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2010-03-05

[]僻地校問題解消法 09:34 僻地校問題解消法 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 僻地校問題解消法 - 西川純のメモ 僻地校問題解消法 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 どの地域でも、人気のある学校と不人気な学校があります。その典型は僻地校、僻地地域の人気がないことです。給与的にかなりの優遇を受けたとしても、人気がありません。でも、週の授業担当数が驚異的に少なかったら、どうでしょうか?

 例えば、僻地中学校の教師が、中学1年4時間、2年4時間、3年4時間を担当しているとします。それを異学年の『学び合い』でやれば、週4時間で可能。この運用は校長の腹次第で、法的には全く問題ないのです。このことは日本の教育法の権威と、某県の教育委員会の人事担当を務めた同僚に確認しました。お二人とも、「え、何でそんなこと聞くの?法で定めているのは教員の数であって、その教員をどのように配置し、時間割をどうするかは校長の判断だよ」とこともなげに言われて、ビックリしました。ようは、教育委員会や保護者から問い合わされたとき、ちゃんと説明する気持ちがあればOKなんです。

 そんなだったら、異動希望が続出でしょうね。特に、夫婦共稼ぎの家庭の先生方は。年休消化率100%の学校として組合から表彰されちゃったりして。

 法の規定をちゃんと調べると面白いことがいっぱい出ます。

 以下、関係法の整理です。

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 学級の編成に関しては、学校教育法施行規則第百二十一条に「特別支援学校の小学部、中学部又は高等部の学級は、同学年の児童又は生徒で編制するものとする。ただし、特別の事情がある場合においては、数学年の児童又は生徒を一学級に編制することができる。」の定めがある。それを受けた「小学校設置基準」の第五条に「小学校の学級は、同学年の児童で編制するものとする。ただし、特別の事情があるときは、数学年の児童を一学級に編制することができる。」とある。また、「中学校設置基準」の第五条に「中学校の学級は、同学年の生徒で編制するものとする。ただし、特別の事情があるときは、数学年の生徒を一学級に編制することができる。」

 しかし、両法での学級は第六条の「小学校に置く主幹教諭、指導教諭及び教諭(以下この条において「教諭等」という。)の数は、一学級当たり一人以上とする。」、及び、「中学校に置く主幹教諭、指導教諭及び教諭(以下この条において「教諭等」という。)の数は、一学級当たり一人以上とする。」に関わるが、学習方法に関しての規定は無い。

「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(標準法)」の第三条(学級編成の標準)において

『公立の義務教育諸学校の学級は、同学年の児童又は生徒で編制するものとする。ただし、当該義務教育諸学校の児童又は生徒の数が著しく少いかその他特別の事情がある場合においては、政令で定めるところにより、数学年の児童又は生徒を一学級に編制することができる。

2 各都道府県ごとの、公立の小学校又は中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)の一学級の児童又は生徒の数の基準は、次の表の上欄に掲げる学校の種類及び同表の中欄に掲げる学級編制の区分に応じ、同表の下欄に掲げる数を標準として、都道府県の教育委員会が定める。ただし、都道府県の教育委員会は、当該都道府県における児童又は生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合については、この項本文の規定により定める数を下回る数を、当該場合に係る一学級の児童又は生徒の数の基準として定めることができる。』

 とされている。つまり、小学校では小学校十六人以下(第一学年の児童を含む学級にあつては、八人以下)、中学校では八人以下の場合は、二の学年(以下、複式)にしなければならないと定められている。

 しかし、3学年、4学年、それ以上の学年で複式を編成してはいけないとは法には書かれていない。また、小学校で十七人以上、中学校で九人以上であったとしても複式にしていけないとは書かれていない。

 しかし、同法第四条、第五条には、以下のように教育委員会の同意が必要である。

『(学級編制)

第四条

 公立の義務教育諸学校の学級編制は、前条第二項又は第三項の規定により都道府県の教育委員会が定めた基準に従い、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行う。

(学級編制についての都道府県の教育委員会の同意)

第五条

 市(特別区を含む。第八条第三号並びに第八条の二第一号及び第二号において同じ。)町村の教育委員会は、毎学年、当該市町村の設置する義務教育諸学校に係る前条の学級編制について、あらかじめ、都道府県の教育委員会に協議し、その同意を得なければならない。同意を得た学級編制の変更についても、また同様とする。』

 しかし、同法での学級編成は第六条以降の教員数の算定の根拠となる数字で、学習をどのように進めるかを規定しているものではない。

 高等学校では義務教育の規定と異なる。大きな違いは学級編成ではなく、学習をどのように進めるかを規定している点である。具体的には「高等学校設置基準」の第七条に「同時に授業を受ける一学級の生徒数は、四十人以下とする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない。」とある。しかし、ここにおいても特別の事情があり、教育上支障がない場合は許されるとされている。

 以上、まとめると以下を制限する国の法はないということが分かりました。

1.2年1組の担任(教科担任も含む)Aと2年2組の担任Bが合同で授業をする。(また、それ以上の同一学年のクラスで合同する)

2.1年1組の担任Aと2年2組の担任Bが合同で授業をする。(また、それ以上の異学年のクラスで合同する)(但し、各学年の学習内容に基づく授業をする)

3.一人の教師が標準学生数以上の同一学年の子どもたちに授業をする。

4.一人の教師が異学年の子どもたちに授業をする。(但し、各学年の学習内容に基づく授業をする)

 つまり、学校へ配属される教員の数や、学級編成の規定がありますが、編成された学級を複数合同にやっちゃいけないとか、その合同された学級を一人の教員でやっちゃいけないという規定は無いのです。

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僻地校は、幼稚園から、中学、高校までもメンツが一緒という場合は少なくありません。その固定化した関係の中で序列が固定化しています。はては、青年団、老人会もです。それが本当に心地よいのはごく一部で、凄く嫌な思いをしている人は少なくありません。異学年の『学び合い』は、固定化した人間関係を打破する起爆剤です。

学校としての書類づくりは基本は同じです。それを少人数で背負わなければなりません。土日の部活指導も同じです。そのため、僻地に居着く先生が少ないのは問題です。教師にとってもいたい学校にせねば。