■ [お誘い]長野の会

10月30日に長野市で『学び合い』の会があります。お誘いします。http://manabiai.g.hatena.ne.jp/i-Kawa-nakajima/20151025
■ [大事なこと]学ぶ意味

今学校で教えていることって、誰のための教えているのだろう。
大人に調査すると、あまり意味はないという結果が出る。
恐ろしいのは、教師にアンケートするとほぼ同じ結果が出る。
じゃあ誰のため?
かつて理科嫌いの家内に、なんで理科を学ばなければならないのかを聞かれたことがあります。理科教育学会賞を受賞した私は知りうる限りの理屈を語りましたが、家内に論破されました。実に単純な論理と、具体的な事実でした。当時は大学の理科コースに所属していた私が最後に言った言葉は、「理科がなくなったら職がなくなる。そうしたら二人とも食べていけない」です。この理屈は家内は納得してくれました。
今の学校教育はこれからの時代に意味を失っています。現状でいまそれを最も必要としているのは、「教師」です。おそらく、教師だけと言ってもいいかもしれません。
おそらく、色々な反論はありえますが、学術データで反論できます。学ぶ意味がないとは言いませんが、万人に強いる根拠は全くありません。余裕のなくなった社会は、それを告発し始めました。
■ [大事なこと]受験勉強

受験勉強している息子に繰り返し言う言葉。
解答は考えるな、書け。手を止めるな。今は勉強をしているのではなく、受験勉強をしている。じっくり考えて出来るのでは受験では使えない。
分かることではなく、点数をとれることが受験では大事。
数学は暗記科目だ。大化の改新の年号が分からないとき考えるか?考えないだろう。直ぐ答えを見て暗記しなさい。こんな問題を初見で解けるわけない。解ける人は以前に解いて解答方法を覚えているだけ。
解答は速やかに。見直しはジックリと。
そして、高木貞治の「解析概論」、「代数学講義」を見せて(読ませてではありません)、今やっている学校の数学は本当の数学とは全く関係のないクイズに過ぎない。でも、人生の可能性がかかったクイズだ。
受験勉強は子ども達の知の浪費だと思う。あんなカルトなクイズを解く時間があったら、柔軟な中学生に日本の現実の問題を考えて欲しい。その方が彼らの成長に資するし、日本のためにもなる。
ま、愚痴です。
■ [大事なこと]エビデンス

アクティブ・ラーニングで育つ能力がなければ獲得できないエビデンスとは何でしょうか?アクティブ・ラーニングとはグローバル社会で活躍できる人材を育てることです。だから、アクティブ・ラーニングの能力がある学生だったら、そのような実績を持ちます。
そして、悪質なAO入試塾がやっているディプロマミルのような活動実績ミルは、ちゃんとしたアドミッションオフィースのスタッフが育ては簡単に排除できます。だって、素人だってちょっと調べれば分かる程度のでっち上げで合格実績を上げられる現状があまりにも低レベルです。同じ大学人として情けなさすぎます。
これからのトップ高校はこのレベルの指導を出来るか否かが勝負です。単純な受験指導では勝てなくなります。
高校1年から自分の将来像を描ける中学生を選抜できる能力が必要です。
高校1年から、キャリアデザインに沿ったエビデンスを積み上げるには、どのような活動があり、どのような賞があり、どのような資格があることを伝え、それを獲得できるための指導が必要なのです。例えば、各県の科学賞を取らせるのがうまい学校があり、その学校にはそのノウハウを知っている教員がいます。そのノウハウの方が、理科の学習指導よりトップ校では重要になります。何故なら、トップ校の子どもは教師の指導は不必要だし、むしろ邪魔ですから。
書いていて憂鬱になります。こんな発想を持てるとしたら一部の私立学校でしょう。県立トップ高校がこの発想を持つのは、惨憺たる結果に直面し、県教育委員会からの指導を受けるまで無理でしょうね。
■ [大事なこと]試金石

