色々な『学び合い』実践者から「私は『学び合い』で日本の教育を変えたい。何をしたらいいですか?」と聞かれます。私は「自らの実践をSNSで発信し続けてください。質は問いません。発信しつつけることです」と言います。
キョトンとされます。おそらく拍子抜けされたのでしょう。
説明します。
学校基本調査(令和2年)によれば幼稚園の教員は9万人、幼保連携認定こども園の教員は12万人、小学校の教員は42万人、中学校の教員は25万人、義務教育学校の教員は0.5万人、高等学校の教員は23万人、中等教育学校の教員は0.3万人、特別支援学校の教員は9万人です。つまり120万人います。
キャズム理論によれば、16%が変わればパンデミックが起こります。つまり20万人が『学び合い』を理解すればいいのです。これだけの人が『学び合い』を積極的に肯定するならば、アーリーマジョリティの人達に広がります。アーリーマジョリティの人達が腑に落ちるためには理論やエビデンスではないのです。そこがイノベーター、アーリーアダプターの人達と違いです。アーリーマジョリティの人達、そしてレイトマジョリティの人達が腑に落ちるためには、周りの人がやっているということです。それが16%のキャズムなのです。
でも20万人もいらないのです。
現代において「みんながやっている/やっていない」ということを判断する情報源はSNSです。でしょ?
さて、身の回り先生方を見回してください。自らの教育実践を積極的にSNSで発信し続ける人はどれぐらいいると思いますか?まあ、多めに見積もっても1%でしょ。つまり、二千人の教師の情報発信が、SNSで情報収集している人々の教育界を構成しているのです。つまり各都道府県に情報発信し続ける人が40人いればいいのです。
あきらかに全国には二千人以上の『学び合い』実践者がいます。その人達がSNSで自らの実践を発信し続ければ、日本の教育を今すぐにでも変えることが出来るのです。
ゼミ生にはSNSで発信し続けることが得であることを説明します。
大人社会では文章を作成すること、話すことが必要となります。その上達方法は様々あります。しかし、最も普遍的だと私が思っているのは、とにかく書き続けることです。そして、書き続ければ、かならずリピーターは増えます。それによってモティベーションが高まります。SNSによって多くの人と繋がれば、それは自らのパワーになることを、『学び合い』実践者だったら子どもに語っているでしょう。それを自らに向ければいいのです。
注意点は3つです。
第一は個人情報を流さない。なお、個人情報保護法によれば簡単に個人特定される情報のことです。
第二は、個人否定をしない。固有名詞を伏せても、長い期間の情報をつきあわせればあぶり出ます。つまり個人情報を流さなくても、最終的には分かる可能性があります。だから、どんなに怒り感じても、個人を否定することは避けます。ちなみに、私の過去の発信を調べてみれば、それが殆ど無いことが分かると思います。例えば、荻生田文部科学大臣の発言を否定的に書いたとしても、大臣個人を否定するのではなく、その発言を否定し、かつ文部科学省の組織の問題だと表現しています。例外的に書いたことがあるのは、私が愛して止まない宮崎駿監督に関してのものだけだと思います。
以上のことを意識するために、実名で発信しバンドルネームは使いません。
第三は、書き続けることです。私は書き続けられるのは、人の繋がりがあるからです。長年、発信し続けた結果として、私の興味関心の対象となる情報が、自ずと私のSNSのタイムラインに流れてくるのです。ゼミ生は「私は無理です」と言うと、「君らは私に繋がっている。だったら、私を引用したり、シェアすればいい。人のふんどしでもいいから、発信し続ければいいんだよ」と言います。
最後に、「出来ない理由を述べよ」と言って、チェックメイトです。
でも、やり続ける人は多くはない。だから、未だに日本は変わらないのです。
さて、長い前振りでしたが、今年度のゼミ生集団の情報発信力(量、質)が極めて高いと思っています。それが嬉しい。