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うらやましいでしょ。

 私の生涯で出会った名人教師は数多あります。特に私のような職業であれば、実践界で伝説を残すような方も参観させていただきました。しかし、それらを上回る先生がいます。高校時代の宮澤先生です。この先生のすごさを語れば、長々と書かなければなりません。しかし、本題ではないので割愛します。高校教師になる直前に宮澤先生に会いました。そして、教師になる前に何をするべきかを聞きました。当時、週一で国会図書館に通い、柳沢吉保を研究し続けていた方ですから、教材研究を進められると思いました。ところが言われたのは「落語を聞きなさい」とのことでした。教師は語る職業だから、語り方を学びなさいと言われました。宮澤先生の初任校は上野で、その頃は鈴本演芸場に足繁く通ったそうです。

 それ以来、昔はカセットテープ、やがてCD、今はipadで聞き続けています。この三十年以上、毎日、聞き続けています。教師修行の一環です。もちろん、名人・上手の噺を聞いたから、その技を盗めるものではありません。しかし、学べるものはあります。私の講演に落語の香りを感じ取れる方もおられます。

 長い前置きです。

 以上の理由から、通勤時間聞くのは落語が基本です。希にクラシックを聴きます。本日の帰りの車中で流れてきたのは、フルトベングラーのブラームスの交響曲第1番だったのです。流れたとき混乱しました。聞いた途端に、フルトベングラーの演奏であることは分かります。しかし、音質が良すぎるのです。中高ではまったフルトベングラーの音楽は、ホワイトノイズの向こうにある音楽を聴いていたのです。ところがクリアーな音楽が流れているのです。おそらくマスターテープがあり、その原音をデジタル処理したものなのでしょう。なんと良い時代なんだろうと思いました。かなり前からそうなっていたと思いますが、趣味を三十年以上封印していたので気づかなかったのです。

 退職後は、1日中、大好きなコンテンツに浸っていたい。

追伸 高校生の頃、ブラームスの交響曲第3番(指揮者は誰だか失念しました)を萩尾望都の「ポーの一族」を読んだときを忘れることは出来ません。特に、ブルーノ・ワルターのマーラーの交響曲5番を聞きながらクラークの「幼年期の終わり」を読んだとき、最後の20ページの段階で第4楽章が流れたとき、もう死んでいいと高校生の私は思いました。リパティのグリークのピアノ協奏曲、クララ・ハスキルのモーツアルトのピアノコンチェルト、ヘルムート・バルフャのパイプ曲、高校時代には聞けなかったけど聞きたい、ヨーヨーマの無伴奏チェロソナタ、ダービット・オイストラフ親子の2台のバイオリン協奏曲・・・・終わらない。私を幸せにしてくれるコンテンツは山盛りです。おそらく、身も心もどっぷりと浸るという楽しみ方は若い人は分からないかも。そのようなコンテンツでおそらく寿命まで満たしてくれる。ゼミ生へ。うらやましいでしょ。ふぉふぉふぉ