東京大学は平成28年度入試、つまり、今年度にある入試から推薦入試を導入します。
東京大学の入試改革なのですから賛否両論が起こるのは当然です。私は現在の入試改革、そして、アクティブ・ラーニングは、日本のトップ校がアイビーリーグ化することが目的だと考えています。だから、入試に関して分析する際は、アイビーリーグの入試との一致点を見ます。
基本的にアイビーリーグの入試はAO入試のみと言って良いと思います。しかし、日本のAO入試との決定的な違いは基礎学力を問う点です。その点で、東京大学の入試でセンター入試を課すのは理にかなっています。そして私が注目したのは、「学部が求める書類・資料」です。具体的には以下のように書いてあります。
『各学部共通に求める調査書等のほか,志願者が本学部の推薦要件に合致することを具体的に証明する資料※a。例えば,
(1)在学中に執筆した論文で,志願者の問題発見能力・課題設定能力を証明するもの※b
(2)社会に貢献する活動の内容を具体的に証明する資料(表彰状,新聞記事等)
(3)留学経験など,志願者が異なる文化的背景や価値観への理解を有することを示す資料(留学の事実を証明する資料,外国人との交流や支援活動を行ったことを示す第三者の推薦状など)
(4)国際通用性のある入学資格試験における優秀な成績を証明する資料(国際バカロレア,SAT など)
(5)外国語に関する語学力の証明書(TOEFL,英検,IELTS,TestDaF,DALF,HSK など)
などです。
※a 志願者が本学部の推薦要件に合致することを具体的に証明する資料は,日本語以外で書かれていても差し支えありません。ただし,日本語と英語以外の言語の場合は,志願者の責任において日本語で全訳を添付するとともに,翻訳者または翻訳した機関を明記してください。翻訳について大使館等の公的証明を付す必要はありません。
※b 論文は,何らかの意味で社会に関わるテーマを扱うものとします。法学や政治学に関するものである必要はありません。高校の授業の一環として作成された論文であるかどうかは問いません。また,校内・校外のコンクールで入賞した論文であるかどうかも問いません(入賞した事実があれば賞状のコピー等を添付してください)。グループで作成した論文は認められません。論文の分量の目安は,日本語の場合,図表部分を除いて 6,000 字以上としますが,分量よりも内容が重視されます。参照した文献やインターネット情報等については,論文末尾に「参考文献」として一括提示するだけではなく,引用箇所にその都度出典・情報源を注記してください。』
これはアイビーリーグの入試に一致するものです。つまり、高校3年間のストーリーをエビデンスによって示せるか否かなのです。つまり、付け焼き刃やお手盛りではごまかせないものを求めているのです。ちなみに上越教育大学の推薦入試で求めているのは、「校長推薦書」、「自己推薦書」のみでエビデンスを提出することを求めていません。
従って、東京大学が本気になってアイビーリーグ化するための基礎条件は整っています。東京大学が本気で世界トップ100の上位を狙うつもりがあるか否かは、合否の結果おけるセンター入試の点数の逆転現象がどれだけ起こるか否かでしょう。
そして、平成29年度入試において、推薦入試の人数を増やすか現状維持のどちらにするかで分かるでしょう。もし、本気でアイビーリーグ化するつもりならば、推薦入試の人数を増やし、最終的には推薦入試(本当の意味でのAO入試)のみに移行するでしょう。
今のところアドミッションオフィースのスタッフもノウハウも整っていない。だから、面接を併用しているのでしょうね。でも、本気になってアイビーリーグ化するつもりならば、アクティブ・ラーニングで育つ能力がなければ獲得できないエビデンスを求めるはずです。
おそらく保守派との政治闘争が起こるでしょうね。でも、東京大学が変われば日本の教育は変わります。学習指導要領より、センター入試の改革より、直接的で影響力は強いですから。
■ [大事なこと]エリート

ノブレスオブリージュ(高貴なるものに伴う義務)を自覚出来る者は、自分の力を最大限に出すことが出来る。何故なら、自分の中にある怠惰な気持ちにむち打つことが出来るから。ノブレスオブリージュを自覚出来る者は、自分と同じく自覚できる者と繋がれる。それも地理的に離れた者と繋がれる。だから、自分の力の数倍、数十倍のことが出来る。
だからエリートたりえる。
■ [大事なこと]現実

私の息子には自分が生きねばならない現実を教えています。
息子が就職する頃は、初めて就職する人の半数は非正規雇用です(現在は4割強)。そして、一度非正規で出発すると奈落に落ちます。そうならない道は、トップ5%の受験エリートになるか、腕に職(ロボット・人工知能に置き換わらない)をつけることです。後者はロボット・人工知能が奪わないような、ローカルでニッチな職であることが大事です。今後はブルーカラーの方が勝ち組で、ホワイトカラーは超勝ち組と超負け組に区分され中間層がいません。
息子は「お父さん、日本を動かしている人に、変えて欲しいとお願いできないの?」と聞かれました。私は「今の日本を動かしている人たちは、ちゃんと考えた結果、それ以外の方法はないという結論を出したんだよ。今、日本はある状況から次の状況にシフトしつつある時代だよ。明治維新や、第二次大戦後の日本のようだ。移行過程は大変な時代だ。勝ち組のと負け組にハッキリと二分される時代。これは動かしようはない。」と語りました。
息子は「何とか出来ないの?」と聞くので、私は「大変な時代を避けることは出来ないけど、激変を緩和し、短くすることは出来るかもしれない。お父さんや仲間はそれをやっているんだよ。そしてお前に関しては親として絶対に守りたいと思っている。だからいち早く現実を伝え、自覚を促しているんだよ」と言いました。
苦しい時代は避けることは出来ません。高度成長モデルの日本社会から少子高齢化社会に移行しているのですから。でも緩和し、短く出来る。方法は我々が少子高齢化社会におけるキャリアモデルと生活モデルを持てるか否かです。そのために11月、12月、1月と別々のアプローチの本を書きました。
第一弾は11月です。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/352241/temp/juken_cover.pdf
追伸 比肩するのはおこがましいですが、アシモフの銀河帝国興亡史のハリ・セルダンのように感じます。