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2008-06-10

[]夏期休業期間 22:49 夏期休業期間 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 夏期休業期間 - 西川純のメモ 夏期休業期間 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 最近、8月4日に依頼がありました。何をさておいても受けたい相手方です。でも、お断りしました。理由は、そんなことしたら死にそうだからです。

 夏期休業中の予定は以下の通りです。「○」の日の夜は各地の同志と合う予定です。ご希望があればご連絡ください。飲みながら議論しましょう。

7月 27日 仙台に移動

28日 山形県寒河江で講演会、終了後、飛行機で大阪に移動。

29日 ○大阪で博士課程の会議、終了後、鳥取に移動

30日 ○鳥取県教育センターで講演

31日 同上、終了後、島根の益田に移動

8月1日 ○『学び合い』の島根の会

2日 ○仙台に移動、学校教育学会

3日 学校教育学会

5日 ○長野塩尻に移動

6日 ○長野県総合教育研究センター、高岡に移動

7日 ○富山県入善町で講演、終了後、新潟に移動

8日 ○学び合いフォーラム

9日 学び合いフォーラム

17日 ○佐賀に移動

18日 ○佐賀で講演

19日 佐賀で講演、終了後、上越に移動

20日 洗脳旅行受け入れ

21日 洗脳旅行受け入れ

22日 洗脳旅行受け入れ

23日 大学院入試

25日 富山県砺波で講演

26日 洗脳旅行受け入れ

27日 新潟県田上中学校講演、洗脳旅行受け入れ

28日 洗脳旅行受け入れ

29日 ○大阪に移動

30日 神戸で博士課程講義

31日 神戸で博士課程講義

[]折り合いを付けて(その2) 12:27 折り合いを付けて(その2) - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 折り合いを付けて(その2) - 西川純のメモ 折り合いを付けて(その2) - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日の「折り合いを付けて」に補足します。

 もし、子どもたちに「みんな」を求めて、それで駄目だったらどうしたらいいでしょうか?つまり、どうやっても、ある問題が解けなかったら、あることが出来なかったら?

 これに関しては、「そんなこと、どうでも良いじゃないですか?」と応えます。だって、学校教育のどんなものだっていいです。それが分からない、出来ないと、人生が大変だってことあるでしょうか?ありゃしません。私は「クラス全員80点以上」という課題を例示します。しかし、私はテストの点数なんて、どうだって良いと思っています。重要なのは、全員が一つの課題に向かってクリアーすることだと思っています。だから、規定の時間を費やして出来なかったら、次に進みます。だって、これは一斉指導だって同じでしょ?1年365日、1日は24時間は『学び合い』だって、一斉指導だって同じです。まあ、一斉指導の場合は、人から文句を言われないように、まとめをやるだけですから。それに、その後のクラス作りの成長によって、出来るようになる場合もあります。そして、その後は急激に回復します。そんなにカリカリする必要はありません。むしろ、カリカリすると、教師の心に余裕が無くなります。そして、それは子どもに伝染します。最悪、その子どもを責めることを教師や子どもがし始めます。そんなことだったら、カリカリしないことです。

 それより遙かに問題なのは、ある子どもを集団の中に取り込めないという現象です。さっきとは違って「どうでもいいこと」ではありません。その子にとっても、その子を取り込めないクラスにとっても重大です。だって、そのために学校教育があるのですから。特に、アスペルガーの一部の子どもの場合、関われば、関わるほど、人を不快にさせます。そのため、「みんな」を求め続ければ、クラスのメンバーがヘトヘトになります。その場合は、「仲良く」を求めていけなことを心に留めて下さい。そして、その子と距離を持つ権利を子どもに与えて下さい。ただし、人権侵害あたるような言動、無視は許しません。そうすれば、その子にあった間合いを取ります。まあ、みなさんの職場にいるコマッタチャンとの大人のつきあいをイメージすれば良いと思います。その中で、周りの子どもが、その子の扱い方を学び、その子が「これをやると、何故だか分からないが怒り出す」というNG集を形成します。そうすることによって、それなりの人間関係を結べる様になります。

 さて、それでも「でも、それでも駄目だったら?」と聞かれたらば・・・。残念ながら諦めざるを得ません。教師が責任を負っているのは、クラス集団が第一です。「その子」に拘り続ければ、他の子を捨てることになります。

