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研究者の資質

 大学生の時代は髭を生やしていました。髭というのはただ生やせばいいわけではありません。ある程度伸びてきたら、そろえて切らねばなりません。伸ばさない部分は、こまめに剃らねばなりません。冬の寒い日は、鼻息が髭にあたり、それが凍ります。やっかいなのは、部屋に戻ったとたんに解けだし、べっちょりします。そんなこんなで、手間がかかりますが、髭を伸ばしていました。理由は、かっこいいと思っていたからです。学部4年のある日、急に髭を剃ることにしました(理由は今は思い出せませんが)。翌日は、合う人ごとに、「どうしたの?」との質問責め。その日の夜、卒業研究の指導教官のお宅でコンパがありました。当然、指導教官からも「どうしたの?」と聞かれると思っていましたが、意外にも何も聞かれません。そうなると、気になってしょうがありません。帰り際、我慢が出来なくて、「あの、髭剃ったんですけど」と言ったところ、指導教官曰く「ああ、でも髭があろうと無かろうと、君にかわりはないだろ」。なんだかしれないが、えらく感動した覚えがあります。

 卒業後は大学院に進学しました。大学院では色々な大学の教官(他大学の教官も含めて)に会う機会を持てました。その中で、一流と言われる先生方には共通する特徴があることに気づきました。

 第一は、外見はごくごく平凡。一言で言えば、普通のおっさん、おばさんなのです。誰しも自己顕示欲はあるものですが、実績で目立っているで、外見で目立つ必要はありません。髭という手軽な方法で目立とうとした私と対照的です。

 第二は、非常に人当たりがよく、腰が低いことが共通点です。特に、若い人たちに丁寧である点です。これも考えれば当然です。周りから尊敬され、丁重に扱われているのですから、ことさら「えばる」必要はありません。

 しかし、このようなすぐ分かる特徴の他にも、第三番目の共通点があるようです。それは、短気で攻撃的な点です。非常に人当たりがよく、腰が低く、丁寧な人であっても、ごくまれに短気で攻撃的な一面が見えるときがあります。研究者にとって独創性は命です。独創性が高ければ、多くの人たちから無理解・反発を受けるのは当然です。その周囲の無理解・反発に立ち向かうパワーがなければ負けてしまいます。そのエネルギーが「怒り」のパワーなのではないでしょうか?

 しかし、ただの短気で、やたらに攻撃的であれば当然闘争となります。個々の人や組織との戦いとなれば、時間や手間の大幅なロスとなります。仮に勝っても失うものは大きいのが普通です。そのため、第四の共通点があります。一言で言えば「徳」がある点です。具体的に言えば、怒っても周囲にはそうとは見えず、攻撃しても攻撃のように見えないのです。私のよく知る先生も、そのような人です。会議の席の中で、その先生はよく「怒り」ます。ところが会議の参加者で、「怒っているな」と気づいているのは、おそらく私一人だと思われます。さらに、その先生が、そうとうきついことを言ったとしても、そうはとられません。声の感じ、表情には怒りが出ていないため、冗談のようにとれれているようです。しかし、それ以上に、周りの人が、その先生が怒ること、ましてや、きついことを言うことを想像し得ないのが原因のようです。

 つまり、「徳」のある人は「得」だということです。(ちゃん♪ちゃん♪)