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破壊的イノベーション

 部活を社会体育に移行する方針を文部科学省が打ち出しましたが、そうなると「こういう問題点がある」、「これは大丈夫なのか?」という意見が出ています。

 結論から言えば、学校部活は社会体育に移行できません。何故かといえば、市場の占有者は現在のユーザーのニーズに応えなければならないのです。日本において大多数の人は部活を今のままにして欲しいのです。だから、学校の内部においても、「子どものため」という葵のご紋の印籠を出す人がいて、多くの教師はそれには逆らえないのです。

 じゃあ変わらないのか?

 変わります。

 どのように変わるかを知りたいならば、「イノベーションのジレンマ」(https://amzn.to/3m2HTsz)、「ブルー・オーシャン戦略」(https://amzn.to/2R78W7V)を読むと分かります。

 生物進化は常に小集団が隔離されたときに生まれ、成長するのです。大集団の中では突然変異が起こっても、大集団の中でそれは消されてしまう。隔離された小集団の中で突然変異が起こると、それが拡大し、強化されるのです。これは破壊的イノベーションも同じです。

 その詳しい機序や、事例に関しては先の本に譲ります。簡単に結論だけを言えば、部活をしないという学校(必ずしも一条校とは限りません)が生まれるのです。

 多くの教育改革は、今の価値観を保持したまま、それを拡張します。しかし、収穫逓減の法則によって、それに費やすリソースに比べて得られるものが小さくなります。それが極大化した状態においては、止めると言うこと自体が価値を生み出すのです。今の学校教育はまさにその状態なのです。

 例えばです。「部活をしません」を謳った学校が生まれたとします。現在、部活指導を嫌って中高ではなく小学校の教師を目指す人がいます。そもそも学校の教師をやめて市町村の公務員を目指す学生が増えています。だから、「部活をしません」と謳った学校が生まれたら、それを求める教師が集まる可能性があります。つまり、教科指導に長けた教師を集めやすいのです。さらに残業がないのですから、予算的にも余裕が出ます。その分、学費を減らすことも可能です。

 部活を求める子どもや保護者はいますが、逆に、半強制的に部活に入れられることを嫌う子どもや保護者はいます。そのような子どもや保護者にとっては、学費を払っても、その学校に入りたいと思うのです。

 もちろん、初期の段階は、その市場は小さい。しかし、その中で「部活をしない」ということによって生まれる付加価値を見いだし、純化し、拡大して、現在の市場占有者(つまり多くの学校)が気づいたときには、現在の市場占有者が泡沫だと笑っていた部活をしない学校が市場の占有者になるのです。

 と思っているので、現状の学校部活が社会体育に移行することの可能性や問題点を指摘する議論には興味はないのです。気持ちとしては、「どうぞ、ご勝手に」です。だから、部活に対しての破壊的イノベーションに関しては、どこがその担い手になるか、部活をやめることによる付加価値は何か、なのです。

追伸 経営学の本を教師は読むべきだと私は思っています。