■ [大事なこと]東ロボ君
人工知能で大学入試がどこまでいくか、というプロジェクトがありました。結果として数学や世界史では偏差値60を超える好成績を収め、5教科8科目の総合偏差値では57.1をマークしたそうです。高校生の8割が東ロボくん以下の成績となったことに開発者の新井紀子は衝撃を受け、これからのAI時代において人間が人間らしくあるために「AIの性能を上げている場合ではない」「東ロボくんの性能を上げるよりも、中高生の読解力向上が直近の課題」との結論に至りました。
私には意味不明です。
自動車と人間を比べて、自動車に人間が負けたから、持久力を上げなければならない、という結論にはなりません。勝てないならば、別な人の強みを伸ばさなければなりません。
新井先生の言明を、「今の教育で読解力を向上しなければならい」というのが普通の解釈です。しかし、ググれば分かるものは、それを使わせ放題にして、一人一人の子どもが読みたいものを読ませて、その子の読解力を高めるべきです。
新井先生はりっぱな東大生を養成したい。わたしは普通の子どもの、普通の人生を全うして欲しい。目的の違いです。
■ [大事なこと]イノベーション
クリステンセンはイノベーションには、現在の改良の持続的イノベーションと現在良しとされているものを捨てる破壊的イノベーションがあります。持続的イノベーションを100年積み上げても、何も起こりません。という教育の世界の停滞を無視して、子どもと保護者は今の教育を捨てます。
現状で宗教のごとく、「人を殺してはいけません」同じく、当たり前になっているものは「基礎的・基本的学力の保証」です。それを守っている全ての改革は持続的イノベーションです。
見分け方は簡単です。教えているものの先にあるものです。「これって大事ね」と多くの人が思うものは、既に価値を失っているのです。そんなものはAIが安価に実現します。
■ [大事なこと]集団
『学び合い』のテクニックは集団コントロールのテクニックです。多くの先生方は気になる子を何とかしようとします。『学び合い』はそんな無駄なことをしません。『学び合い』は教師の言うことを理解する一部の子どもに語りかけます。その子たちが一人も見捨てないのは自分にとって得であることを理解すれば、中間層の子どもを動かします。そして大多数の子どもが教師に従えば、気になる子も動かします。教師が気になる子を帰る力は教師に無いのです。だから気になる子なのです。だから、集団によって変えます。
同じように知識・技能を与える対象も個人ではなく、集団です。知識技能は脳にためられるのではなく、マルチCPUのような脳集団の中にためられるのです。その子の能力では獲得できない知識・技能はあります。でも、その子が知識・技能を持っている子と繋がれば、問題ありません。
ギリギリまで、子どもの一生涯の幸せを求め続けた結果の結論です。
残念ながら多くの教師には意味不明なのです。多くの教師は子どもの親兄弟の代わりになろうとします。保護者もそれを求めます。しかし、ホモサピエンスは三十人の子どもの親になる能力を持っていません。だから、教師の立ち位置は群れのリーダーの立ち位置になるべきなのです。