 しかし、注意点があります。もし、安易にクラス集団がその子を「切れ」ば、その子を切ったとたんにクラスはバラバラになります。なぜなら、一人を切るクラスは、二人目を切り、三人目を切り、次は自分を切ることをクラスのみんなは知っているからです。一方、クラス集団が本当に色々なことをやって、へとへとになって、それでも駄目だったとしたら、その子を「切った」としてもクラスはバラバラにはなりません。何故なら、クラスが取り込もうとどれだけやったかが、自分は切られない保証となっています。このことを教師が心に留め、子どもたちに語って下さい。そうしたとき、神ならず自分が出来る最善が尽くせると思います。

 繰り返すならば、その子に拘り続けることは最善ではありません。歪みはもっと大きなところに出ます。「それでも」と言われるならば、「どうぞ、ご随意に」と言うでしょう。でも、そうしないでしょうね。だって、そういうことをやっても何も良くならないことは十分にお分かりですから。

 『学び合い』は完全無欠ではありません。しかし、ごく普通の教師の最善を尽くせるただ一つの道だと思います。だって、自分一人で背負うのではなく、みんなで背負ったほうがいいですから。そして、みんなも、自分と同じように、自分のことが一番大事ですから。続けられることしかやれません。

[]折り合いを付けて(その3) 12:27 折り合いを付けて(その3) - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 折り合いを付けて(その3) - 西川純のメモ 折り合いを付けて(その3) - 西川純のメモ のブックマークコメント

 「その2」を書き終わって、思い出したことがありました。

 学生さんから、「何故、西川先生は日本の教育を変えようとしているのですか?」と聞かれました。私は「自分のために」と直ぐに応えました。それから以下を語りました。

詳しいことはHPの「西川研究室の目標」をご参照下さい。ここでは、簡単に説明します。人間の生き残る最大の戦略は他の人と繋がって協働することです。そして、どれだけ自分とは異質なメンバーと、どれだけ多くのメンバーと協働できるかが、生き残れるか否かのポイントです。短期的で直截な利害損得勘定では、そのような協働は成り立ちません。より抽象度が高く、より広い範囲の人に関係する目標を掲げることが必要です。

さて、私の場合は、「自分のため、家族のため」という狭い範囲の目標があり、「日本の教育のため」という目的があります。そして、それらを繋げる、「自分の関係する学生さん、院生さんのため」、「全国の同志のため」という目標があります。そして、それらは矛盾無く繋げられています。例えば、「全国の同志のため」ということと、「私の関係する院生さん、学生さんのため」は矛盾しません。相互が関わることによって、より高まりますから。また、「全国の同志のため」、「自分の関係する学生さんのため」ということによって、私は大学教師として誇りを持ち続けることが出来ますし、何よりも、多くの感激の涙を流せる。

しかし、それらが矛盾することがあります。その場合は、何を優先するか?私は、「自分のため、家族のため」を優先すべきだと思います。だって、そうでなければ健全に続くわけありません。世の中には、自らの時間全てを子どもたちに費やし、そのことで本を著した教師は少なからずいます。しかし、私はそのような教師を尊敬できませんし、好きにもなれません。何故なら、そんなことによって道を迷う教師は少なくないからです。全ての時間を子どもに費やした教師をよく調べれば、教師を続けられなかったのではないでしょうか?また、その人の家族のことはどうなのでしょうか?我々は普通の教師であるべきで、まず守るべきは自分の家族であって、他人の子どもではないはずです。だから、「自分のため、家族のため」を優先すべきです。

私は色々なところから講演を依頼されます。その場合は、「自分のため、家族のため」に矛盾がないように折り合いを付けようとしています。例えば、夜7時までに自宅に帰れれば家族と夕食が食べられます。夜8時までに自宅に帰れれば、息子と一緒に風呂に入り、添い寝が出来ます。それに出来るだけ合わせるように、依頼校にお願いします。依頼校でも出来るだけ、折り合いを付けてもらっています。互いに、短期の利害ではなく、長期の利害を考えて折り合いを付けて、落としどころを探しています。

それ故、私の場合は、十年つきあえないと思ったらば、手間のかかる関わり方をしないし、どうしても関わらざるを得ない場合は、短期で利害損得の帳尻を合わせるようにしています。