■ [大事なこと]市場

土地は価格が上がると長年思われていました。少なくとも1955年ぐらいから。それを戦後の焼け野原の時代から分かった人が勝ち組です。そして、それ以前から分かっていた人がもっと凄い勝ち組です。ところが庶民がそれに乗って大騒ぎしたのがバブルです。でも、庶民は最後は負けました。だって、知識無しで、土地は上がるという幻想をもって投資したのですから。
何かが儲かると知り、そのビジネスモデルに乗る人がいます。でも、どこかでバブルがはじけます。
最近、ある人と話しました。
その人:西川先生は実践界の現状をどう見ているのですか?
私:あなたも、私も、時代のモンスターだ。おそらく、今のビジネスモデルで生き残れる人の最後の世代になると思う。そして、私もあなたも同じく。次のビジネスモデルにシフトしなければならない。
その人:どのようにシフトするべきですか?
私:本を中心としたビジネスモデルは縮小傾向だ。だから、新規参入は極めて難しい。参入しても、我々と同じことは起こらないだろう。
その人:なるほど。
私:我々の世代は厳しいよ。
上手くシフトする人は3通りある。
第一は、今のビジネスモデルで突っ走る人。既に市場を開拓した人は生き残れるだろう。でも、若い人は無理だろうね。我々のようには。
第二は、学校現場の既存の価値観「も」実績を上げる人。○○さんみたいにね。ようは、勤務校にソフトランディングする人。
大学に異動するのは難しいだろう。大学自体が縮小傾向だし、大学の価値観は実践界とは全く違う。もの凄い先達、もの凄い組織に導かれない限り、かなり苦労するよ。
第三は、新たな市場を開拓する人。
その人:新たな市場を開拓する人とはどんな人ですか?
私:私の収入を考えると、本の収入より、講演の収入の方が大きい。これは音楽市場でも起こっていることだよ。今後はライブを重視して市場を開拓することだね。本はそのきっかけ。出版社はそのレベルをプロモーションできるところが生き残ると思う。我々を活躍させてくれる出版社はその可能性がある。
その人:具体的にはどんなことですか?
私:例えば、講演。あなたも体のことを考えれば、講演は制限した方がいいよ。その代わり、ネットを活用した講演も考える必要もあるよ。
その人:なるほど。
私:若い人が過去のビジネスモデルで頑張っていることが、私には不安だ。能力のある人だから。縮小市場なのだから、勝てる人は少ない。先行する市場は多い。年上の成功モデルではなく、パラダイムが変わった市場の経験を学ぶべきだよ。
その人は、私と同じく、現状のビジネスモデルに限界を感じています。でも、そのビジネスモデルに若い人が新規参入することに危うさを感じます。若い人も出版も次にシフトしなければと思います。今のところ、電子書籍の試験運用をしていますが、それも一つの手だと思います。でも、それを若い人が参入しやすい方法が生まれたらいいなと思います。
以上、実践界の次のリーダーへのおじさんのメモ。ようは、しばらくは今のビジネスモデルで動きます。が、私の時代よりは大変です。そして、私の時代はそれで逃げ切れますが、若い世代は逃げ切れません。だから、今のうちに、次のビジネスモデルを考えて下さい、ということです。
■ [お誘い]仙南の会

2月6日に『学び合い』の会が宮城で開かれます。お誘いします。
http://www.kokuchpro.com/event/29170db6d0463a441abf231e87af7753/
■ [ゼミ]ヒット

ある学生がトポロジーの問題を解いていました。以下、私との会話。
私:へ~、トポロジーの問題といているんだね?
学生:何ですかトポロジーって?
私:(ちょっと驚いて)「だから位相幾何学だよ」
学生:何ですか?
私:(ゲタゲタ笑いながら)おまえバカか?
おまえは中高免許の数学を取得しようとしているのだろ。
学生:僕はバカではありません。
私:だって世界史専攻の学生がナポレオンを知らないと言ったらバカだろ?
学生:いや、それが個性だと思います。
それを聞いていた6人ゼミ生が「お~」と感嘆の声を発しました。
ある学生が「おまえは良い教師になるよ。多様性を認められるのだから」と言いました。
私もいたく感激したので、アップします。
試験に受かりさえすれば、良い教師になれます。(おい、S。この部分をよく読むようにね)
■ [ゼミ]禁煙

ゼミ生に関しては自己判断を大事にしています。ですので、無理強いはしません(ゼミ生の「え~」という声が聞こえますが)。が、例外的に強く指導することがあります。それは「箸の使い方」と「禁煙」です。これは、100%、その学生のためになると確信しているので、かなり強く、しつこく言います。
本日、我がゼミの現職教員Siさんと、学卒院生Nagが禁煙宣言をしました。
私は「男、一度言葉にしたら守れよ。そんなことも守れないぐらいで子ども達の前に教師面するな」と満面の笑顔で耳元で囁きました。
お二人の承諾の上にアップします。
フォフォフォ
■ [大事なこと]教職大学院

教員養成系大学・学部の大学院が基本的に教職大学院に移行する方向性が定まっています。さて、このことがどれほどのものかを勤めている教員が理解しているだろうか?と思います。特に教員の大部分を占めている教科専門の、それも50歳代より若い世代の人にとってはとても大事なことだと思います。
教職大学院のカリキュラムは今までの修士課程と徹底的に違います。修了単位の約半数は共通科目で占められていますが、その内容は細かく決まっているのです。そして、教科に関わる科目はそのうちの一つの科目の一部です。最大に見積もっても1割程度です。逆に9割は関われないのです。残りの半数多くは学校での実習が占めているのです。
教職大学院の教員は実務教員が4割以上必要です。実務教員の資格は定められています。学術論文の業績が十分にある方は小中高での教職経験が5年以上あればOKです。その他の方は概ね20年以上の教職経験が必要です。
このことを満たす教員が大学に何人いるか、それがポイントです。
教員スタッフ数が100人の学部があったとします。全教員の中で40人が実務教員であれば全員が大学院担当になれます。ところが、実務教員が20人であれば30人の研究者が教職大学院を担当できますが、50人は担当できないのです。さて、実務教員がどれだけいるでしょうか?
大学院担当は出来ず、給料は下がります。
つまり、教育実践がメインの教員以外は大学院の授業に関われないし、院生指導に関われない。そもそも大学院担当から外れなければならないのです。
この状況は大学院を持つ教員養成系大学・学部共通なのです。そして、上記の規定は学内の議論でどうこうできないのです。
もし、このメモを見ている50歳代より若い大学の教員は教育実践の研究にシフトすることを勧めます。ま、私のこのメモを見ている人は、そもそもその指向性がある方だと思うので意味がないメモかもしれませんが。とにかく、教員養成系大学・学部の教員は冬の時代です。
また、いまから教育系の大学に就職しようとする若い院生に対しては、「5年以上は現場経験を積みなさい」とアドバイスします。そうしたら商品価値は高まります。
追伸 上記が大げさだと思う方は、ちょっと調べて下さい。上記の規定はネットで直ぐに検索できます。もちろん、文科省も上記を満額に実施したら大変なことが起こることは理解しています。だから、規定を緩めるかもしれません。でも、その範囲は、実務教員の必要割合をたの専門職と同じ程度の3割程度に落としすかもしれません。また、カリキュラムの柔軟性を高め教科専門の人が担当できるものを2割ぐらに増加させるかもしれません。しかし、厳しいことは変わりません。全員がシフトできるとは文科省は思っていないと思います。