お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

到達点

 最近、ゼミ生に「うちのゼミ、上手くいっているでしょ?では、私は何をしている?」と質問します。ゼミ生達は応えられないのです。重ねて「何にもしなくて上手くいくわけないよね?」と質問しますが、やはり応えられません。

 私が教師になって38年たちます。ごく初期の段階は、暴走族相手に物理の授業を成り立たせるために、教材研究もしました、話術も磨きました、青春ドラマの熱血教師にもなりました。私の講演会での語りを聞いた方だったら、その頃の私の姿が想像できると思います。

 しかし、それでは子どもを救えなかった。

 実証的研究、認知研究を積み上げることによって、現状の教育には出口が無いことを理論的にも実証的にも確信しました。

 それから『学び合い』研究を積み上げました。やがてそれらの成果に基づき『学び合い』の様々な面に関して整理し、マニュアルである本を多数書きました。おそらく、一つの理論、実践論に基づいてこれだけ丁寧なマニュアルが揃った教育実践は、明治以降、唯一だと思います。その結果、地方大学の1教師が始めたのにもかかわらず、日本全国の教師が『学び合い』を実践するようになっています。

 私の本の8割以上は、『学び合い』を初めて1年以内の人を対象としています。『学び合い』を失敗せずに成功するためのノウハウが書かれています。それだけで、今までは考えられないレベルの成果を確実に実現することは可能です。理由は簡単です。今までの授業は教師一人の力量によって成り立っていましたが、『学び合い』ではクラスのみんなでやるのです。

 しかし、その先があります。

 『学び合い』研究の初期の段階で、板書、発問、班を捨てていったと同じように、どんどん捨てていきました。『学び合い』の初期の段階の本では、教師の仕事は「目標の設定」、「評価」、「環境の整備」の3つだと書いています。しかし、現在ではそれらは教師の仕事ではないと思っています。個別最適化しなければならない今後の社会、教育において「目標の設定」、「評価」、「環境の整備」は教師ではなく、当人および仲間が考えることです。教師の仕事は「目標の設定」、「評価」を自分たちでしたいと願う集団づくりなのです。

 

凡庸な教師はただしゃべる。

よい教師は説明する。

すぐれた教師は自らやってみせる。

そして、偉大な教師は心に火をつける

 

 これはウィリアム・アーサー・ウォードの有名な言葉です。私はこれに1行加えたい。

 

凡庸な教師も、「仲間の心に火を付けることが自分にとって得である」ことを子ども達に語れば偉大な教師になることが出来る。

 

 では、どうしたらいいのでしょうか?

 「仲間の心に火を付けることが自分にとって得である」ことを具現化した生き方をして、その姿を子ども達にさらすことだと思います。おそらく、これは学級経営に留まらず、企業経営にも全く同じだともいます。

 私が38年かけて到達した学習集団とは何かを知りたい方は、以下をお読み下さい。

「『学び合い』はしない 一段上の『学び合い』活用法」(https://amzn.to/3QhEJyP

 

追伸 私は貪欲です。退職までのあと2年で、さらに進化したゼミ集団を創りたい。