■ [大事なこと]生き残る職業

人工知能やロボットの発達で現在ある職業の多くはなくなり、今は無い職業で子ども達は働く。
これは多くの本で書かれていることであり、私の本でも書きます(特に1月に出る本で)。
世の中には「生き残る職業は何で、生き残れない職業は何か?」という本があります。私の本にもそれを書いています。
でも、本当は「生き残る人と生き残れない人」があるのであって、「生き残れる職業と生き残れない職業」があるのではありません。
例えば、昔は魚屋や八百屋はどの商店街にもありました。しかし、スーパーに駆逐され、そのスーパーは郊外店に駆逐され、そして郊外店はネットショップに駆逐されています。
どこに違いがあるか、それはニッチな顧客を見いだし、徹底的にその顧客に合ったサービスを創造し提供し続けているか否かなのです。
顧客の好みを徹底的に知らなければなりません。その地域(いや集落)の年中行事を知らなければ成りません。その顧客の家族構成をしらなければなりません。顧客が求めるとき、24時間体制で対応することが必要でしょう。人と人との信頼関係が重要です。
逆に生き残る職業があるかもしれませんが(まあ、殆ど無いと思いますが)、個人単位で考えたとき生き残れるか分かりません。例えば、プロ野球は連綿と続いていますが、プロ野球選手で一生涯生計を立てられる人は千人、万人に一人でしょう。
寄らば大樹の陰で大企業で生きるより、一人一人が中小企業として生きるのです。サラリーマンとして生きるとしても、一人一人が独立した企業内企業として生きる道を模索する必要があります。
「20年後に生き残る職業」というような本を読む人は生き残れません。どの職業を選ぶかではなく、自分自身がポイントなのです。1月に出す本で、そこを読み取って欲しいな、と思います。
追伸 公務員が一番おくれるでしょう。でも、早く変わって欲しいと願います。学校一つ一つが独立した企業のように裁量権を持ち、教員一人一人が自分を商品として売り込むのです。そうなれば、ブラック企業のような雇用関係は解消されます。ずっと先だと思う人が大多数でしょう。でも、フリースクールが公的に認められ、教科書が電子化すれば、ものすごい勢いで変わるでしょう。まずは都会から。
■ [大事なこと]文系

昨日、息子と話したことを以下に書きます。
息子は英語と社会が得意で、数学と理科が相対的に不得意です。ですので「自分は文系だ」と思っています。そして、だから、数学と理科は駄目で良いんだと思っています。そこで話しました。
まず、おまえは普通の中学校だったら数学や理科も得意科目だと思っている。でも、附属だから相対的に不得意だと思っている。でも、それは誤解だよ。
以前、大学で学ぶ数学の本を見せたよね。あれと学校で学ぶ数学と同じだと思う?
息子(首を振る)
そうだろ。本当の数学と学校で学ぶ数学は縁もゆかりも無い全くの別物。学校の数学がいくら出来たとしても、大学で学ぶ本当の数学には役に立つとは思えない。本当の数学を学ぶのだったら、今の数学なんて学ばず、お父さんが見せた本を読めば良いんだよ。難解だと思う。でも、あれを読み解くしか無いんだよ。難解だと思う。でも、適切な人に導いてもらえれば、一定以上の能力がある人だったら、それは文系だと思っている人も含めて、読み解ける。数学とはそんなもんだよ。それに物理学も同じ。難解だけど、確実に学ぶ道が数学や物理にはある。
でもね、私はおまえに数学者になって欲しいとか、物理学者になって欲しいとかとは思っていない。ありゃ、そうなりたいと心の中から突き動かされるような人がなる職業で、なりたくない人がなれる職業でもない。
じゃあ、なんで数学や理科を学ぶのか?そりゃ、今のシステムがそうなっているから。お父さんに文句を言うなよ。今はそうなっている。そして、それなりの意味もある。おまえが職業に就いたら、自分が不得意なことを担当しなければならないこともある。そんなときに吸収してそれなりに仕事が出来なければならない。だから、そつなく出来るような人が必要な時代、「だったんだ」。そこで使える人を効率よく選別する方法として、今の受験システムは構築されている。だから、その中で乗り越えるしか無い。
