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トンチンカン

 指導力不足の教員を分限すると、文部科学省方面から聞かれます。

 日本の労働法は世界で最も解雇が出来ないようにしています。民間の場合、財政上の理由で解雇することは出来ますが、公務員はそれが出来ません。だから、指導力不足の教員を分限するために、都道府県教育委員会は研修と評価を何重にも繰り返したプロセスを構築しています。だから民間だったら解雇相当の人も、解雇にならずに勤め続ける人もいます。中には担任においておけないから主任にしたという例も聞きます。

 文部科学省は何を考えているのでしょうか?私には分かりません。

 文部科学省が労働法を変える権限はありません。都道府県教育委員会は労働契約法16条に耐えられるように考えたのが現在のプロセスなのです。文部科学省が何を言っても任命権者は都道府県教育委員会です。法廷闘争の当事者である都道府県教育委員会は文部科学省が何を言っても、おそらく変えないでしょう。というか、変えられないでしょう。文部科学省の発する基準にはなんらの法的根拠を持たないのですから。

 ということを最高学府を出た文部科学省の官僚は理解していないのでしょうか?

 前にも同じようなことをしました。平成31年に中央教育審議会は「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」を答申しました。その改革の柱の一つが、年単位の変形労働時間制なのです。ところが年単位の変形労働時間制は地方公務員法第58条によって地方公務員は適用でいないとされています。だから答申では様々な「配慮」をしたうえで適用しようとしています。トンチンカンです。

 そもそも地方公務員に適応できないのは、労働条件の変更には労使の合意が必要で、地方公務員には三六協定を締結できるような組合がないからです。雇用者側の配慮で何とか出来るという考えがトンチンカンです。だから年単位の変形労働時間制を導入しようとするとしたら、学校を行政法人として地方公務員から切り離すしかないのです。そうすれば「配慮」を組合側が妥当と考えれば導入できるでしょう。でも、行政法人にしなければ答申で書かれたことは全て空文です。

 ということを文部官僚は気づいていないのでしょうか?気づいていないとしたら恐ろしい。なにしろキャリア官僚も含めて法を理解してないのが恐ろしい。私の指導教官は文部省に勤めていました。指導教官からは文部官僚の緻密さを聞いていました。その話と、近年のやっていることとの解離が激しすぎます。
 私は素人です。でも、素人でも気づけることを官僚が気づけない訳ありません。何かポカがあるのだろうか?と思います。そうだったらお教え下さい。
 私が正しいならば、文部科学大臣が遠吠えをしているだけのことで、一顧だにも値しない。スルーです。みなさん、動揺する必要はありません。