人気動画の作者の場合は有利に働くかもしれません。そうなるとどんどん増えますよね。これが「次」です。
でも、次の次もあります。
学習は対話によって成り立ちます。学生さんがボランティア活動をしているように、複数の学生さんが緩い集団を作ります。子どもは分からないときに質問をします。そうすると誰かのところに繋がって、学生さんがそれに答えるのです。チャットのようでもいいですが、スカイプのような動画もありですね。なお、そのやりとりが公開され、集団の中で吟味されるのです。
このような教材やサービスが授業中に使えるようにするのです。子どもたちはまず自分で解きます。分からないときは仲間に聞きます。そして、それでも分からないとき上記に頼るのです。
では、このようなとき教師に何か仕事が残っているでしょうか?少なくとも今の授業を教師の仕事であると思っている教師には何も残っていないでしょう。でもあります。集団を管理する能力が必要なのです。
追伸 ちなみに毎回のゼミは動画としてアップしています。https://www.youtube.com/user/TheNishikawalab/videos
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