いいか。受験勉強は一番簡単な道なんだ。手に職をつけて人から認められるような仕事をしたいとき、それを導くような参考書はないし、問題集も無い。どんな修業をすればいいかなんていう王道は無い。でも、受験勉強は、やりさえすれば、一定の成果を上げられる。だから、一番簡単な道なんだよ。
じゃあ、どうすれば数学や理科を勉強すれば良いか。理科の中で物理以外の化学、生物、地学は中高レベルは雑学がどれだけあって、それらがどれだけ関連づけられているかで差が出る。おまえが社会が得意なのはその手の雑学があるからだ。ようは関連する色々な本を読んで楽しめば良い。ちなみにお父さんは理科も社会科も得意だった。勉強なんてしたことは無い。でも、点数は取れた。理由は本を読んだから。おまえを見ていると、お父さんと似ている。だから、物理以外は簡単に点数を上げられると思うよ。
さて、数学と物理だ。世の中には、数学と物理の才能がある人がいる。その人達はほぼ0から出発して問題を解決出来る。でも、圧倒的大多数の人はそれは出来ない。出来たとしても受験問題を解かねばならない時間内に、確実に解けるとは限らない。どうしたらいいか?覚えればいい。一見色々な問題があるように見えるけど、有限のパターンを基本としている。だから、そのパターンを覚えればいいんだ。覚えていれば、問題を見たとたんに書き始められる。おまえが今しなければならないのは「勉強」じゃない。受験勉強だ。受験勉強とは点数を取るための勉強だ。数学や物理を理解する必要は無い。ま、たいていは、覚えると、そのうち分かっていく。お父さんはそうだった。
息子(じゃあ、お父さんは僕は理系の大学に進学すべきだと思っているの?数学や理科で学ぶものなんて社会で役に立たないものだよ)。
その通り、大学で学ぶものは社会で役に立たない。実は、中学、高校で学ぶものだって社会に役に立たない。でも、理系の場合は5%ぐらいの人の仕事に役に立つ。95%は役に立たないけどね。
例えば生物学の場合は、医薬品会社、化粧品会社、食品会社に関係するよ。
息子(なるほど)
一方、文系の大学で学ぶものの多くは、文系の研究者になるために役立つけど、それを必要とする会社は殆ど無い。少なくとも、直接にね。日本の働いている人の中で大学研究者は0.5%以下だろう。だとすると理系の方が10倍以上役に立つ。
息子(でも、僕は文系に進みたい)
だったら、文系に付加価値をつけなさい。例えば、法律を学ぶのであれば、大学で学ぶ法律の他に他国の法律を学びなさい。おそらく、他国の知識と関連できる人は少ないから、おまえの商品価値は高まるよ。
それと数学の力を持ちなさい。文系の人は数学が嫌いだ。だから、そこそこの数学の能力があれば商品価値の高い人材になれる。もちろん数学の発見をする必要は無い。可能性のある数学の応用を読んで理解し、それを自分の仕事に使えることが大事だよ。
例えば、お父さんは本質的には文系の人間だと思う。でも、英語が不得意で数学と物理が得意だったから理系の大学に進んだ。そこでコンピュータを使えるようになった。数学とかコンピュータを使える人は文系の人の中では少ない。それを武器にして研究者として生き残った。大学では複雑な現象を徹底的に抽象化し、それから演繹することを学んだ。これは今でも武器にしている。
理系の研究者になるには、才能が必要だ。でも、理系の大学で学ぶ程度ならば才能は必要は無い。同じように文系の研究者になるには、才能が必要だ。お父さんは惚れ惚れとするような研究者を何人も知っている。お父さんには意味不明の文献を読み解け、それに基づいて研究を深められる人もいる。お父さんにはその能力は無い。でも、理系と文系の両方持っているということで生き残っている。
文系で生き残ろうとしたら3つが必要だ。第一に、国際的な知識・技能。第二は数学。そして一番大事なのは、多様な仲間。