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2017-01-14

[]地方 07:20 地方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 地方 - 西川純のメモ 地方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 「地方には仕事がない、だから大都市へ」というモデルも崩れています。

 一極集中は工業化社会の構造です。脱工業化社会は多極化します。つまり、大都市だけに仕事があるわけではありません。もちろん限界集落には無いでしょう。でも、各地に点在する十万人規模の都市には仕事があります。もちろんふんだんにあるとはもうしません。しかし、それは大都市だって同じです。大都市には大企業があります。しかし、その社員の多くは非正規雇用なのです。

 給与水準は大都市と地方では差があります。でも、大都市では地方では考えられないほどの住宅費を払っています。それに付随する様々なものにかなりを費やしています。結果として見た目の給与の差は殆ど無くなります。

 インターネットの発達によって地方にあっても優れた製品であれば売れます。また情報であれば地方と大都市の差はありません。この傾向はもっともっと広がります。

 日本のGDPの殆どはサービス業で。サービスは工業製品、農業製品と違って移動することは出来ません。例えば、ある散髪屋が安いからといって、それをネットで注文することが出来ないのです。価格では無く、場所が勝負ポイントになります。さて、サービスを受ける高齢者が多く、サービスを与える若者が相対的に多いのはどちらでしょう。

 多くの県教育委員会は東京大学を含めた大都市の大学への進学率でしのぎを削っています。大都市指向のままの子どもが大都市に進学し、地元に戻ってくるでしょうか?それは優秀な人材を自らの血税を使って大都市のために育てていることではないでしょうか?

 「地方には仕事がない、だから大都市へ」というモデルを崩さなければなりません。子どもはもちろんのこと、保護者に対してもです。保護者が胸を張って地元で暮らしなさいと子どもに言えるためにです。

 そのためには教師は教材研究ばかりではなく、それ以上に上記のような社会の変化に対しての知識を持たねばならないと思います。自分の中学校区から通勤できる圏内にどのような企業があるかを知らねばなりません。脱工業化社会における農業、漁業、林業の姿、つまり量や価格で勝負するのではなく、イメージやロマンで勝負する第一次産業の姿を持っていなければなりません。それを義務教育の段階で子どもと保護者に十分に伝えなければなりません。

 そして、親兄弟と一緒に子育てを出来るために安心して共稼ぎが出来る。子ども時代を一緒に過ごしたもの同士が仕事を紹介し合う。そんなコミュニティが出来れば、大多数が豊かになれる。

 ということが県教育委員会が気づかないのかな?と思います。ま、しばらくかかるでしょう。だから、まずは分かった教師からはじめましょう。それによってだんだん増えていく。

追伸 大都市に進学し、大都市で生活すべき人材もいます。しかし、その数は数パーセント以下だと思います。

[]受験 17:16 受験 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 受験 - 西川純のメモ 受験 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が他の都道府県を受験することを薦めると書いたら、「いや、私の子どもは地元に受験させる」とのリスポンスをいただきました。補足します。

 私も、数年ぐらいで合格できるような都道府県ならば、そこを薦めます。私の受験本をお読みになれば分かるように、私は地元で就職することが幸せになる道だと思っています。ただし、就職出来たならば、なのです。

 都道府県の中には、40歳代の半ばになっても臨時採用の人がいます。私は怒りを感じます。つまり、十年以上常勤的な勤務を任せているような人を、何故、常勤にしないのかと。制度的な方法はいくらでもあるのに、それをやらない採用側を怒ります。

 さて、我が子を持つ親御さんにお伺いしたい。もし、地元の都道府県が30歳代半ばでの臨時採用が少なくないとき、それでも地元を薦めますか?少なくとも私は我が子に薦めません。私ならば、他県で採用され、しばらくして地元の経験者枠で採用されることを検討するように薦めます。

 なお、社会科の高校、そして中学校は倍率が厳しい。その他、採用数が若干名の教科もあります。私は、その場合は国語、数学、社会、理科、英語の科目と共に、美術、音楽、技術、家庭科を取ることを薦めます。また、中等学校にこだわらず小学校免許を取って小学校で受験することを薦めます。ちなみに、上越教育大学の教職大学院は、それが出来ます。そうやって合格させたゼミ生はあまたいます。

[]性善説・性悪説 09:49 性善説・性悪説 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 性善説・性悪説 - 西川純のメモ 性善説・性悪説 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昔から性善説と性悪説があります。でも、いい人もいるし、悪い人もいる、みんな知っていることです。『学び合い』では楽観的に考える場合が多い、あたかも性善説のようです。しかし、違います。性悪説で考える人が一定数いることは分かっていますが、その人にどうこうすることは難しいと思います。仮に性悪説に立っても、その人達を動かせないでしょう。だから、『学び合い』では性悪説で考えるべき人を忘れます。考えても無駄ですから。その代わりに性善説で考える人達に「一人も見捨てず」というミッションを与えます。そうすると広がるのです。

 二項対立は物事を理解するときには有効ですが、物事を解決するときには有効とは思えません。

 新聞やネットのニュースを見たあとの息子は興奮気味に「○○人は○○」だと言います。わたしは、「そういう人もいるけど、そうでない人もいる。おまえが断定的に考えると、そうでない人も敵にしてしまう。つまり、損だ。それにね、おまえが断定的に否定した人を本当に潰そうとするならば、おまえが嫌っていることを悟られてはいけないよ。一時の感情ではなく、本当に否定するべき相手ならば、頭を使って時間をかけて潰しなさい。ただし、戦わない方が絶対に得だからね。」と怖いことを小さい頃から教えています。

追伸 上記の考え方は『学び合い』に反しません。「一人も見捨てず」は集団として成り立てばいいのです。個々人の間で反発があったり、闘争があったりするのは当然です。『学び合い』は無理なことを子どもに求めません。

[]怖いこと 09:49 怖いこと - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 怖いこと - 西川純のメモ 怖いこと - 西川純のメモ のブックマークコメント

 教員養成系大学の教員として、学生には選択肢を広げることを強く薦めています。もともと教員志望の学生は地元志向が強い。だから、地元しか採用試験を受けようとしません。その地元が小さい県だと募集人員が少ない。こうなると丁半ばくちです。だから、他県も受けるように、あの手この手と説得します。

 でも、ふと思い起こせば、私は真逆のことをしました。

 高校入試も、大学入試も、大学院入試も、教員採用試験も、願書は一通しかもらいませんでした。幸い、全部通りましたが、この年になると背筋が寒くなります。