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2015-12-04

[]自慢 22:13 自慢 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 自慢 - 西川純のメモ 自慢 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 教員養成大学、そして大学院学生さんの最大の目的は「就職」です。どの大学もそうかもしれませんが、ジョブ大学である教員養成学部特にそうです。

 その中で大学院は生き残れなければなりません。就職するだけならば学部で十分なのです。大学院で生き残るには付加価値必要です。

 本年度我がゼミ修士1年の学生さんの中で3人が教員採用試験合格し、名簿登載期間の延長により来年大学院で学びます就職するためだけの目的だったらやめるのに。つまり、彼らは就職することによって生じる数百万円の年収以上のもの大学院にあることを理解してくれたためです。

 今年、大学院を受けた学生さんの中に、名簿登載期間延長を使って大学院に入ろうとしています。入ってからではなく、入る前から学大学院価値理解してくれる。

 教師冥利と同時に、それに値する教育を用意せねば。でも、安心です。我が同僚は皆優秀です。そしてチームになっています

[]若い研究者21:48 若い研究者へ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 若い研究者へ - 西川純のメモ 若い研究者へ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 長文です。これを読むような若い研究者に向けてです。

 大学未来を語るときに出るのは18歳人口の推移です。そして、それをもとにした大学学者数の予想です。かつてに比べては減りましたが、最近はそれほど減少していません。理由は18歳人口の減少を補う程度の進学率の増加があるからです。

 が本当でしょうか?

 以前、書きましたように就業構造基本調査に現れているように非正規雇用が増えています。今現在大学生の親は約三十年前に就職した人なのです。これから大学生保護者非正規割合高まるのです。平成3年バブル崩壊の時に大学卒業した人は、今、46歳です。その人達の子どもが大学に入り始めているのです。私の大学時代学生普通車を乗っていました。私の車を持っていた同級生軽自動車をのっていたのは一人だったように思います。今は、軽自動車が多いように思います

 そのような状況で進学するために奨学金受給者は増えています大学(昼間)の学生奨学金受給者1990年代20%ぐらいでしたが、今は半数を上回っています。ところが、大学卒業しても非正規雇用になる可能性が高い。非正規雇用の平均年収が170万円では奨学金を返すのは難しいのです。親も苦しいのです。やがて大学が元が取れないことを多くの人が知るところになります

 そして、国立大学学費が今後2倍になるかもしれません。

 どう考えても大学進学率は下がります。数パーセントなんて言うレベルではなく、半減以下になることは十分ありえます。というか、そうなるでしょう。つまり、18歳人口の推移で予想する大学学者の数は絵に描いた餅です。なぜ、それがあまり議論されないのでしょうか?おそらく、あまりにも悲惨すぎて、大学人がそれを直視するのが怖いのだと思います

 そんな状態大学必死に生き残ろうともがきます。そうすると、大学にとって生産性の低い学部は切られます最初に切られるのは、志願者が少ないところでしょう。そして、それを決めるのは偏差値ではなく、就職実績で見極めようとする保護者の目です。そこには「大学就職予備校ではない!」という大学人の意見無視されます

 そんな状態学部必死に生き残ろうともがきます。そうすると学部にとって生産性の低い学問は切られます最初に切られるのは、志願者が少ないところでしょう。そして、それを決めるのは学生さんなのです。そして大学人の意見無視されます学生さん意見無視する学部は自滅します。

 ここまでが「長―い前振り」なのです。

 私は教科教育学研究者です。その学問世界で育てられ、その世界のおかげで今があります。だから教科教育学を守りたい気持ち人一倍ありますしかし、守り方が多くの研究者の人とは違う。

 善意研究者自分たちのやっていることをしっかりやればいいんだと思っていますしかし、状況はそんなに甘くはない。自分たち存在意義業界外の人にアピールし、認めてもらわなければなりません。私が今やっているのはその一環です。教科教育学の意義を一番分かってもらえそうな人は、教師です。その教師に教科教育学研究の成果を分かってもらえるならば、これから教科教育学研究を潰そうとする人たちから守ってもらえます

 若い教科教育学研究者に言いたい。教科教育学学会は皆さんを守ってくれない。なぜならば、先に述べたようにパイが半分になるときに、先輩諸氏は自分を守るに必死です。若い研究者は我が身を自ら守らなければなりません。それぞれの属する教科教育学で抜群の業績を上げて下さい。我々の時代はそれで安泰でした。でも、皆さんの時代はそれではダメです。現場教師に認められなければなりません。

 お願いです。こんど教師用図書の本棚に行って下さい。そして、学術研究実践世界にいかに無力であるかを理解下さい。みなさんのやっていることは実践に繋がります実践者は忙しい、じっくりとあることに費やす時間はありません。我々はその部分の成果を出せば、現場教師の方々は我々を必要としてくれる。

 戦後まもなく、混乱時代学会を立ち上げてくれた諸先輩の学統を守るのは皆さんなのです。

追伸 私の学術の業績は以下の通りです。その私が申します。今から厳しい時代が始まります

http://urx2.nu/pFLN