■ [大事なこと]徳
戸北先生の葬式の時、奥様に「おそらく、大学の人は戸北先生が短気であることを知らないですよ」と笑っていったら、奥様が目をむいて驚かれた。戸北先生が短気なことは奥様と私以外は殆ど知らないと思う。戸北先生はいつもニコニコ温和な顔しか出されない。同時に、人に対して好悪が強いこと、基本的に人と関わらずマイペースに生活したいこと、これも知られていない。
私のダメなところが戸北先生はよく似ている。ところが私はワガママだと言われ、戸北先生はそのようなことは周りに感じさせず、人徳者として慕われる。
何故だろう、と今日思った。おそらく、自分がやるべきことを戸北先生はやるべきことだと思い、ちゃんとやる人なのだと思う。それに対して、私は、嫌だなと思い、なるべく避けようとする。これって大きな違いだと思う。そして、自分にはとうてい出来ないことだと思う。だから、戸北先生は人徳者だと慕われるのだと思う。
追伸 それがために、新潟大学高田分校の際、組合委員長を務めて、その心労で胃の大部分を切除しなければならないご苦労した。しかし、それを長々とした武勇伝として語ることは一度も無かった。ただ、ニコニコとサラリと語ることが二十八年間で数回のみだった。凄いことだと思う。