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口癖

 私とゼミ生とのゼミにおいての問答はYouTubeで公開しています(https://www.youtube.com/@TheNishikawalab )。これを継続的に視聴している方だったら、教育に関係する質問を受けるときの私の反応の中で、最も多く語ることは「教師はその子、その事を解決できない」と「俺はどうしている?西川研究室ではどう?」です。

 ゼミ生が特定の子どものことを思い浮かべながら相談しはじめると、言わせるだけ言わせた後(時には、話を打ち切らせて)に以下のように語ります。

 

 『学び合い』のセオリーだよ。教師はその子、その事を解決できる能力は無い。それは君が無能だからでもなく、怠惰だからでもない。君が思い浮かべている「その子」は教師との相性が悪い。その子にとって教師はどうでもいい人。何やっても無駄になりそうであることは気づいているんでしょ?(ゼミ生は頷く)その一方で君が動かせる2割弱の子どもは必ずいる。その子達はクラスでのヒエラルキーは高いし、中間層の子ども4、5人に強い影響力を持っている。だから、その2割弱の子どもが周りの子どもが全員達成が自分にとって得であることを納得させれば、あっという間に8割強の集団が動く。その8割強の集団が「その子」を含んだ2割弱の子どもを変える。だから「その子」を忘れて、集団づくりにエネルギーを費やしなさい。

 

 多くの教師は「その子」に拘り、それから逃れられません。実はその努力が無駄だろうな、ということは気づいているのです。でも、他に道がないので、それから逃れられないのです。しかし『学び合い』実践者は集団づくりという別な道を知っているので、逃れることが出来ます。

 

 もう一つの「俺はどうしている?西川研究室ではどう?」は教育方法としての『学び合い』では解決できないレベルの質問を受けたときに言う言葉です。考え方のレベルで『学び合い』を理解できると、第三者(『学び合い』実践者も含む)には何もしていないように見えるのに集団が上手く動くようになります。これを理解するにはそれ用の本(https://amzn.to/3Hvb84k )を読んだり、私の本の中で『学び合い』の事を書いていない本を読み、そこに引用されている本を読む必要があります。西川ゼミではおよそ教師が読まないような本を多種多様に読みます。だから、考え方のレベルの話題が出来ます。そのゼミ生に、解決の道の方向を直感的に理解させる方法として最適なのは、「俺はどうしている?西川研究室ではどう?」なのです。この一言で、一瞬で解決の道の方向が体感できます。それか「もし、私がそんなことしたらどう思う?嫌でしょ。何で?」と問います。それからゆっくりと教師が読み層のない本で書かれていることを紹介しながら説明します。

 『学び合い』が考え方のレベルに至ればテクニックは不要になります。しかし、な~んちゃって『学び合い』に変質した結果の場合もあります。両者を判別する方法は簡単です。一番分かりやすいのはテストの分布です。考え方のレベルになれば、一見何もしないのにも関わらず、平均点も高いし、分散も小さい分布になります。これは『学び合い』以外には達成は不可能です。もう一つは、『学び合い』のテクニックが少ない一方、それ以外のテクニックが満載になっています。

 『学び合い』を実践することは大きな勇気が必要です。それと同様に考え方のレベルに至るには、同じぐらいの勇気が必要です。