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2003-12-02

[]不思議 18:33 不思議 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 不思議 - 西川純のメモ 不思議 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ある先生からメールが来ました。

 『自分なりに学び合いと立ち歩きを取り入れてみた算数の比例の授業で恐るべきテスト結果が出ました。平均点97点(全国の平均86点)です。子どもたちの力は凄い!業者のテストですが・・・。しっかりと分析したわけではないのですが、私のクラスは習熟度別少人数の学習集団の中で中程度に属する子どもの集団です。なのに、最低点が90点、半数以上が100点です。私との雑談の中で、刺激を受けて同様に、取り組んだ低位生のクラス担当している臨時採用の先生クラスでも平均点90点(最低80点)という恐るべき結果が得られました。どう説明したらよいのでしょうか?驚きです。ちなみに、しっかりと古典的な授業をされているクラスでは、私と同じレベル子どもたちを担当して平均点85点くらいだそうです。本当に不思議です。』

 このことは多くの先生に話しましたが、改めてメモることにします。私にとっては不思議でも何でもなく、ごくごく当然のことです。

 最終的なテストの点数は3つの部分に分かれます。第一は、授業する前から知っていた/出来ていた部分です。その授業をするまえに事前に同じテストをやったとしても、0点になることはありません。その点数が第一の部分です。第二は、授業中に分かった部分です。教師主導の授業の場合、先生の話を聞いて分かった部分です。つまり、授業直後にテストをやったときの点数から、第一の部分の点数を引いた部分です。第三は、テスト前に、教師とは無関係に自分自身(もしくは友達同士)で勉強した部分です。多くの教師は、テストの点数は第二の部分だと考えています。しかし、私は第一、第三の部分に比べると第二の部分は相対的に小さいと思っています。特に、成績の相対的に低い子にとっては「皆無」と思います。このことは意外に思われるかもしれませんが、自身の過去を思い出し、不得意教科のことを思い出して下さい。私の場合は、漢文が不得意でした。その当時の私にとって、漢文の時間は、眠っていることを教師に気づかれないことに全勢力を注いでおり、授業は全く聞いていませんでした(睡眠学習になっていたのかな~(笑い))。それでは、何故、落第点にならなかったかといえば、試験前に参考書を使って丸暗記していたからです。したがって、私の漢文テストの点数は第三の部分のみで構成されています。

 想像してください。全く分からない講義を寝てないふりしながら過ごすのと、「ね~、なんで○○なの?」と友達に聞くのと、どっちのほうが勉強になると思います?また、成績の高い子にとっても、先生の言ったことをカーボンコピーするのと、分からない子に説明することによって自分自身の言葉で語り直す経験をするのと、どっちのほうが勉強になると思います?答えは明らかです。私が「ごくごく当然」と自信を持っているのは、現状の教師主導の授業の場合、第二の部分(つまり授業時間)を無駄にしていると考えているからです。

追伸 ほぼ同時に、別な先生からも別種の子どもの「不思議」話のメールを頂きました。でも、私にとっては不思議でもなんでもありません。私にとっての不思議は、不思議に見えるけど当然の子どもの変化を、数ヶ月の実践で実現出来る先生の方が不思議です。でも、それも不思議でもないのかもしれません。子どもも教師も、とてつもなく優秀なんですから。