お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2013-08-29

[]研修会 21:11 研修会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 研修会 - 西川純のメモ 研修会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 9月20日に新潟市の岡方第一小学校で全校『学び合い』の校内研修があり、私も呼ばれています。が、校内と言っても、オープンにしています。ご希望があれば、私に連絡し手下さい。

 なお、夏休み明けから怒濤の日々が続きます。機会があれば、参加下さい。

 9月13日は上越の地元で『学び合い』参観があります。参加者は佐賀の指導主事2名、大阪市の議員さん2名、大阪市の先生2名、広島県の校長先生1名と先生2名、そして北海道の学生さんが1名か2名です。人数も多様性も高いですね。前日は飲み会です。

 9月18日~20日は関西の学生さんが『学び合い』を学びに来ます。

 9月28日から大分に入り、29日は別府で『学び合い』の会を開きます。30日は大平山小学校にお邪魔します。10月1日は福岡の安徳南小学校、2日は大野東小学校に参ります。二つの学校ではゼミ生の飛び込み授業を行います。3日は午前は二日市中学校に行き、午後は佐賀の久保泉小学校に行きます。

 4日は唐津市の鏡山小学校で公開授業研究会があります。https://dl.dropboxusercontent.com/u/352241/temp/H25_manabia_koukai_jugyo_2ji_annai%20%281%29.pdf

 10月11日には佐賀の指導主事5名と校長名がおいでになります。前日は飲み会です。

 18日は宮城県中小企業家同友会で講演します。『学び合い』が教育にとどまらず、集団を動かす原理原則であることをご理解の上でのお誘いです。

 19日は信州大学の三崎先生の音頭取りで長野セミナーがあります。

 24日は兵庫県の西宮浜小学校に参ります。

25日は和歌山県のへき地複式教育研究会で講演し、翌日の26日は『学び合い』和歌山の会です。

なお11月以降に岡山、秋田、青森のツアーがあります。

11月30日からは、兵庫、広島、佐賀、福岡、大分のツアーがあります。

 今年は夏休み中の講演が3つだけだったのですが、その分、それ以降に入っています。ふ~

[]教師の職能 08:30 教師の職能 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教師の職能 - 西川純のメモ 教師の職能 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 子どもたち同士の学び合いで学習内容が理解できる、と私が書くと、「教師の職能が無いのか?」とおしかりを受けます。たしかに、教える、説明するということを教師の職能だと思われる方が圧倒的大多数だと思います。そのため、着ぐるみを着たり、落語で話術を学び、過去の教材を勉強することに力を入れている志の高い先生は少なくありません。

 でも、私は「教える、説明する」というものは教師の職能だとは思っていません。学習指導要領レベルのことを「教える、説明する」だったら、子どものでも出来ます。そして、子どもたちだったら、個別指導も可能で、膨大な会話を積み上げることが出来ます。従って、子どもたちの方が教師より優れていると思います。

 というと、「教師の職能が無いのか?」とおしかりを受けるのです。しかし、教師の職能はあります。それは「人の道を説くことです」。足し算の繰り上がりを間違っていることを教えられる子はクラスの2割以上います。しかし、クラスメートに対して、クラス全員に対して人として守らねばならないことを説ける子は「いません」。

これは職員室に置き換えましょう。職員の大多数が「それはやるべきだろうな~」と理解していたとしても、職員の数人が「そんなの、面倒だ」と主張していた場合、「それをやるべきだ」と職員会議で言える職員は殆どいません。村社会で、いつ仕返しが自分に降りかかってくるか分からないからです。そのようなとき「それはやるべきだ」と言えるのは校長だけです。

 もう一つあります。子ども集団のやる気に火をつけることです。部活の顧問、そして、校長も、今、その集団(部、学校)が解決すべき課題を、解決しようとするやる気に火をつけることが第一の仕事です。

 『学び合い』では、教師は教室においては校長だと言っているのです。校長の職能は若い職員の横に座って教材の手ほどきをすることではありません。子どもの言えないことを語り、納得させ、やる気に火をつけることです。これが「教師の職能が無い」と主張しているわけでは無いことは自明と思います。

[]ベストフィット 07:03 ベストフィット - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ベストフィット - 西川純のメモ ベストフィット - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ネットサーフィンしていると、『学び合い』に関して書いている方は多くなったようになります。もちろん、賛否両論です。批判の中に、「子ども同士で教え合ったとても分かるわけはない、患者がいくら集まっても医者がいなくても病気を治せないだろう」というものがあります。

 この誤解は、三つのことを理解していないために生じる誤解です。

 第一は、子どもたちの大多数が分からないこと、そして、そのために学習を放棄している原因は何か?ということを理解していないのです。教師になるような人は、その教科が大好きな人です。その大好きな人が悩むことと、多くの人が悩むこととは違います。しかし、教師になるような人は、それが分かりません。これは理解できないのは当然です。

 教師になるような人が悩むことであれば、子ども同士では解決できない可能性があります。でも、実際は違うのです。

 医者の例で言えば、我々病気の大多数はバランスの良い食事と睡眠を十分とれば自然に治ることです。これだったら素人が、「暖かいものを食べて、十分に寝なさい」というアドバイスで十分です。事実、大多数の子どもが悩んでいるのは「数概念の形成」なんていうレベルの疑問を持つのではなく、「容積って何?」というレベルの疑問なのです。これに対しては隣の子どもが「あ、体積と同じで、縦横高さをかければいいんだよ」で済みます。

 誤解の第二は、現状の子どもの能力と取り巻く環境の変化です。

 今は3割以上の子どもが塾・予備校・通信教材・家庭教師で学んでいます。親も高学歴化して、小中レベルのことだったら教えられます。親の中には教員免許状を持つ人も少なくなくなっています。そして良質な参考書・問題集・映像教材が安価に世にあふれているのです。

 医者の例で言えば、子どもたちの3割程度は医者とは言わなくても、インターン程度の教育は受けているのです。どの学校段階、どの教科であっても、教師は成績中位、もしくは中の下に合わせた授業をしています。つまり、脱水症状がひどければポカリスエットを飲まし、熱が高ければ解熱剤を飲ませる程度の病気をターゲットにしているわけです。その程度の病気だったらインターンでも治せます。

 誤解の第三は、学校教育で求めているレベルです。これは第一の誤解と同じなのですが、教師になるような人が求めるレベルは、学習指導要領で求めているレベルとは違うことが分からないのです。義務教育段階の学習指導要領で求めているのは、日本人が全て獲得しなければならないレベルのことを書いているのです。これは圧倒的大多数の子どもが学ぶ高等学校においても同じことでしょう。従って、教師になるような人が達したレベルとは違います。私は教師になるような人が達したレベルを目指すのを否定はしません。ただ、優先順位としては、国民全員が達成すべきことをクラス全員が達成した後だと思うのです。

 医者の例で言えば、最先端医療だけやって、風邪や下痢やインフルエンザの治療をしていない一般病院があれば、そりゃおかしいだろう、と思うのと同じです。

 私にとっては至極当然なことが、よく分かって貰えない。おそらく、「一人も見捨てず」ということが優先順位が低いために起こることだと思うのです。そして、学校教育は何故あるか、つまり「人格の完成」と日々教えている内容とどのように結びつけるかをあまり考えなくてもいい現状に原因があるのだと思っています。