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行政との付き合い方

 学術論文を書くとき、先行研究を引用し、自らの独創性はどこにあるかを記載することが必要です。しかし先行研究を調べることによって独創性のある研究は出来ません。

 研究者の中には、惚れ惚れとするほど頭が良くて、先行研究を読み尽くしている人がいます。しかし、何故か、そのような人は論文を書けないか、書いたとしても凡庸な独創性が低く、重箱の隅をつつくような論文誌か出来ません。先行研究を読み過ぎて既存のパラダイムに囚われてしまったからです。

 私は研究者と生きるために2つの論文の書き方をしています。研究者として生きるには論文の数が必要です。この場合は先行研究を調べて、既存の学会が喜びそうな論文を書きます。もう一つは、自らの直感に従い、追求したい研究をします。しかし、ぶっ飛んでいるので既存の学会の学会誌で掲載されないようなものになります。そこで先行研究を調べて、あたかも既存の学会のパラダイムに従っているように体裁を整えるのです。前者と後者の比率は若い頃は9:1ぐらいでした。

 私に興味がある方々に申します。皆さんの中にはイノベーター、アーリーアダプターの比率が高い。この方々の特徴は、周りに流されず、理屈で考え判断します。

 行政の言っていること、やろうとしていることを真剣に考える必要はありません。彼らは既存のユーザーの求めているサービスを提供しているのです。10年後、20年後の教育が現在の教育の延長上ではないと思うならば、行政のやっていることを真剣に考える必要はないのです。

 行政の言っていること、やろうとしていることの根本は参考にしていいでしょう。例えば、学習指導要領だったら中央教育審議会の答申は読むべきだと思います。しかし、それが現場に近くなるほど、骨抜きにされているのです。例えば、「アクティブ・ラーニング」という言葉ですら、現場が混乱すると心配した文部科学省の課長レベルが「主体的・対話的な深い学び」という表現に変えてしまうほどです。現場では話し合い活動に貶められました。前学習指導要領の言語活動が話し合い活動に貶められたのと同じです。

 じゃあ、どうするか。

 宮仕えなのですから、末端への行政の求めに対しては応えましょう。ただし、真剣に考える必要はありません。やったように見えれば良いのです。考えてみて下さい。休み時間には子ども達が密接し関わり合っているのに、授業では厳格にソーシャルディスタンスを守らせていることの馬鹿馬鹿しさに気づかない、いや、気づかないふりをしているのが現状の学校です。本質的な感染対策をする気はなく、周りから言われないように、やったふりをしているのです。だから、お付き合い程度にしましょう。事を荒立てるのは私ぐらいで結構です。

 でも、上記の馬鹿馬鹿しさに気づける方が、それに従っているだけだと心が腐ります。子ども達のために何が必要なのかを考えて下さい。やるべきことがあったならば、行政の文章を読み直して下さい。出来れば、都道府県教育委員会レベルではなく、文部科学省レベルや審議会レベルの文章です。おそらく、そこにはあなたがやりたいことを応援する文章があるはずです。それを利用して下さい。あたかも文部科学省や審議会の求めに応じた実践であるように体裁を整えて下さい。

 行政に支配されるのではなく、行政を利用して下さい。