民主国家において、絶対権力者はないことを教師人生の1年目で学べたことを、今は感謝します。
私は学力的には最底辺の学校に初任で勤めました。まったく聞いてくれません。そこで「この科目は必修科目だ、これを落とすと留年するぞ」と私にとっての最終兵器を出しました。そうすると、全員がきょとんとした顔をして、その後、ニマーッと笑い始めました。そして、クラス全員は「落とせ、落とせ、落とせ、落とせ・・・」と手拍子で連呼します。ビックリして何が起こったか分かりませんでした。しかし、しばらくして分かりました。クラス全員を落とすことは出来ないのです。そして、私には何の権力も無いことを知りました。私は長らく教師には権力があると思い込んでいました。そう思っていたから教師に対して従順でした。が、実際は何の権力もありません。これを教師人生のごく初期に学べたのは本当に良かった。だから、私は子どもに強制はしません、彼らが納得する提案をするようになりました。