お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2007-10-11

[]最初の授業 18:11 最初の授業 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 最初の授業 - 西川純のメモ 最初の授業 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日の先生が、早速、初回のトライです。

 最初の語りは、その先生言葉になっています。ただ、課題量が多いように感じたので「う~ん??」と思いました。しかし、出来ない子が立ち歩いて聞き始めました。これって、クラス関係の良さの指標です。ただ、最初はその先生は「学び合わそう」と躍起になっていましたが、子どもたちは動きません。しかし、その先生が徐々に落ち着いてきて、子どもを見まもるようになると、徐々に子どもが動き始めました。課題提示後15分頃から、単発的な動きが見え、20分頃から顕在化しました。25分後には『学び合い』が成立していました。

 授業後に話し合いましたが、その先生は「まだまだです」とおっしゃっていました。しかし、かなりの手応えを感じていたようです。その先生曰く、いままでずっと気になっていた子に、良い兆候が見られました。今まで、1時間中、まったくノートを開かない子が、ノートを開いて一生懸命に書いていました。そして、その子以外の子どもも、授業に集中する時間が平常時間より格段に上昇していました。ということで、ニコニコです。

 授業後に、いくつかのポイントをお話ししました。そう言えば、「手引き書」には最初の語りを書きましたが、最初の授業の注意を書いていなかったことに気づきました。慌てて、下記を「手引き書」に加筆しました。

 明日は二日目です。おそらく『学び合い』の初期段階はクリアーしているはずです。

1)課題の量

 そのクラスの出来る子が15分程度で終わる量に抑えてください。『学び合い』の初期段階では、出来る子は自分が終わらない限り動きません。そして勉強の不得意の子は、自分からは聞きに行きません。従って、もし、出来る子でも30分もかかる課題を与えれば、その30分間近く、出来る子(いや普通ぐらいの子どもも)は、全く分からず、そして援助が全くない状態におかれます。

2)課題の内容

 課題は明確にしてください。「深い読み」とか「美しい音」などは論外です。「●●を理解する」というのも、どういうことが出来たことを意味するのか行動レベルで表現できるようにしてください。例えば、「長さを理解できる」はどういうことを意味するのか分かりますか?私には分かりません。それを「プリントに引いた3つの線の長さをミリの単位まで正確に測れる」とか「二つの長さを合計した長さを答えることが出来る」レベルにしなければなりません。

3)褒める

 教えることは得意な先生であっても、「褒める」ことが不得意な先生は多いようです。特に、今までは「その子」を褒めることをばかりしていたので、比較的小さい声で褒めます。しかし、褒める目的は、その子ではなくクラスに「ここに素晴らしい情報源があるよ」と伝えることなので、比較的大きな声で褒めてください。最初は演技ですが、徐々に本気で褒められます。「教えない」というのは多くの先生にとっては口寂しいものです。禁煙の際のガムのように、教えない代わりに褒めてください。

4)方法を強いないでください

 「机をこう並べて集まったらいいよ」、「教科書の何頁にいいこと書いてあったよ」のように方法を強いないでください。冷静に考えれば、それが最善の方法である根拠はありません。最善の方法を考えられるのは子どもたちです。

5)関係を強いないでください。

 「ねえ、この子に教えて」、「あの子に教えてもらいなさい」のように繋がる相手を決めないでください。それがさいぜんのかんけいである根拠はありません。最善の関係を決められるのは子どもたちです。教師がすべきなのは、「お~、お前凄いこと考えているな~」とか、「そうか~、難しいか~」とみんなに聞こえる声を上げてください。その声を手がかりに関係子どもが結びます。

6)出来ない子、動かない子、不真面目な子を叱ったり、促さないでください

 出来ない子は動きません、さらには真面目にやらないかもしれません。しかし、それを変える力は教師にはありません。その力があるのは子どもたちです。むしろ、教えにいく子、注意する子を育てることが大事です。そのためには、まず、その様な子が『学び合い』の有効性を実感しなければなりません。なお、どうしても叱る必要性があった場合、叱るべきは「その子」ではなく、「その子」の存在を黙認している集団に対して叱ってください。

7)上記を捨てることを目指してください。

 上記は、初期段階の最初に必要なテクニックにすぎません。つまり、上記が必要だということは、駄目なんです。いつまでも上記のようなテクニックに頼らないでください。