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2014-11-14

[]今日 22:23 今日 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 今日 - 西川純のメモ 今日 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今日も怒濤です。本日、新たな本の企画がオファーされました。自分は天才では無いかと思います。一時間半でオファーされた本の基本構造を書き上げ、返信しました。この企画が通るか否かは12月の頭に決まります。

 夕方、今年度中に出版予定の特別支援の『学び合い』の最終ゲラのチェックです。私の原稿はよく分かっているので、誤字・脱字のチェックレベルです。しかし、同志の原稿をしっかり読み直しました。不覚にもボロボロと涙が流れます。その状況が目に浮かびます。

 そして、思いました。早く、同志が生の子どもの姿で語れる環境を整えなければと。同志の文章に比べた時、自分の担当部分がかすむような気がします。

 言い訳ですが、私にとって大学は現場です。私にも感涙無くしては語れない素晴らしい経験があります。ところがそれを書いても商業的にペイするとは思えないのです。辛い。

[]法 20:16 法 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 法 - 西川純のメモ 法 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 「なぜか仕事のうまくいく教師の7つのルール」(http://goo.gl/Pf42zX)に書いた通り、教師は「法」をちゃんと理解しなければなりません。それが無いと、校長や指導主事の思いつきの指導と法との違いが分からないのです。

 本日、産経新聞に私の小文が載りました。

 私の小文を理解するには法を理解しなければなりません。そのためにいくつかの私の前提を述べます。

 第一に、日本の官僚はとてつもなく有能だと言うことです。私の指導教官は高校教師出身の教科調査官でした。その方から文部省(今の文科省)の官僚の日常生活を教えて貰いましたが、ただただ頭が下がります。ある意味、日本有数のブラック企業ともいえる過酷な状態で天下国家を考えています。そして、我々教師の知っていることの殆どをよく知っています。とても勉強しています。

 第二に、当たり前ですが、官僚は法に基づいて動きます。我々教師は法をあまり意識しません。現状に問題があれば、直感と経験に基づき解決策を探ります。日本の法は自由度が高いので法と抵触することは殆どありません。しかし、法の裏付けが無いので、その影響力は限定されます。一方、官僚は現状を理解したら、それを法の形でどのように解決するかを考えます。

 第三に、法には4種類(詳しく分けるともっとありますが)あると言うことです。憲法、法律、政令、省令です。優先順位はこの順番です。それぞれの制定手続きが違います。憲法、法律は学校で習っていると思うので省略します。いずれも国会の審議があります。政令は閣議によって決まります。省令は各省大臣が決めます。つまり、憲法は国民+全国会議員が決め、法は国会議員が決め、政令は内閣(大部分は国会議員)が決め、省令は大臣(多くは国会議員)が決めます。そして、国会議員は国民の理解が得られないものは賛成しません。

 何が言いたいかと言えば、4種類の法は国民の理解を得る必要性の度合いが違います。

 今回、財務省が35人学級は効果が薄いので40人学級に戻すべきではと発信しましたが、35人学級は定数法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)に定められています。つまり、40人学級に戻すのには多くの国会議員の同意が必要です。つまり、国民の理解が必要なのです。財務省の論拠としている統計データは官僚同士の議論では有効ですが、国民には有効ではありません。むしろ「学校現場は忙しい」という文科省の主張の方が国民には理解が得やすい。たかが86億円の予算を削減するために、一般国民には理解されない法改定に賛成する政治家はいません。

 ということは財務省の官僚も、文科省の官僚も十分に分かっていることです。だって、私でも分かるのですから。

 ちなみに学習指導要領は、省令である学校教育法施行規則に基づく「告示」なのです。つまり一人の大臣が同意すれば成立する規則に根拠のあるものです。学習指導要領の改訂と35人学級を40人にするという改訂とは、次元が全く違います。このあたりの理解が一般的では無いように感じます。

 つまり、現在進行している法の手続きに基づく劇は以下のようなものです。

 年度の初めに各省から財務省に次年度の予算要求を出します。厳しい財政事情から厳しい査定が行われることが予想されるので、文科省は6月にTALIS(OECD国際教員指導環境調査)を発表しました。そこには教員の多忙を示すデータがあります。それに対して財務省は12月の査定結果の内示を前にした今の段階で35人学級に対する疑問を出してきたのです。先に述べたように、40人に戻せるとは思っていないと思います。と分かっている文科省は「とんでもない」と反応しました。

 つまり実態としては、半年がかりで以下の会話が成されたのです。

文科省:財政事情は分かるけど、教育は国の基本だよ。特に、教員の多忙感は危機的だよ、だから査定はあまり厳しくしないでね。おねがい。

財務省:教育は国の基本であることは分かっているよ。でも、教員の人件費が国の予算の中で最大であることを知っているでしょ。それに、国会でもし「何で35人学級なんだ」と言われた時に説明しなければならないのは我々もなんですよ。ちゃんとした説明できる根拠を示してね。お分かりだろうけど、35人学級は民主党政権で成立した法律で、現在は自民党政権だからね。

 従って、財務省へのメッセージに対する正当な反応は、費用対効果高いことを玄人が納得するデータを付けられる提案をすることだと思います。

 我田引水ですが、『学び合い』はそれにピッタリだと思います。ですので、『学び合い』の「ま」も言わずに、さりげなく記事に含ませました。ま、これを読まないと私の意図は分からないと思いますが。

 ということをゼミ生に話した時、法を理解することが大事だと語りました。そして、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行令、学校教育法施行規則、中央教育審議会答申、学習指導要領をちゃんと読むことを勧めました。大抵の教師はそれを読みません。県や市の方針はそれらに反するわけ無いのです。読まないと、学校長や指導主事の個人的見解と、本当の県や市の方針との色分けが分かりません。個人的見解は、人によって変わります。そして、同じ人でもコロコロ変わる。そんなものに従っているから現場は混乱するのです。

 教育基本法、学校教育法、学校教育法施行令、学校教育法施行規則、中央教育審議会答申、学習指導要領はかなりしっかりと議論されており、高い理想に裏付けられ、かつ無茶なことは求めていません。

[]増刷 10:41 増刷 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 増刷 - 西川純のメモ 増刷 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 10月30日発売の「気になる子の言葉がけ入門」が半月で増刷が決定いたしました。ご愛顧感謝です。買ってない人は買ってね。良い本です。http://goo.gl/OTFW04

[]産経新聞 09:25 産経新聞 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 産経新聞 - 西川純のメモ 産経新聞 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日の産経新聞の7面に私の記事が載りました。40人学級の復活についての意見です。もちろん『学び合い』のことは「ま」の字も言いませんでしたが、さりげなく入れました。

 なお、教育行政に詳しいと書かれましたが、私は一言もそのように申していません。ただ、記者さんとの話の中に、法律や施行令の条文や答申内容などをポンポンと私がしゃべるので、そのように思ったのだと思います。

[]書類 07:03 書類 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 書類 - 西川純のメモ 書類 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 我が意を得たり、という記事があった。この調査結果がまとまると、予算0で教員の多忙感を減じられると思う。何しろ、他では書かなくて問題ない書類をだいぶ課されていることがハッキリします。残念ながら、地元の先生方は大変だということが示されるデータでもあります。

 超党派で進めて欲しいな。

http://www.taro.org/2014/11/post-1546.php