お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2015-09-24

[]幸せの未来 21:14 幸せの未来 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 幸せの未来 - 西川純のメモ 幸せの未来 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 色々な媒体で、今ある仕事の多くは無くなり、子どもたちは今は無い仕事につくという情報が流れます。

 このような情報が流れると、今ある職業の中で残る仕事は何か?と知りたがるのが大方の反応です。でも、正しくありません。今ある仕事の中で残る仕事も斜陽な職業です。そして、古い考えの人(つまり大多数の人)がそれが良い仕事と思うので競争が厳しくなります。

 だから正しい反応は、今は無い仕事は何かということです。そして子どもたちを、今は無い仕事を生み出せる能力を育てるべきなのです。

 二通りあります。一つはみんながうらやましくなるような新たな職業を生み出す人です。これを生み出せば大きな産業が生まれます。政府はそのような人材を育てようと必死です。が、これは一部の天才のみが出来ることです。

 では圧倒的大多数の凡夫は何をしたら良いでしょうか?

 それは、その人しかやろうと思わないことだと思う仕事です。大儲けは出来ません。しかし一定の数の人のニーズがあり、ネット販売を展開すれば生活できるような仕事です。きっとそんな仕事にはAIやロボットは参入しません。そして、そんな仕事をしている人がチームになったならば浮き沈みは緩和されると思います。

 でも、今の多くの人にとっては魅力的ではありません。何故なら大儲けできませんから。でも、大儲けしようとすれば競争は激しくなり、AIやロボットに職を奪われます。だから大儲けすることを追い求めるのをやめるのです。みんなが求めるものを奪い合うのでは無く、誰でも得られるものの価値を見いだし、自分だけが求めるものは何かを自分が知ることです。

 私が今本当にやりたいこと、それはアクティブ・ラーニングでも『学び合い』でもありません。幸せの創造が出来る子どもを育てられる教育です。

 抽象的で分かりづらかったら、アルビン・トフラーの「富の未来」を読むことを勧めます。そして、私の理想社会の原型は高校時代に読んだホーガンの「断絶の航海」です(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20090101/1230772865)。

[]フェードアウトの仕方 18:28 フェードアウトの仕方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - フェードアウトの仕方 - 西川純のメモ フェードアウトの仕方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今考えると不思議なぐらい、若いときからフェードアウトの仕方を考えていたと思います。四十台の前半にはフェードアウトを考えました。考えてみれば、臨床教科教育学会を立ち上げたときから、我がこととして考えていたと思います。

 第一に、研究者としてですが、後継者を育てました。教え子に博士の学位を与え、大学に就職させました。その中には私のかつての専門だった理科教育の認知研究の第一人者もいます。また、『学び合い』研究の次世代もいます。

 次に、次世代を育てる資格である博士○合資格を取得しました。

 以上によって、私はいつでも気楽に研究者としてフェードアウトできます。いま、私の代わりに重い荷物を背負っている教え子には、「町内会の会長と同じで、次の会長を育てたら私みたいになれるよ、ふぉふぉふぉ」と憎まれ口をたたきます。自分が背負えば、私が背負っていたものが重いものだということが分かります。かなりしんどいですが、私より数段上手です。

 次に実践面です。

 まず、理系の私的には当たり前なのですが、自分の名前を冠されることを極力避けました。それは神経質にです。自分の名前を冠されたら、責任が生じます。そして逃げられない。なによりも発展性がない。

 私が名目上の「長」になる場合もありますが、基本的には『学び合い』の会は勝手連です。組織図もないし、規約もない。あるのは理論だけ。これまた教育の世界では希ですね。

 最後のネックは「本」です。これもフェードアウトできそうな兆しが見えてきています。私とは関係なく、色々な人が『学び合い』の本を書き、発展させてくれればフェードアウトできます。そうすれば自分が書きたい本だけを書けばいい。そして教科内容の吟味にシフトできる。

 最近、ある出版社からの本に関して、私がある程度地ならしをした後に、「私はここまでしたから、あとは私とは無関係に進めて下さい。著者の中にも入りません」と申したら、出版社の方がものすごく心配されました。おそらく、私が激怒したために、そんなことを言いだしたのだと思ったのだと思います。でも、私の本心は私と関係なく進むことが大好きなので、それが出来そうだと思ったのでそのように申したに過ぎません。

 私としてはフェードアウトし、誰かの後ろでぬくぬくとしているのが大好きなのです。それだから、四十代の前半からフェードアウトを考えていました。

 あともう少し、あともう少し、と自分に言い聞かせています。

 『学び合い』の同志の方々にお願いです。フェードアウトさせて下さい。私の見るところ、同志の方々の多くに足りないのは、異質な人とのネットワークです。地域で固まらず、色々な地域の人と関わって下さい。お願いします。