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複線化

 『学び合い』に対するご懸念の代表的なものの一つに、一人一人が違った方向性で学ぶので、学びに交流がなく、深まらないのではないか、というご懸念です。

 しかし、最初に二つ確認しましょう。

 教科の深まりとは何でしょうか?週に4、5時間、大部分は教師の話を聞いているだけで獲得できるものが教科の深まりでしょうか?そもそもその教師の話も成績中もしくは中の下に合わしているのです。仕方がありません。教室には将来東大に行くかも知れない子どもがいる一方、知的な障害を持っている子どもがいます。だから、教師はボリュームゾーンの成績中もしくは中の下に合わせざるをえません。

 まず、その程度であることを認めましょう。

 そして、教科の深まりを理解出来る可能性のある子どもはどうでしょうか?その子は塾、予備校、通信教材で学習済みです。だから、成績中及び中の下に合わせた授業に何らの発見もありません。

 従って、今の授業の中では、「分かっているよ、つまらないな~」、「なるほど、そうだったのか」、「全然分からないよ・・」の多種多様な学びが複線で流れているのです。

 一方、『学び合い』の場合は「一人も見捨てず、全員達成」を求めます。詳細は省略しますが、それが得であることを納得させるのです。それ故に、子どもは色々な子どもに教え、教えられます。結果として、交流が生じます。

 多種多様な子どもがいるならば、従来型であれ『学び合い』であれ複線化した学びが進行します。ただ、『学び合い』の方が、遙かに多種多様な交叉が起こるのです。理由は簡単です。従来型の授業では教師が交叉を定めます。だから、同時に一つの交叉しか生じません。一方、『学び合い』ではそれぞれの子どもが主体的に交叉させるのですから、多種多様な交叉が生じるのです。