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2010-05-22

[]イジメ07:53 イジメ2 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - イジメ2 - 西川純のメモ イジメ2 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 どんな生物も、自分が生きるために食べるため、自分やその権益犯されるのを守るため以外に他の生物を攻撃することはありません。理由は、ゾウリムシやミミズが博愛主義であるとか平和主義であるとかではなく、エネルギーの損失を避けるためです。攻撃にはエネルギーが必要です、ましてや抵抗され、反撃される危険性のあるならばなおさらです。さらに、無意味に同種同士が攻撃し合う種は、過酷な生存競争を生き残れるはずはありません。相当の理由があっても、同種同士が攻撃し合うのはデメリットが大きいので抑制し合う仕組みを生み出します。生み出せない種は絶滅します。

 人間生物です。無意味な攻撃はエネルギーの損失です。同種同士の攻撃を避ける仕組みを内在しています。従って、イジメが生じたら、それ相当の不自然な原因があることは「絶対に確か」です。原因が無く、なんとなくイジメが生じることは生物学的に不自然です。

 原因の一つは、クラスという集団です。サルという生物は親兄弟程度の小さな集団で生活する生物です。人類も本性はその程度だと思います。ところがクラスという集団を強いられているのです。でも、そのような親兄弟という小さな集団を超えた、血縁のない大きな集団に属することを学ぶことこそ学校教育本質的意味で、それを学んでいるからホモサピエンスは大発展しているのですから。

 クラスという集団が不自然であったとしても、それだけでイジメは生じません。エネルギーの損失ですから。そして、ホモサピエンスの中には、同種を攻撃することを抑制する仕組みは内在していますから。だからイジメがあったとしたら、相手を攻撃することがメリットになる、逆に言えば、それが原因となって反撃する仕組みがあると言うことです。

 その最大で、もっともありふれた原因を見出すには教師が自問すればいいことです。それは「勉強の出来る子にとって勉強の出来ない子の存在メリットがあるか?」という自問です。おそらく、逆の「勉強の出来ない子にとって勉強の出来る子の存在メリットがあるか?」という問いかけだったら、多くの教師は同意するでしょう。でも、「勉強の出来る子にとって勉強の出来ない子の存在メリットがあるか?」には戸惑いがあるでしょう。そして、いろいろな理由付け、例えば「教えることによって分かる」というような理由付けをしたとしても、正直なところ「あまり無い」と思っているのではないでしょうか?少なくとも、出来る子のメリットは、出来ない子のメリットより圧倒的に少ないと思っているのではないでしょうか?そう思っているあなたが出来る子どもに接していたら、出来る子どもは「何で自分は出来ないこと関わっているのだろう?あんなやつがいなければ、もっと勉強がすすむのに」と思うのではないでしょうか?

 学びというものを、正解を覚えることと狭く理解してはだめです。学びというのはもっともっと深いものです。学びというものが多様で深いものであることを理解すれば、上記の考え方は愚かであることは自明です。

 また、「計算の出来ることはとても大事だ」、「漢字書き順が分かることはとても大事だ」と思っているか自問してください。当たり前だろ、と思われる教師が大多数ですよね。でも、そんな教師が子どもに接していたら、計算が出来ない子や書き順が分からない子はまわりからどう思われるでしょうか?そして、自分が教える子が自分より計算が出来るようになる子とを、出来る子はどうおもうでしょうか?

 もちろん、計算が出来るに越したことはない。書き順が分かる方が良いでしょう。でも、それは万人すべからく学ぶべきもの、というわけではありません。ましてや人の序列につながるわけでもないのです。なによりも、何のために学校教育があるかという理解が大事です。

 それ故、イジメの原因は教師なのです。それも悪意ではなく、愚かではあっても善意が原因です。

追伸 ただし、教師にそれを求めている保護者社会がいることを忘れてはなりません。だれかに責任を負わせて、それでよしとするのでは解決にはなりません。私を含めて、みんな有罪なんです。そう考えねば。