■ [大事なこと]闇
昨日、私は『高校の先生方に、とても厳しい現実をお話ししなければなりません。残念ながら、少なくとも一部の子どもに関しては手遅れかもしれません。その子の場合、小学校入学段階から『学び合い』の考え方で育てない限り無理です。もちろん、社会全体が変わればいいのですが、それが「出来る」と今の段階の私は言えません。』と書きました。
絞り出すように書きました。その理由を書きます。
私が危惧している子は、普通科高校の障害がない子で、『学び合い』にフィットしないと訴える子です。高校の実践者だったら具体的にイメージできますよね。
特別支援の本を書きながら知りました。特別支援の子どものたどる最悪のケース(自殺など)は、障害に関わることが原因ではなく、対人関係に原因があります。そして、その対人関係の障害は、現状の抱え込むような「手厚い」特別支援によって生じさせた「人災」なのです。しかし、福祉就労の場合、就職先はそのようなケースだからといって解雇しません。長い時間をかけて、その人との関係を作り上げます。そして特別支援によって生じた「人災」を乗り越えます。
しかし、一般就労、それも障害者枠ではない本当の一般就労の場合はそのような配慮はありません。当然、解雇もあります。そのような子どもの場合、保護者も障害を意識することがあまりなく育てているので、何が何だか分からない。そして、責めるようにその子に接するのです。その結果、引きこもりになります。そして、一度引きこもりになると、それから脱するのは容易ではないのです。最悪、自殺に繋がります。
さて、高校の実践者の皆さん、考えてみてください。現在の小中高の教育の「人災」によって対人関係を結べない子どもはいますね。『学び合い』でもなかなかそれを変えられない。今までの失敗の経験が積み上がれば、積み上がるほど、それを解くのは容易ではないのです。
その子は何らの障害はない。少なくとも、学校教育で「障害」と思われている障害は何もありません。高校卒業後、また、大学卒業後に一般就労するでしょう。そうなったら上記の通りになるのです。
では、どうしたらいいでしょうか?
もちろん、『学び合い』によって対人スキルを高めましょう。少なくとも、その子を仲間と思う子ども集団を創って社会に送り出しましょう。
でも、その子が対人スキルを高められなかったら、一般就労では苦労するのです。だから、福祉就労のように「一人も見捨てないということが得である」ことを理解する企業を生み出さなければならないのです。そして、「障害がない」と思っている、その子と保護者に、その企業に就職することを勧めるのです。
さて、上記のことがどれほど大変だか考えてください。
「障害のない」と思っている、その子と保護者に、障害を理由にして特定の企業を勧める勇気がありますか?さらに、説得できる自信がありますか?
多くの教師は教育村の中で生きています。ビジネスパーソンと繋がって、上記のような企業を生み出そうとする教師がどれほどいるでしょうか?
私が『高校の先生方に、とても厳しい現実をお話ししなければなりません。残念ながら、少なくとも一部の子どもに関しては手遅れかもしれません。その子の場合、小学校入学段階から『学び合い』の考え方で育てない限り無理です。もちろん、社会全体が変わればいいのですが、それが「出来る」と今の段階の私は言えません。』と書いた理由は以上からです。
でも、高校の方々には上記をして欲しいと願います。そして、小中の「人災」を止めなければならない。高校で他人を対して信じられるようにするより、中学で信じさせるほうが遙かに簡単です。そして、小学校1年で信じさせることは、とても簡単なのです。だから、高校の先生は小中の先生と繋がる必要があるのです。