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補足

 昨日の私のメモが分かりにくかったようです。本日、オンラインゼミがありましたが、2名のゼミ生から質問が出たので気づきました。分かりやすく書き直します。

 不登校特例校を「学びの多様化学校」と名称変更するのは何故か?

 文部科学省はより子供たちの目線に立った名称とするため、「不登校特例校」に通う児童生徒や教職員から意見を募集し、新たに「学びの多様化学校」とすることに決定したと述べています(https://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2023/20230831.html?fbclid=IwAR2EyYSjlORWfSFFW9iyyQvbux0UnqKezcd0hkz6Bkb-37t1wDKYla44xqM)。しかし、そこで集約した名称はあまり意味が無いと思います。例えば「生き生き学校」であっても、「主体性学校」であっても、なんでもいいのです。重要なのは「特例校」という部分を切り取りたかったのです。

 では、何故、「特例校」という部分を切り取りたかったのでしょうか?

 それは、フリースクール等の非一条校の広がりと、児童数・生徒数の増加を鑑みて、それを文部科学省管下の一条校に取り込もうとしたならば、「特例校」という言葉に違和感がもたれるほどの広がりと、児童数・生徒数の増加が予想されるからです。

 考えてみて下さい。小学校数に迫るほどの特例校が生まれたら、それって「特例校」ですか?地方では、小泉改革以前の市町村単位には小学校、中学校が1校ずつしかないところが過半数です。その中には、特例校が残り、小中学校が閉鎖される場合も珍しくなくなります。そうなったら小中学校が無様ですよね。そんな恥さらしをしたくないので、「特例」を外したかったのです。もし、特例校がレアケースで留まると予想したならば、「学びの多様化特例校」にしたと思います。

 さて、以前にも書きましたが、文部科学省の権限の最たるものは、予算と免許法と学習指導要領なのです。ところが現状の不登校特例校は学習指導要領の縛りからはずれています。しかし、一般化する特例校(以下ではあえて特例という言葉を使いますが、学びの多様化学校となる学校です)をそのままにするわけにはいけない、と工業化社会の文部科学省は考えるはずです。しかし、学習指導要領をそのまま適用したら子どもが集まらず、フリースクールに流れます。それでは困るので、完全フリーと学習指導要領の中間当たりを落としどころにしたいと考えるはずです。さて、具体にどのあたりにするかを1から議論したら時間がかかりすぎて、子ども・保護者のニーズの急激な変化に追いつきません。そうなると、現高等学校学習指導要領総則編第3章第7節「通信制課程における教育課程の特例」を準用するしかないでしょう。

 ただし、高校と違って義務教育の場合は、1日も登校しなくても問題なく卒業できます。従って、学習指導要領の縛りのないフリースクールと比べて、通信制の特例の適用した特例校のアドバンテージがどれほどあるかと言えば、限定的です。まあ、移行期間の時間稼ぎ程度になるでしょう。

 さて、どの段階で文部科学省は脱工業化社会の教育、即ち、少数・高付加価値の製品・サービスを生み出せる人材育成に舵を切るのでしょうか?興味深いですね。私はそれほど先だとは思っていません。市場占有者の足かせはあるものの、日本の官僚の優秀さを疑っていませんから。

 以上、ここまで書けば、誤解は生じないと思っています。