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2011-01-05

[]『学び合い』に興味を持っている教育学研究者(経営学も)の方へ 22:49 『学び合い』に興味を持っている教育学研究者(経営学も)の方へ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 『学び合い』に興味を持っている教育学研究者(経営学も)の方へ - 西川純のメモ 『学び合い』に興味を持っている教育学研究者(経営学も)の方へ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が大学院に入学したのは22歳で、最初の論文が学会誌に掲載されたのが25歳の時です。現在、51歳です。その26年間に約150報の学会誌(日本学術団体登録レベル)のレフリー付き論文の業績があります。研究者だったら、この数の驚異的な点は了解されると思います。そして、様々な学会から賞をいただきました。

 研究者の仲間には惚れ惚れするほど賢い人がいます。しかし、私はそんな人ではありません。そんな私でも上記のような業績を上げられたのには理由があります。それは人がやっていない、それでいて有効な切り口を見つけたからです。私が最初に見つけたのは数量分析です。私が大学院に入った当時、歴史研究・比較研究が華やかなりし時代でした。一方、実証的・数量的な研究は殆どありません。当時は、1クラスの子どもの結果をグラフにして、それで多いか、少ないかを議論していた時代でした。理学部出身の私には愕然とするものでした。

 当時はパンチカードを使っているような時代です。教育学関係者で大型コンピュータ(パソコンなんて殆ど無い時代でした)を駆使できる人は殆どいませんでした。ところが私はFORTRANや統計パッケージを使えました。それを駆使して、論文を書きまくりました。だって、先ほど言ったように「1クラスの子どもの結果をグラフにして、それで多いか、少ないかを議論していた時代」に、数千人のデータを駆使して、林の数量化理論のデータ分析をするのですから、面白いように書けました。当時、仲間からは「どの学会誌を見ても、お前の論文が載っている」と言われました。

 次の鉱脈は、認知心理学でした。大抵の研究者は自分の専門の本を読みます。しかし、他分野の本はあまり見ません。でも、私は大きな本屋の自分の専門の棚を見た後、その両脇、またその両脇の本を探します。その中で認知心理学の本を見つけました。当時、教科教育で認知心理学の可能性は殆ど知られていませんでした。そこで集中的に調べてみると、教科教育に応用可能性が高いことが分かりました。私は、認知心理学の最良の研究の手法を利用する論文を書きまくりました。とにかく、利用できる手法の山なのですから。

 そして、現在は『学び合い』です。これは今までとは違い、手法ではありません。しかし、研究者の方にはとりあえず有効な手法の山であることは確かです。これは、今まではない大鉱脈です。私の元々の専門は理科教育学ですので、初期は理科を中心としていましたが、教科は全く問題ありません。今までに、国語・社会・算数・理科・体育・道徳で論文を書きました。さらに、現在、英語を進めていますし、仲間には家庭科の研究者もいます。

 私の論文一覧は、私のHPhttp://www.iamjun.com/)に公開しています。それをご覧下さい。大きな大学の図書館だったら、その多くは所蔵されているはずです。それを読みながら、自分の興味としている対象に置き換えてはいかがでしょうか?非常に面白い応用が可能であることに気づかれると思います。

 西川研究室の研究ノウハウは「実証的教育研究の技法(大学教育出版)」に載せています。我がゼミ生、OBOGの中では「名著」と言った場合、これを指します。とにかく、彼らが研究で悩むことの95%以上のことはそこに書いてあります。また、そこに書いてない、書けないことに関しては、メールで相談いただければお教えします。例えば、「これこれの差を出したい場合はどうしたらいいか?」、「これこれの結果を出したいが、どのようにカテゴリー化したいか」などは伝授いたしましょう。

 必要な器具は、とりあえずはビデオカメラ3台程度、ICレコーダー40台程度です。昔は、これだけで数百万円かかりましたが、今だったら50万円でおつりが来る時代です。ただし、労力はかかります。それだから今まで研究されなかったのです。でも、研究室で数人のゼミ生と協働で分析するならば、小規模な分析は十分に卒論レベルでも可能です。

 もし、本気で『学び合い』を研究したいとする場合、フィールドが必要ですよね。『学び合い』の実践者は日本中にいます。本気でやりたいならば、お近くの実践者をご紹介することも可能です。

 ここまで読んで、「何でそこまで」と思うでしょうね。理由は簡単です。私にとって得だからです。帝大のどえらい人ならいざ知らず、地方大学の研究者としては中堅に毛が生えた程度の私のこの発信を受信できる方ならば、アンテナが高い方だからです。そして、かつての私のように、新しい種を探しているに違いない。その方が論文をちゃんと読めば、かなりの可能性を直ぐに見出すでしょう。なお、否定的な意見をお持ちな方もおられるでしょうが、現状の『学び合い』を否定することによって論文は生まれません。否定して論文となるほど、『学び合い』はメジャーではありませんから。あはははは。そして、皆さんは、それほど暇ではなく、「論文を出せ、しららずんば死ね」という状態だからです。従って、私の仲間が生まれるからです。

 教授者がクラス全員に最高の授業方法を探すというアプローチから、学習者一人一人が生み出すというアプローチ。研究者が事前に最高の授業方法を想定する研究と、子どもたちが出す最適解を記載する研究。パラダイムが違うのです。

 嘘か本当か、とにかく必要な情報の殆どは公開しています。それも無料で。