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GIGAスクール構想

 22歳で教育研究の世界に足を踏み込んだ頃から38年間、学校に導入される先端機器がゴミになりホコリにまみれる過程を何度も見ていました。GIGAスクール構想のニュースが流れてきましたが、最近は行政からのニュースをスルーしていました。しかし、本日は時間があったので読んでみました。「やはり、時間の無駄だった」と思いました。

 昔から学校に教育機器を導入する際、ハードに関してはものすごくエネルギーと予算をかけていますが、ソフト面が抜け落ちています。機器は導入された瞬間から劣化が起こります。それを補う構想が見られません。私は大学研究者が最先端の研究成果を学校に導入した例を何度も見ています。その研究者が学校から離れると、とたんに機器は使われなくなります。数年の人事異動で誰も使えなくなり、倉庫の中で朽ち果てるのです。

 セキュリティに関してもです。日本中に子どもがインターネットを使えない学校だらけですよね。教師がYouTubeを視聴できないように設定している地域もあります。それが日本の文化なのです。ようは、誰も責任を負いたくないのです。だから安易な禁止をします。さて、文部科学省がセキュリティのガイドラインを設定したとします。問題があったとき文部科学省は責任を取りますか?とりません。年単位の変形労働時間制の時と同様に、「各教育委員会のご判断」ということになります。で、ひとたび事故があったら大事になる情報のセキュリティのパンドラの箱を開ける教育委員会があると思いますか?結局、インターネットの接続できない校内高速ネットワークが誕生するのです。それを乗り越えるとしたら、少なくとも都道府県レベル、出来れば全国レベルのセキュリティセンターを教育村の外に打ち立てるべきです。ま、無理ですね。

 学校ICT活用ノウハウ集公表という方針を読んで、笑い出しました。だって、40年以上前から言われていたことなのです。それが実現しない理由の分析がない。じゃあ、何故、ノウハウの公表が広がらないのでしょうか?理由は、多くの教師にとってICTを活用するより、トーク&チョークの授業の方が楽だからです。今の個別最適化の主語は教師です。そして多くの教師にとっての最適化した授業とはトーク&チョークの授業なのです。

 民間企業等からの支援協力募集も笑えます。私の初期の学術研究の中で我が国の経済・産業界が教育に何を求めているかを調査した論文があります。結論から言えば、一般国民に対しては読み、書き、算が出来ることを求めているのです。エンドユーザーに求めるのは使いこなす能力ではありません、ましてや開発する能力でも無いのです。強いて言えば「これこれが欲しい」というニーズなのです。もし、本格的に民間の支援が欲しいならば、漠然としたものではなく、N高等学校でやっているような個々の企業のニーズと子どものニーズをマッチングさせることが必要でしょう。

 以上、全て親方日の丸の発想です。民間だったらあり得ない計画です。広域通信制学校がハード、ソフト、人的システムを考慮したサービスを提供するでしょう。文部科学省がセキュリティのガイドラインを設定したら広域通信制学校はそれを活用するでしょう。しかし公立は活用しない。それは通信制の特例を活用した広域通信制高校と公立の狭域通信制高校の差と同じです。公立学校は後塵にまみれてしまう。

 

 私の理解に誤りがあればご指摘ください。大人の話法の議論なら大歓迎です。

追申 もちろん、私が誤っていることを私は望んでいます。